コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFPファイナンシャル・プランナー
- 生活経済研究所長野 主任研究員
- 2025.01.23
- ライフプラン
保険料が急上昇!2025年自動車保険改定で押さえるべきポイント
2025年1月、自動車保険の改定が実施され、各社の保険料が一斉に値上がりしました。弊所の調査によれば、主な保険会社の値上げ率は以下の通りです(※1)
・ 三井住友海上火災:+11.8%
・ あいおいニッセイ同和損保:+18.9%
・ 損保ジャパン:+12.6%
・ ソニー損保:+5.6%
その他の保険会社でも値上げが確認されています。これらの改定により、一般家庭の保険料負担が増加し、特に複数台所有する家庭や新車購入を計画している家庭にとって大きな影響を及ぼしています。
(※1)ヤリスクロス、16等級、35歳以上限定、本人配偶者限定で見積もり(人身傷害、車両保険を付帯)
■値上げの背景と要因
今回の保険料改定の背景には、以下の3つの要因が挙げられます
- 物価上昇と修理費の高騰
世界的な物価上昇の影響で、自動車の修理費用が増加しています。特に、衝突被害軽減ブレーキなどの高度な機能を搭載した車両が普及しており、事故1件あたりの修理費が高額化している状況です。その結果、対物賠償保険や車両保険における支払額が増加しています。 - 自然災害の多発
台風やひょう災害などの自然災害が頻発しており、これに伴う車両保険の支払額が増加しています。特に、ひょう災害は一度発生すると広範囲に被害が及び、多額の保険金支払いにつながっています。 - 交通量の回復による事故増加
新型コロナウイルス感染症の流行による外出控えが緩和され、交通量が回復したことで、事故件数が増加しています。この動きが保険会社のリスク評価に影響を与えています。
さらに、損害保険料率算出機構は2024年6月に参考料率(※2)を5.7%引き上げると発表しており、この改定が2026年以降に反映される見込みです。これにより、保険料の上昇傾向が今後も続くと予想されます。
(※2)参考料率とは、損害保険料率算出機構が算出する保険金支払いに充てる部分の保険料率。保険会社が保険料率を算定する際の基礎として使用される
■軽自動車の型式別料率クラス(※3)の変更
軽自動車の料率クラスが従来の3段階から7段階へと変更されました。
現在の1~3を3~5の料率に移行、新たに料率の低い1~2、料率の高い6~7が追加されました。
料率7の保険料は料率1の約1.7倍となり、型式によっては大幅な負担増加が発生しています。なお、型式別料率クラスは損害保険料率算出機構の公式サイトで確認できます。
(※3)型式別料率クラスとは、動車の型式ごとに設定された自動車保険の保険料率。車検証に記載されている型式に基づいて、事故発生状況や特性などを考慮してクラスが設定される。
■保険料上昇に対応する具体的な対策
今回の改定を受け、保険料負担を軽減するための対策として、以下のポイントを検討することをお勧めします。
- 契約内容の適正化
年齢条件や運転者限定の設定を見直し、実際の使用状況に応じた契約に変更しましょう。たとえば、運転者を本人と配偶者に限定する場合や、年齢条件を「35歳以上」に設定することで保険料を抑えることが可能です。ただし、同居している子どもが免許を取得したなど、運転者の範囲に変更が生じたときは、条件の見直しが必要になるので注意しましょう。 - 車両保険の免責金額の設定
車両保険に免責金額を設定することで、保険料を下げることができます。たとえば、初回免責額を0円に設定し、2回目以降を10万円とするプランなどがあります。免責金額を高く設定するほど保険料の負担が軽減されますが、修理費用を自己負担できる準備が必要です。 - ダイレクト系保険や共済への乗り換え
ダイレクト系保険はインターネット割引を提供しており、特に初年度に大きな割引を受けられることがあります。また、共済団体ではリスク細分型(※4)を採用していない場合が多く、条件によっては従来の保険会社よりも安価になる場合があります。職場で利用できる団体保険の割引についても確認するとよいでしょう。
(※4)リスク細分型とは、運転者の年齢や車の使用目的、ゴールド免許の有無などの要素を細かく区分して保険料を決める保険。リスクの低い契約者は保険料が安くなり、リスクの高い契約者は保険料が高くなる
■まとめ
2025年1月の自動車保険改定は、多くの家庭にとって負担増となる厳しい現実をもたらしました。特に、自然災害の多発や交通量増加の影響は長期的に保険料上昇の要因となる可能性があります。
今後も保険料負担が増加すると予想される中で、契約内容の見直しや免責金額の設定、ダイレクト系保険や共済への乗り換えなどの対策を講じることで、家計の負担を軽減できます。この機会に、保険の内容を再確認し、適切な補償内容を確保することをお勧めします。