コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFPファイナンシャル・プランナー
- 生活経済研究所長野 主任研究員
- 2025.01.16
- 投資
NISAで始めるNASDAQ100投資:市場動向とリスクを知る
各証券会社のNISA口座における「投資信託の売れ筋ランキング」に変化が出てきています。従来のMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスやS&P500に連動するインデックスファンドに加え、NASDAQ100に連動するインデックスファンドが売れ筋ランキング上位10以内にランクインしています。
■NASDAQ100とは
世界最大の証券取引市場の一つである米国のNASDAQ(ナスダック)に上場している銘柄のうち、金融以外のセクターで、時価総額と流動性が高い100銘柄で構成される株価指数です。構成銘柄には、ハイテク株を中心に、コンピュータ・ハードウェアおよびソフトウェア、電気通信、小売業、バイオテクノロジーなどの主要な企業が含まれています。
組み入れ銘柄の上位には、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット(グーグルの親会社)、メタ(旧フェイスブック)、テスラ、エヌビディアなど、世界を代表するハイテク企業が名を連ねます。また、テクノロジー関連の企業だけでなく、ペプシコ、コストコホールセール、スターバックス、ネットフリックスといった、日本でも馴染みのある非ハイテク企業も組み入れられています(2024年7月末時点)。
■米国株式市場の代表的な指標
米国株式市場の代表的な指標には、NASDAQ100以外にも「NYダウ」や「S&P500」が有名です。
<NYダウ(ダウ工業株30種平均)>
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表する株価指数で、ニューヨーク証券取引所(NYSE)とNASDAQに上場する企業の中から、米国を代表する30銘柄が選定されます。厳しい審査をクリアして採用された銘柄は、優良銘柄として「ブルーチップ」とも呼ばれます。
<S&P500>
S&P500は、NYダウと同じくS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表する株価指数です。ニューヨーク証券取引所(NYSE)とNASDAQに上場する企業の中から、主要な500銘柄が選定されます。米国株式市場の時価総額約80%をカバーしており、米国株式市場のベンチマークとして多くの投資家から注目を集めています。
■NASDAQ100の市場動向とリスク
NASDAQ100は成長性の高い指数ですが、セクター集中によるリスクが伴います。特に米国の金利上昇局面や景気後退の影響を受けやすい特性があります。
NASDAQ100の過去20年間の平均収益率は14.5%で、S&P500やNYダウを上回っています。一方で、標準偏差が18.3%と他の指数より高く、値動きが大きい特性があります。
主な市場イベントの影響は以下の通りです。
<2008年:リーマンショック>
同年6月には2,000ポイント台で推移していたが、11月には1,000ポイント近くまで大きく下落。
<2020年:新型コロナウィルス感染拡大>
同年2月に9,600ポイント台で推移していたが、3月には7,000ポイントを割り込む。その後、12月には12,800ポイント台まで回復。
<2022年:ウクライナ侵攻>
同年1月には16,000ポイントを超えていたが、11月には11,000ポイントを割り込む。2023年以降は米国経済の回復期待やAI関連銘柄の成長が市場を牽引。2024年6月に指数は過去最高値を更新、12月には22,000ポイント近辺まで上昇。
このように、高い成長が期待される一方で、市場動向に影響を受けやすい点に留意が必要です。
■NISAで購入できるNASDAQ100連動型インデックスファンド
以下は、購入時および換金時の手数料が無料のNASDAQ100連動型インデックスファンドの一部です。つみたて投資枠で購入できるのは「4. iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」のみです。
1.ニッセイNASDAQ100インデックスファンド(成長投資枠)
- 設定日:2023年3月31日
- 信託報酬:年0.2035%(税込)
- 楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド(成長投資枠)
- 設定日:2024年1月30日
- 信託報酬:年0.198%(税込)
- eMAXIS NASDAQ100インデックス(成長投資枠)
- 設定日:2021年1月29日
- 信託報酬:年率0.2035%
- iFreeNEXT NASDAQ100インデックス(つみたて投資枠、成長投資枠)
- 設定日:2018年8月31日
- 信託報酬:年0.495%
■まとめ
NASDAQ100連動型インデックスファンドは、ハイテク企業を中心とした成長性の高い投資先として注目されています。一方で、市場リスクやセクター集中による変動性の高さには注意が必要です。特にNISAを活用することで、税制上のメリットを享受しながら長期的な資産形成を目指すことが可能です。各ファンドの特徴やコストを比較し、自分に適した商品を選びましょう。
リスク対策には、安全資産を含めた分散投資が有効です。高成長が期待されるNASDAQ100への集中投資はリスクも伴うため、リスク許容度に応じて資産配分を最適化しましょう。