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つみたてNISAで見逃しがちな3つのポイント


2018年からスタートした「つみたてNISA」ですが、2021年9月末時点の口座数は472万口座と順調に利用者が増えています(2021年12月24 日付金融庁資料)。現役世代を中心に徐々に浸透しつつあるつみたてNISAですが、いくつか押さえておきたい点があります。

  1. インデックス投信は純資産総額もチェック
    2022年2月末現在、つみたてNISAの対象商品は208本。そのうち指定された指数に連動する指定インデックス投信は179本あります。これからインデックス投信を選ぶなら、「つみたてNISAの対象商品」から選択したいもの。対象商品はすべて購入時手数料が無料で、保有中にかかる運用管理費用(信託報酬)にも上限が設定されているからです。法令上は国内資産を対象とするものは0.5%以下、内外・海外資産を対象とするものは0.75%以下と規定されていますが、実際に届け出されているインデックス投信は法令上の上限よりもさらに低い水準となっています(国内資産を対象とする投信の平均0.257%、内外・海外資産を対象とする投信の平均 0.32%。2022年2月末時点)。
    商品選びでは投資対象(対象とする指数)を決めたら、同じ指数に連動する投信の中からコストの低いものを選択するのがセオリーですが、注意したいのは投信の規模です。指定インデックス投信の中には、残高の少ないものも含まれます。2022年3月15日時点で、対象商品のおよそ2.5本に1本が30億円未満、4本に1本が10億円未満です。

■指定インデックス投信(179本)のうち残高が一定未満のもの
・純資産総額30億円未満:69本(38.5%)
・純資産総額10億円未満:47本(26.3%)
・純資産総額1億円未満:12本(6.7%)
*2022年3月15日時点

アクティブ投信など指定インデックス投信以外の投信は「設定から5年以上」「純資産総額50億円以上」「設定来、資金の純流入の回数が3分の2以上」といった要件があるのに対し、指定インデックス投信は手数料の要件などを満たしていれば新規設定のものも届け出可能となっているためです。運用の効率性や将来的な繰上償還リスクなどを考えると、規模の小さい投信は避けたいところです。
そこで、手数料だけでなく、資金が安定的に流入しているかどうかも併せて確認しましょう。投信評価会社モーニングスターのウエブサイトで投信を検索し、「リターン」のタブから「月次資金流出入額」をみると毎月資金が純流入しているか、純流出しているのかがグラフで表示されます。安定的に資金が流入しているものが望ましいです。

  1. 始めるのは今、やめるのは必要になった時
    「いつ始めたらいいですか」「出口をどう考えたらよいですか」というご質問を多くいただきますが、私は「始めるのは今、解約するのはお金が必要になったとき」とお答えしています。
    資産形成の土台づくりとしての投資、つまり投資信託を一定額ずつ積み立てていく方法であれば、始める際にタイミングを計る必要はありません。毎月一定額を購入していくと、下がったときにはたくさんの口数(投信の単位)を購入できますし、高くなったら少しの口数しか購入しないしくみになっているからです。仮に高いところから始めて、その後下がったとしても、たくさんの口数を買いためていると考えましょう。
    大事なのはタイミングではなく、「タイム」。資産形成の土台づくりとしての投資では、時間を味方につけて、できるだけ長期でコツコツ、元本と運用益の積み上げが大切です。 
    また、非課税期間20年という長期投資を促す制度にもかかわらず、短期で解約してしまう人も多いようです。つみたてNISAは保有している投信をいつでも(一部または全部)解約できます。ただ何の目的もなく、「少し値上がりしたから」「値下がりしたから」とすぐに解約してしまうと長期的な資産形成はできません。できるだけ長い保有を心がけましょう。また、20年経ったあともすぐに使う必要がなければ、課税口座(特定口座)に移してそのまま運用の継続も可能です。
  2. 海外転勤の予定がある人は利用を慎重に
    つみたてNISAは資産形成のために活用してほしい制度ではありますが、海外転勤の予定がある人は慎重に考えたほうがよいかもしれません。2019年4月から海外転勤などにより一時的に出国する場合でも、金融機関に「継続適用届出書」を提出すると、最長5年までNISA口座内(つみたてNISA・一般NISA)で商品保有が可能となりました(新規の買い付けや一般NISAのロールオーバーは不可)。
    <参考>●海外転勤でも5年までNISA口座で運用が可能に
    https://fpi-j.com/column/column20190611/

ただし、すべての金融機関が対応しているわけではありません。例えば、ネット証券では楽天証券は対応していますが、SBI証券やマネックス証券は対応していません。対応していない場合、NISA口座(一般NISA、つみたてNISA)を利用している人が非居住者となると、NISA口座で保有している商品は一般口座に払い出されてしまいます。金融機関が対応しているかどうかの確認が大事ですが、そもそも何度も海外転勤をする予定であれば、NISA口座は使い勝手が悪い可能性もあります。利用するかどうかも含めて慎重に考えましょう。なお、ジュニアNISAは海外出国時の5年非課税の適用対象外です。留学などで非居住者となる場合には口座を廃止し、引き出しておくといったことも検討しましょう。

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