コラムColumn
執筆者プロフィール
- ファイナンシャル・ジャーナリスト
- LIFE MAP,LLC代表
- 2019.06.11
- 投資
海外転勤でも5年までNISA口座で運用が可能に
一般NISA(少額投資非課税制度)や「つみたてNISA」は制度開始から毎年のように改正を重ねています。これまでの変遷をまとめました。
●NISAの変遷
2014年:一般NISAスタート
(投資限度額は年間100万円、5年非課税、金融機関の変更不可)
2015年:1年ごとの金融機関の変更が可能になる
2016年:一般NISAの投資上限額が年間120万円に引き上げられる
ジュニアNISAスタート
(0歳~18歳対象/投資上限額は年間80万円/18歳まで払い出し制限あり)
2017年:一般NISAのロールオーバー時の上限額を撤廃
2018年:つみたてNISAスタート
そして、今年(2019年)4月から見直されたのが「NISA口座保有者の出国に伴う対応」です。
これまで、NISA口座(一般NISA、つみたてNISA)を開設・利用している人が海外転勤などで日本を離れる場合(一時的に出国する場合)、NISA口座で 保有している商品は課税口座に払い出されることになっていました。また、帰国しても、いったん課税口座に払い出された商品を、NISA口座に戻す(移管する)ことはできませんでした。
今回の改正により、海外転勤などにより一時的に出国する場合でも、引き続きNISA口座で商品を保有することが可能となります(期間は最長5年です)。
具体的には、出国日の前日までに「継続適用届出書」を(金融機関に)提出すると、
(1)「帰国届出書」を提出する日
(2)継続届出書を提出した日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日
のいずれか早い日までは「居住者等に該当する者」とみなされ、引き続き NISA口座を利用できます。
ただし、注意点もあります。
(a)金融機関が対応するかどうかは任意です(義務付けしていない)。海外転勤の可能性のある人は、NISA口座を開設している金融機関に問い合わせましょう。
(b)5年を経過する日の起点となるのは出国した日ではなく、「継続届出書」を提出した日です。また、5年以内に帰国しても、そのあとNISA口座を継続的に利用するためには「帰国届出書」を提出する必要があります。
(c)継続届出書を提出した日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日までに帰国しなかった場合、口座保有者は「非課税口座廃止届出書」を提出したとみなされ、保有金融資産は翌年すぐに課税口座に移管されます。
(d)NISA口座で、最長5年非課税で運用を継続することはできますが、NISA口座で新たな買付を行うことができません。また一般NISAでロールオーバーをすることもできません。
金融庁は税制改正要望でNISAの恒久化要望などを出してきましたが、実現にはいたっていません。改正も含めて、一般NISA、つみたてNSIA、ジュニアNISAの3つがどうなっていくのかを引き続きウォッチしていく必要があります。