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国民健康保険の保険料


2022年度から、国民健康保険料の医療分の上限額(賦課限度額)が82万円から85万円に引き上げられます。単身で上限までの保険料を支払っている人はそれほど多くはないかもしれませんが、この機会に、国民健康保険料(保険税としている自治体もあり)がどのように決まるのか、確認しておきましょう。
保険料(税)の計算方法や、適用される料率、年間の賦課限度額は自治体により異なります。国で決めた上限額がそのまま適用されるわけではありませんが、今回の改正を機に上限額や保険料率が引き上げられる自治体もあるようです。

■国民健康保険料(税)の計算方法
国民健康保険の保険料は、自治体により保険料というところと、保険税というところがあります。保険税の方が税金であるため未払請求する場合の時効が保険料より長く、また差し押さえのときの優先順位が高いという違いがあります。国民健康保険では扶養という概念はなく、所得がない人も生まれたばかりの赤ちゃんでも、全員が加入者(被保険者)という立場になり、原則として保険料を負担します。
細かな点は自治体により異なるものの、保険料(税)の計算方法には一定のルールがあります。まず、保険料(税)は、(1)医療分、(2)後期高齢者支援金分、(3)介護給付金分、という3つの分類に分けて計算します。それぞれについて、(a)~(d)の項目の中から2~4つを組み合わせて算出し、世帯全員について合算した金額(年額)が、世帯主に請求されます(別の公的医療保険に加入している世帯員は除く)。

<分類と目的>
(1)医療分…加入者の医療費、制度の運営費用等
(2)後期高齢者支援金分…後期高齢者医療制度の給付や運営費用 
(3)介護給付金分(40~64歳が負担)…介護保険制度の給付や運営費用

<項目>
(a) 平等割(世帯割)・・・1世帯ごとに払う定額
(b) 均等割・・・加入者数に応じて払う定額
(c) 資産割・・・加入者の固定資産税額×料率(現在は採用している自治体はほぼない)
(d) 所得割・・・基準額(加入する人の前年の所得)×料率
       ※基準額=総所得金額-43万円

■自治体で異なる国民健康保険料(税)
保険料(税)の実際の計算方法と、自治体ごとにどのように異なるか、A市とB市で比べてみましょう。A市では資産割以外の3つの項目が使われています。一方のB市は均等割と所得割のみです。夫64歳(総所得金額173万円、基準額130万円)、妻60歳(収入なし)の事例で保険料を計算してみましょう。

A市:(21,574円+8,260円+7,875円)+(21,814円+8,352円+10,139円)×2
    +130万円×(7.72%+3.12%+3.17%) =300,449円⇒300,400円

B市:(20,000円+10,000円+11,000円)×2+130万円×(5.5%+1.8%+1.85%)
     =200,950円⇒200,900円

A市には、平等割(世帯割)も課され、また所得割の料率もA市の方が高いため、この事例では、年間で約10万円の差となります。保険料は所得や家族構成によっても異なりますので、ご自身のケースで、現在居住している自治体や移住を検討している自治体の保険料を調べてみましょう。

※国民健康保険保険料(税)の例   (以下は2021年度保険料)
    
 計算式=  平等割  +  均等割  +   所得割   +  資産割
     (世帯当たり) (1人当たり)  (所得×料率) (固定資産税×料率)
<A市の料率>   
区分             保険料率                賦課限度額
             平等割(世帯割)  均等割   所得割
医療分            21,574円     21,814円    7.72%   63万円
後期高齢者支援金分      8,260円      8,352円     3.12%   19万円
介護納付金分         7,875円      10,139円    3.17%     17万円
※賦課限度額とは、世帯ごとの年間保険料の上限額

<B市の料率>
区分             保険料率                 賦課限度額
                 平等割     均等割      所得割
医療分               –     20,000円      5.5%     63万円
後期高齢者支援金分         –    10,000円      1.8%    19万円
介護納付金分          -     11,000円     1.85%    17万円

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