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長期金利の上昇と個人向け国債(変動10年)に注目


世界的な物価上昇の影響が日本国内にも及び始めています。ガソリンの値上がりなどで身近に感じている人も多いかもしれません。

国内企業物価指数(前年同月比)を見ると、
2021年10月 +8.4%
2021年11月 +9.2%
2021年12月 +8.7%
2022年 1月 +8.6%
というように、企業同士が取引しているモノの値段はかなり上がってきています。2021年11月の前年比9%以上の上昇は、1980年12月以来の約41年ぶりの上昇率だったようです。

一方、消費者物価指数(前年同月比)を見ると、
2021年10月 +0.1%
2021年11月 +0.6%
2021年12月 +0.8%
2022年 1月 +0.5%
と、それほど上昇していません。日本銀行の目指すインフレターゲット(+2%)にも届いていません。

もともと消費者物価指数は、私たち消費者が買い物をしているモノの値段の変化を示しているため、企業物価指数の動きよりも少し遅れて反応する傾向があります。消費者物価指数はこれから上昇していくのかもしれません。

アメリカでは、今回の世界的な物価上昇を抑えるためにも、3月中の利上げが検討されています。ロシア軍のウクライナ侵攻による世界経済への影響が不透明なため、利上げの延期はあるかもしれませんが、マーケット(債券市場や株式市場)では利上げを織り込むような動きが出てきています。

日本の債券市場においても、1月下旬あたりから20年国債、30年国債、40年国債といった超長期の国債の利回りが上昇し始めています。長期金利の指標である10年国債の利回りも、昨年8月には0%前後だったものが、2月には0.2%台をつけるまでに上昇しました。

今後さらに上昇ピッチを速めていく可能性はまだ低いかと思いますが、ここのところの長期金利の上昇は、すでに住宅ローン金利などへ影響が出始めています。

3月のフラット35の金利(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)は、最低が1.430%と、2018(平成30)年11月以来の高い水準になりました。

短期金利はほとんど変わっていないので、住宅ローンの変動金利型の金利は変わっていません。やはり、金利が上がるときには長期金利から先に上がっていくのが通常なので、金利が上がりそうになったら変動から固定に切り替えようと考えたとしても、それを絶妙なタイミングで実行するのはなかなか困難だとわかります。

また、今回の長期金利の上昇を受けて、個人向け国債(変動10年)の適用利率が少し上がってきました。すでに決まっている適用利率(税引前)を見てみると、
2022年3月15日 0.05%
2022年4月15日 0.05%
2022年5月15日 0.05%
2022年6月15日 0.07%
2022年7月15日 0.05%
2022年8月15日 0.07%
2022年9月15日 0.11%
2022年10月15日 0.12%
となっています。

個人向け国債は、0.05%が下限金利ですので、それより低くなることはありません。そして、直近の10年国債の入札における平均落札利回りを基準金利として、基準金利×0.66で算出されたものが適用利率となります。変動金利型なので、長期金利が上がっていけば、それに応じて半年後の適用利率が上がっていく仕組みです。

個人向け国債は、発行後1年が経過すればいつでも額面金額で中途換金が可能になります。しかし、直前2回分(直前1年分)の利子(税引後相当額)が手数料のようなものとして差し引かれますので、基本的には満期まで保有するのを前提に買うのが無難でしょう。購入は1万円単位です。

やはり、景気拡大や株価上昇に伴って長期金利が上昇していくような、いいかたちでの金利上昇が望ましいと言えますが、近い将来の利上げの可能性、長期金利のさらなる上昇に備える観点で考えると、個人向け国債(変動10年)への投資もひとつの選択肢と考えてよいでしょう。

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