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国民年金に未加入だった期間分の年金を増額する方法


先日こんな質問を受けました。

『まもなく60歳を迎える会社員です。
24歳でいまの会社に就職するまで、国民年金には加入していませんでした。
このままだと、老齢基礎年金を満額受給できる加入期間40年(480月)を満たせません。
満額に近づけるための何らかの方法はありますでしょうか。』

現在、 国民年金は20歳以上60歳未満のすべての国民に加入が義務づけられています。しかし、昔は20歳以上の学生の国民年金への加入は「任意」でした。その任意が義務に変わったのが、1991年(平成3年)4月でした。私はちょうど学生時代だったのでよく覚えています。

私の場合も当然ながら(?)、20歳になってすぐ国民年金に任意加入はせず、2年ほど未加入でした。現在50歳以上の人は、質問者と同じように学生時代は未加入だった人が多いのではないでしょうか。

そのような国民年金未加入の期間がある人(学生納付特例※を利用し10年以内に追納しなかった人も含む)が、老齢基礎年金を満額に近づける方法は2つあります。

1つ目は、60歳以降の国民年金への任意加入です。60歳以上65歳未満で、国民年金保険料の納付月数が480月未満の人、かつ、厚生年金保険等に加入していない人が任意加入できます。

質問者のように、20歳から24歳までの約4年間、国民年金に未加入だったのであれば、60歳からの4年間、国民年金に任意加入し保険料を納めれば、老齢基礎年金を満額にできるでしょう。ちなみに、任意加入の手続きは、60歳の誕生日の前日から行えます。

そして、2つ目は、60歳以降も会社に勤めて、厚生年金保険に加入し続けるという方法です。60歳以降も厚生年金に加入し続ける場合、国民年金への任意加入はできなくなります。したがって、老齢基礎年金を満額には近づけられないのですが、60歳以降も厚生年金に加入して厚生年金保険料を支払い続ければ、実質的には老齢基礎年金を満額に近づけるのと同じ効果が期待できるのです。

もともと老齢基礎年金は、20歳から60歳までの480月(40年)のうち、何月保険料を納めたかで年金額が決まります。480月納めていれば満額支給、240月なら半額支給となります。この保険料の納付済月数には、当然ながら20歳未満の厚生年金加入期間や60歳以降の厚生年金加入期間は含まれません。

しかし、20歳以上60歳未満の期間で480月に達していない人については、「経過的加算額」を計算する際に、20歳未満や60歳以降の厚生年金加入期間が加入月数として計算に入れられる仕組みになっているのです。

つまり、簡単に言えば、60歳以降も厚生年金に加入し続けることによって、老齢厚生年金に加算される「経過的加算額」を増やせ、それが実質的に老齢基礎年金を満額に近づけるのと同様の効果をもたらしてくれるのです。

さらに、60歳以降も厚生年金に加入すれば、老齢厚生年金額自体も増やせます。当然ながら、働き続けることによる収入も得られます。

そう考えると、老齢基礎年金を満額に近づける方法は2つあると言いましたが、1つ目の60歳で退職をして国民年金に任意加入するという選択肢は、すでに充分な老後資金を確保できているとか、絶対に働きたくないなどの理由がない限り、あまりおすすめできるものではないと言えるでしょう。

※学生納付特例とは、20歳以上の学生で一定所得以下の人が、国民年金保険料の納付を猶予してもらえる制度です。2000年(平成12年)4月に創設されました。学生納付特例を受けている期間は、国民年金には加入しているものの保険料は納められていないので、10年以内に保険料の追納をしない限り、老齢基礎年金額には反映されません。

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