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コラムColumn

  • 2021.10.28
  • ライフプラン
  • 黒田 尚子

2021年10月から本格的に「マイナ保険証」が利用開始


筆者は、毎月定期的に東京・虎の門病院に通院しています。とはいっても、患者として、ではありません。FPとして、がん患者さんやそのご家族に対するお金と仕事の相談会を担当しているためです。10月中旬、いつも通り、来院して、がん相談支援センターの受付機器のボタンを押そうとしたとき、すぐ横に見慣れぬ機械が設置してあるのに気づきました。
「ん?もしやこれは」。そうです。マイナンバーカードを受付するための機械です。

振り返れば、2021年3月末から、マイナンバーカードが健康保険証として利用できる、いわゆる「マイナ保険証」が始まるということで、2020年8月から登録がスタート。筆者も早速登録しました。また、さまざまなメディアで「マイナンバーカードを健康保険証として使うメリット」といった取材を受けたり、原稿を書いたりしたものです。

それが、3月4日から一部の医療機関で始まったプレ運用の際、データ不備によるトラブルが相次いで、本格的な運用は10月に延期になりました。トラブルの原因は、被保険者証情報がちゃんと登録されていなかった、保険者が事前に登録したマイナンバーや登録されている被保険者番号が正しくなかった等々です。2021年2月時点で、同じ保険者内の加入者間でマイナンバーを間違えて登録していた入力ミスが約3万件見つかったそうです。

その後、9月に入っても、マイナ保険証の話は一向に聞こえてきません。それが突如として、目の前に機械が現れたのですから、「おお、これは」となるではありませんか。虎の門病院の看護師にお聞きすると、10月上旬に設置され、10月10日には、厚生労働省のエライ人(看護師さん曰く。以下のニュースリリースによると後藤厚生労働大臣と牧島デジタル大臣)が病院を訪問して、体験の様子がテレビなどでも紹介されたそうです。
※詳細は以下
https://toranomon.kkr.or.jp/cms/info/files/3094180097499cf8ea1b022e8e78203c.pdf

新聞等の報道を確認すると、10月20日から本格運用とあるので、これから順次、医療機関や薬局で利用できるようになるのでしょう。ここでマイナ保険証のメリットを復習しておくと、おもに以下の6つが挙げられます。
(1)健康保険証として利用でき、就職や転職、結婚、引っ越しなどでも切り替え不要で受診できる
(2)公的医療保険の資格確認がスピーディになる
(3)限度額適用認定証がなくても、高額療養費制度の限度額以上の支払いは不要
(4)自分の特定健診情報や薬剤情報を確認でき、本人の同意により、はじめて受診する医療機関等でも、これまでの医療情報等が医療者と共有できる
(5)医療機関の窓口での保険証入力作業や公的医療保険の請求誤り、未収金の減少など、保険者等の事務処理コストが削減できる
(6)マイナポータルの医療費通知情報管理により、医療費控除の確定申告がe-Tax(オンライン)で完結できる(2021年度所得税の申告より)

さらに、タイムリーな話題として注目されるのが、国が12月中の運用開始を目指している新型コロナウイルスワクチンの接種証明書アプリです。これにもマイナンバーカードが活用されます。上記の6つのメリットも含めて、マイナンバーカードを持つ特典を増やして、普及を推進させたい気持ちは痛いほどわかります。でも、どれだけの人がこれらをメリットと感じるか。

例えば、上記の6つのメリットのうち(3)については、同じ世帯の扶養家族の医療費を合算する「世帯合算」や、高額な医療費が続いた場合に限度額が引き下がる「多数回該当」を利用する際には、自動的に適用にならない場合もあり、別途手続きが必要です。

また(6)についても、オンラインで完結できるのは、本人分だけ(マイナンバーは国民一人ひとり固有のものですから)。しかも、保険適用になる医療費のみです。医療費控除といえば、家族の医療費を合算したり、自由診療となるインプラントの費用や通院のための交通費、薬局で買ったお薬代などを含めたりすることがほとんどのハズ。これらは別途、入力しなければなりません。これでは、従来とそんなに変わらないのでは…と感じるのは筆者だけでしょうか。

さらに気になるのは、自分や家族のかかりつけ病院や薬局でマイナ保険証が使えるのかどうかです。10月10日時点で、必要なシステムを導入している医療機関は全体の約8%だとのこと。冒頭の虎の門病院でいち早く導入されたのも、もともと同院が、国家公務員とそのご家族に対する医療機関として設立されたことも関係しているのでしょう。

せっかく作ったマイナンバーカードですから、実用として活用できるものになって欲しいという願いを込めつつ、FPとして、今後も引き続き注視していきたいと思います。

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