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引受基準緩和型医療保障への加入


引受基準緩和型医療保障とは、持病のある人や、既往歴(※1)により通常の医療保障に加入できない人も、限られた告知のみで加入できる医療保障です。これらは中高年に対する商品として見られがちですが、持病や既往症のある若年層による加入も増えています。今回は利用にあたっての注意点について紹介します。

引受基準緩和型医療保障のメリット
加入のしやすさが最大かつ唯一のメリットです。告知は3~4つの項目(※2)に該当しなければ加入できるというシンプルなもので、例えばオリックス生命のキュア・サポートは次の告知項目です。

(1)現在入院中または最近3ヶ月以内に医師の医師から入院、手術、検査のいずれかをすすめられていますか
(2)最近3ヶ月以内にがんまたは上皮内新生物、慢性肝炎、肝硬変で医師の診察、検査、治療、投薬のいずれかをうけたことがありますか
(3)過去2年以内に病気やけがで入院または手術をうけたことがありますか
(4)過去5年以内にがんまたは上皮内新生物で入院または手術をうけたことがありますか

告知項目は保障団体により違うため、同じ状態でも加入の可否判断は異なります。また、最近では精神疾患に関する告知が不要のものが増えており、厚生労働省による平成29年(2017)患者調査の概況によると、気分(感情)障害(躁うつ病を含む)患者数は127.6万人と増加傾向にありますが、引受基準緩和型医療保障であれば加入できる可能性が高くなっています。

引受基準緩和型医療保障のデメリット
加入しやすい反面、リスクの高い加入者を引き受けるため(1)掛け金が高い、(2)支払削減期間がある、(3)付加できる特約に制限がある、などのデメリットもあります。

(1)掛け金が高い
保障団体ごとに通常の医療保障と比較して掛け金の増加率をみてみると、50歳男性がオリックス生命のキュア・サポートに加入した場合、新CURE(オリックス生命の通常の医療保険)の保険料が4,650円に対して7,740円と66%ほど保険料が増加します。なお、こくみん共済 coopの終身医療保障では、50歳男性が加入する場合3,540円の掛け金が、引受基準緩和タイプで4,350円と23%程度の増加率に留まり、保障団体によって増加率に差があります。

(2)支払削減期間
多くの引受基準緩和型医療保障が当初1年間は給付額が50%に削減されていて、これを支払削減期間といいます。最近は支払削減期間がない商品も登場しており単純に掛け金の安さだけでは比較しにくくなっています。

(3)付加できる特約
先進医療特約を付けるケースが一般的ですが、がん診断一時金特約や死亡保険金特約(死亡保障)を付加できる保険会社もあります。ただし、通常の医療保障に付加できる特約より保障額が少なくなる点には注意が必要です。

引受基準緩和型医療保障の利用方法
すべての方に該当するものではありませんが、持病ではなく既往歴の場合は数年後に健康体に戻っている可能性もあります。その場合は引受基準緩和型に加入し続けるのではなく、後に通常の医療保障に入り直すことも検討しましょう。

オリックス生命の引受基準緩和型キュア・サポートに50歳男性が加入すると月払い保険料は7,740円ですが、55歳で健康体になり通常の医療保険新CUREに加入した場合、月払い保険料は5,580円と安くなるため、引受基準緩和型医療保障を健康体になるまでの一時的な加入と位置付けることもできます。

通常の医療保障の場合、(がん以外の)病気やケガは5年を経過していると告知項目に該当しないので、既往歴があっても健康体とみなされます。また、がんに罹患したとしても10年経過すれば根治とみなされることが多く、その場合も通常の医療保障に加入できます。ただし、本人が申し出なければ、誰もそれを教えてくれるはずはなく、延々と高い保険料を払い続けることになってしまいます。

引受基準緩和型にこだわり過ぎない
医療保障は、共済や保険に頼るのではなく、貯蓄で備えても構いません。例えば、50歳から60歳まで毎月10,000円ずつ積み立てていけば120万円が準備できます。貯蓄は無条件に引き出せるので、使い勝手の面で勝っています。不安に駆られるあまり保障を過信することがないよう、医療保障の構造を理解し、対策を広く検討する冷静さが求められます

※1過去の病気による診察、検査、治療、投薬、入院、手術などの履歴
※2特約を付けることで告知項目が増えることもある

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