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コラムColumn

  • 2019.08.13
  • 相続
  • 山田 静江

遺産分割の対象となる財産と相続税がかかる財産

相続関係の民法(相続法)が改正されたことにより、相続が注目されています。相続の問題で勘違いされやすいのは、民法で定められた「財産の遺産分割のルール」と、相続税法で定められた「相続税がかかる財産」が異なるという点です。

たとえば、生命保険の死亡保険金(契約者=被保険者≠受取人の契約によるもの)は、受取人固有の財産となるため、原則として遺産分割の対象外です。しかし、受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象になります。
一方、亡くなった人(被相続人)から生前に贈与を受けていた場合、それが生活に資するものである場合には、遺産の前渡しである特別受益とみなされて、遺産分割の対象になります。ところが、非課税制度などを利用しない生前贈与については、過去3年以内の贈与は相続税の対象になりますが、それより前のものについては相続税の対象外です。
こういった違いを知った上で相続対策を行わないと、相続でもめる原因になります。遺産分割の対象となる財産、相続税の対象となる財産は以下の通りです。

(A)遺産分割の対象となる財産
遺産分割の対象となるのは、(1)本来の相続財産と、(2)生前贈与された財産の一部です。生前贈与された財産のうち、特別受益と認められたものが遺産分割の対象となります。

(1)本来の相続財産
死亡時に被相続人名義の不動産や預貯金などの金融商品と、被相続人の債務(借金や未払金)です。これらは、多くの人が分割対象とみなしているものです。

(2)生前贈与された財産
生前贈与された財産のうち遺産分割の対象となるのは、結婚時の持参金や自宅等の購入資金、独立するための事業資金、資格取得費用など生活するための資金となるものです。名義を変えてしまえば、遺産分割の対象にならないと思われがちですが、法律ではそういったものを含めて、遺産分割をするように定められているので、注意が必要です。
ただし、相続法の改正により、婚姻期間20年以上の配偶者への自宅不動産の生前贈与や遺贈される分については、遺産分割の対象外となりました。これにより、自宅を取得した配偶者が、それ以外の相続財産を多く受け取れます。

(3)遺産分割の対象外のもの
前述のように、死亡保険金や死亡退職金などは受取人固有の財産とみなされるため、原則として遺産分割においては対象外となります。また仏壇、仏具、お墓、家系図などは祭祀承継者の財産となるため、やはり遺産分割の対象外です。これらは相続放棄しても受け取れます。

(B)相続税がかかる財産
相続税の対象となるのは、(1)本来の相続財産と、(2)贈与財産のうち一定のもの、(3)受取人固有の財産のうち一定のものです。

(1)本来の相続財産
死亡時に被相続人名義であった不動産や預貯金などの金融商品には相続税がかかります。ただし相続税の計算において、被相続人の債務(借金や未払金)相当額を差し引けます。

(2)贈与財産のうち一定のもの
生前贈与のうち、死亡前3年以内の贈与財産と、相続時精算課税制度を使って贈与された財産は相続税の対象です。
贈与税の非課税制度を利用した贈与に関しては、住宅資金贈与には相続税がかかりませんが、教育資金や結婚・子育て資金贈与の非課税制度を利用した贈与では、資金を使い切っていないうちに贈与者が亡くなったときには、残額に対して相続税がかかる場合もあります。

(3)受取人固有の財産のうち一定のもの
死亡保険金や死亡退職金には、相続税がかかります。ただし、どちらも法定相続人が受け取った場合には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。

以上、相続における「遺産分割」と「相続税」について、まとめてみました。民法と相続税法という、異なる法律が適用されるため、このような差異が生まれるわけです。相続手続きを行うときや、事前の相続対を行うときには、この違いをよく理解しておくことが重要です。

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