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コラムColumn

  • 2019.07.09
  • 年金
  • 菱田 雅生

「2,000万円問題」から学べること

最近、「2,000万円問題」とも呼ばれメディアで大きく取り上げられた問題があります。皆さんも目や耳にしたのではないでしょうか。これは、金融審議会の市場ワーキング・グループの報告書である「高齢社会における資産形成・管理」の中に書かれていた、公的年金だけでは老後の生活費は1,300万円から2,000万円程度不足するという部分が大きくクローズアップされて問題化したものです。

これを機会に、是非とも皆さんにはメディアからの情報に流されずに、安心して自分または自分たち夫婦のリタイア後の生活に向けた準備を進めていただきたいと思います。今回は、「2,000万円問題」から私たちが学べることを整理して、リタイア後に向けた心構えをまとめます。少しでも参考にしていただけたら幸いです。

まず、TVやラジオ、新聞、雑誌、インターネット上など、あらゆるメディアから流れてくる情報は、インパクトのある部分だけを切り取られてしまっている可能性が高いことを念頭に置くべきです。なぜなら、多くの人に注目されることによって初めてメディアのビジネスは成り立つからです。今回の「2,000万円問題」も、51ページにもわたる報告書のうちのインパクトのある部分だけを切り取ってしまったので、問題になったのだと思われます。

お時間のある方は是非、51ページの報告書の全文を読んでみてください。「この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。」ときちんと書かれていますし、リタイアに向けた基本的な考え方や心構えまで、非常によくまとまっている報告書だといえるでしょう。

また、SNSなどを通じて多くの人が情報や意見をたやすく発信できる環境の存在も良し悪しだといえます。誰かが間違った情報または的確ではない情報を信じて書き込むことで、その人を信じている友達や知り合いがその情報を信じ、さらに拡散し、間違ったままの情報があたかも正しいかのように多くの人に浸透してしまうのです。

まったくの赤の他人が投稿している情報は簡単には信用しないでしょうが、よく知っている人が投稿している情報は、とりあえず信用してしまうのではないでしょうか。もちろん、メディアやSNSがダメだと言いたいわけではありません。大切なのは、私たち情報の受け手側が、世の中に流れる情報は必ずしも正しい情報ばかりではないということを常に念頭に置いておくべきだということです。いままさに目にしているこの記事も含めてです。

では、それらを踏まえたうえで、リタイア後に向けてどう考えておくべきかということですが、まずは、「平均」はあくまでも「平均」であって、それ以上でもそれ以下でもないことを認識しておきましょう。誰もが平均どおりの生活をするわけではないですし、平均どおりの年金を受け取るわけではありません。平均どおりの年齢で亡くなるわけでもありません。平均は平均として確認しつつも、平均どおりにはならない可能性のほうが高いことを認識しておきましょう。

20代や30代の比較的若い世代の人は、平均的には公的年金だけでは不足する可能性があることを念頭に、会社の退職金制度がどうなっているのかを確認し、DCやNISAなどの非課税制度を上手に利用して資産形成していくことを考えましょう。

一方、40代や50代の人は、平均額を気にするよりも、現在の家計の収支状況や資産状況を確認し、自分または自分たち夫婦の場合は不足する可能性が高いのかどうかを冷静に見積もりましょう。

一般の人の多くが、リタイア後に向けて漠然とした不安を抱いているようです。これを機会に、漠然とした不安を、より具体的な不安に変換してみてください。方法は簡単です。40代に入ってくれば、家計収支はある程度安定してきているはずなので、現在の家計をじっくりと見つめてください。リタイア後の必要生活費が見えてくるはずです。

食費や公共料金はリタイア後もかかります。子どもたちが巣立つことで多少は減ることを想定してもよいでしょう。住居費は、住宅ローンの返済が終われば維持費だけで済むようになります。賃貸住まいの人の家賃はそのままかかります。教育費はほとんどなくなるでしょう。保険料は、契約の仕方にもよりますが、リタイア後に高額の保険に加入し続ける可能性は低いでしょう。そして、その他の支出(趣味やレジャーにかかるお金、その他雑費)はリタイア後のほうが多少増える傾向があります。

このように、現在の家計からリタイア後の生活を予想していくわけです。自分または自分たち夫婦の老後生活費を見積もることができたら、公的年金の予想額を確認します。併せて退職金額や企業年金などの金額、現在の貯蓄額などを確認しましょう。90歳や100歳まで生きていくとしたら、不足額はどの程度になるのか。もしくは不足しないのか。

確認していく過程でより不安を感じてしまう可能性もゼロではありませんが、漠然とした不安を抱えているよりはよっぽどいいはずです。不安が明確になれば、解決策を練ることができます。自分や自分の家族のことを大切に思うのであれば、「よくわからないから考えない」のではなく、「よくわからないけど、わかる部分で考えていく」というスタンスが重要ではないでしょうか。自分で考えていくのは難しいと思われるのであれば、ライフプランシミュレーションの経験豊富なFPに相談してみるのもひとつの方法です。信用できるFPを探してみてください。可能であれば複数のFPにシミュレーションをしてもらうと、妥当な線が見えてくるでしょう。

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