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コラムColumn

  • 2019.03.14
  • 相続
  • 田中 美子

40年ぶりの民法改正(相続法)

昭和55年以来約40年ぶりと言われる改正で、よく40年もの長い間、見直しされなかったなぁという印象を受けます。現在の暮らしに合わせた配偶者の生活配慮や今後の高齢化社会を見込んでの改定で、将来私たちの生活にも直接関係する法改正です。

1.配偶者の居住権を保護するための方策
配偶者が相続開始時に住んでいた被相続人所有の建物に、終身または一定期間、配偶者に建物の使用を認める法定の権利(配偶者居住権)が新設されます。現行では配偶者が居住建物を取得する場合には、他の財産を受け取れなくなってしまうケースが発生しましたが、この法改正により自宅に住み続けながらその他の財産も取得できるようになります。また本権利は、遺言などで配偶者に取得させることができます。

2.遺産分割に関する見直し等
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈または贈与がされたときは、 持ち戻しの免除の意思表示があったものと推定し、被相続人の意思を尊重した遺産分割ができるようになります。
現行では原則として遺産の先渡しを受けたものとして取り扱うため、配偶者が最終的に取得する財産額は結果的に贈与がなかった場合と同じになりますが、この法改正により原則として遺産の先渡しを受けたものと取り扱う必要がなくなり配偶者はより多くの財産を取得できるようになります。持ち戻しの対象から外れるのは配偶者にとって有利な改正です。

また遺産分割前の払戻し制度の創設により、現行法では遺産分割が完了するまでの間は、相続人単独では預貯金債権の払い戻しができないのですが、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるようになります。一定割合で金額の上限がありますが、凍結されて引けなくて困った、葬式代が払えないなどという話はよく聞きますので安心です。
更に遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲も明文化されました。特別受益のある相続人が、遺産分割前に遺産を処分した場合に不公平な結果が生じることのないよう処分された財産(預金)につき遺産に組み戻すことについて処分者以外の相続人の同意があれば、処分者の同意を得ることなく処分された預貯金を遺産分割の対象に含めることを可能としています。

4.遺言制度に関する見直し
現行法では自筆証書遺言を作成する場合には全文自書する必要がありました。財産目録まで自筆です。自筆証書遺言の方式の緩和としては自筆証書にパソコン等で作成した目録を添付、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を目録として添付して遺言を作成できるようにします。但し、添付したパソコン作成の目録や通帳のコピーには署名押印が必要です。また遺言執行者の権限を明文化することや法務局で自筆証書遺言の保管制度が創設されました。

4.遺留分制度に関する見直し
遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行法の規律を見直し、遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることにします。事業承継において支障になっているケースが多いのですが今後10年間位事業承継を抱える企業が莫大な数になると聞いています。

5.相続の効力等に関する見直し
相続させる旨の遺言等により承継された財産については、登記等の対抗要件なくして第三者に対抗することができるとされていた現行法の規律を見直し、法定相続分を超える権利の承継については、対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないようになります。「法定相続分を超える」という点がポイントです。

6.相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求できる制度(特別の寄与)が創設されます。長寿社会になり介護者も増える中、長男の妻や親族がどんなに尽くして介護をしても相続権はないという不公平感がありました。

2019年1月より段階的に施行されます。誤った理解をされないよう施行日や詳細は法務省などのホームページ(※)でご確認ください。

※法務省:http://www.moj.go.jp/

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