コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFP認定者
- 1級FP技能士
- 1級DCプランナー
- 住宅ローンアドバイザー
- 確定拠出年金教育協会 研究員
- アクティブ・ブレイン・セミナー マスター講師
- 2019.02.07
- 投資
夢を買うなら株式投資でしょ!?
まずは誤解しないでください。私はFPとして株式投資を推奨しているわけではありません。資産運用を考えるなら、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式などといったさまざまな資産を、幅広く分散投資している投資信託などでポートフォリオを作っていくことが先決です。必ずしも株式の個別銘柄を保有しておく必要はありません。
そもそも資産の一部であったとしても、大切なお金を一企業の栄枯盛衰にゆだねるというのは、FPが行う一般のお客さま向けの資産運用アドバイスとしては適切ではありません。リスクが高すぎます。私も20年以上FPとして活動していますが、一度たりとも一般のお客さまに株式の個別銘柄への投資をすすめたことはありません。
しかし一方で、元証券マンとしては、株式投資の魅力については多くの人に知っておいてほしいと思うのです。実際に株式投資をするかどうかは個人の自由ですが、アメリカを中心とした資本主義経済において株式市場の存在は欠かせませんし、株式市場の動向が私たちの生活に多かれ少なかれ影響を及ぼしていることなどを考えると、株式投資や株式市場のことを知ることは、社会の仕組みを知ることにもつながるからです。
ところで皆さんは、「日本の株価が大きく下がっても、株式投資をしていない自分には何の関係もない」と思っていませんか?
これ、大きな間違いですからね。
あなたが株式投資をしていなくても、株式投資をしている個人投資家や機関投資家が評価損をかかえることによって、新たな投資が少なくなったり、財布の紐を固くして買い物に行かなくなる人が増えたりすると、いずれはあなたの会社の売り上げも減少し、結果として給与やボーナスに悪影響が及ぶことにもなりかねないわけです。
逆に、日本の株価が上昇すると、儲かった人や儲かった企業などが新たな投資をしたり、買い物に行ったりします。あなたの会社も売り上げが増加し、給与やボーナスに好影響が出るはずです。つまり、私たちは、個人的には株式投資をしていなかったとしても、株式市場の動向の影響を多かれ少なかれ常に受けているわけです。やはり、TVやネットの経済ニュースは、すべて自分に関係のあるものと思いながら見ておくべきでしょう。
前置きが長くなりましたが、株式投資の魅力に戻りましょう。
そもそも株式会社は、株主からの出資金を元手に事業活動を行います。株主の出資に対する返済の義務はありません。借りっぱなしでいいのです。株主が換金したくなったときには証券取引所などを通じて誰かに売ることで現金化できます。ちなみに、誰もが自由に売り買いできる銘柄は、原則として証券取引所などに株式を公開(上場)している企業に限定されます(2019年1月29日現在、東京証券取引所市場第一部上場銘柄数2,127銘柄)。
株式投資の一番の魅力は、自分が出資(投資)した企業(銘柄)の成長の恩恵を、配当金や株価上昇というかたちで受けられることでしょう。もちろん、企業の成長とは関係なく、短期的な売買を繰り返して株価の上下の変動で収益を得ようとする投機的なやり方もあります。それがいけないというわけではありません。いろいろな投資家がさまざまな思惑や相場観で市場に参加しているからこそ、市場に厚みが増して、安定的な相場になるという考え方もあるからです。
でもやはり、株式投資の醍醐味は、投資した銘柄が中長期的に大きく飛躍し、その恩恵を受けられることではないかと思います。例えば、いまから20年ほど前に株式を公開したヤフーは、公開価格が1株で70万円でした。その当時70万円でヤフーを買ってそのまま保有していたとしたら、株式分割の分も考慮すると、7年後には7億円を超えるほどに上昇したのです。70万円が7年で7億円。夢のような話です。
ほかにも、有名な企業では、セブン-イレブン・ジャパン(現セブン&アイ・ホールディングス)などもそうです。40年ほど前に株式市場に上場したセブン-イレブン・ジャパンは、当時の公開価格(最低単位)の金額は130万円でした。それを現在まで保有していたとしたら、株式分割の分も考慮すると、2億円を超えている計算になります。
似たような例は、けっして少なくはありません。トランプや花札を作っていたころの任天堂の株を買っていたとしたら、ユニクロの名前が全国区になる前のファーストリテイリングの株を買っていたとしたら、などなど。「たら、れば」を言い出したらキリはありませんが、そういった企業の成長があったからこそ日本経済全体も成長していったわけです。
証券マン時代、ある資産家のお客さまがどのようにして資産形成をしていったのか、教えてくださったことがありました。その方は、昭和30年代から株式投資を始めて、買った銘柄の株価が3倍になったら半分を売却するというルールを決めて、さまざまな銘柄を買って3倍になったら半分売る、3倍になった半分売るというのを続けていたら、平成バブル期には数百億円の資産になっていたそうです。もちろん、日本の高度経済成長時代という時代背景があったことは間違いないでしょう。しかし、株式投資の醍醐味はこういうところにあるのではないかと思います。
いつの時代も成長する企業は存在します。その成長を応援する気持ちで投資をし、中長期的に保有する。そういう投資家が増えれば、より日本の株式市場は拡大し、日本経済全体も成長していくはずです。投資した銘柄(企業)が破綻すると、ほぼゼロになるという高いリスクを十分に認識できている人はやってみてはいかがでしょうか。あ!けっして推奨しているわけではありません。自己責任でご判断ください。