コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFP ファイナンシャル・プランナー
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
- 損害保険上級資格
- DCプランナー2級
- キャリアコンサルタント
- 2021.04.08
- 投資
人生100年時代「iDeCoとつみたてNISA」の活用を
人生100年時代と言われていますが、厚生労働省発表の令和元年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.41歳、女性の平均寿命は87.45歳と過去最高を更新しました。このことからも定年後の人生が長くなり、老後の資金準備が必要であり、「2,000万円問題」と世の中を騒がしたことも記憶に新しいと思います。
この2,000万円という数字には色々問題はありましたが、多くの方が老後資金のことを真剣に考えるきっかけにはなったのではないでしょうか。いずれ必要となる老後資金準備の方法を知っておくことは重要で、相談の現場においても問い合わせが非常に増えています。特に30代、40代の方からは、「iDeCoやNISAを始めた方がいいのはわかるけど、制度やメリットがよくわからない。どちらにすればいいか?途中でお金が必要になった時は?」といった声が寄せられます。そこで双方のメリット・デメリットを知ることで、どちらが自分にあっているか、また将来の受取額は運用次第であり断言できないため、月々いくら支払えるのか等をイメージし、他の支出も想定しながらライフプランに照らしあわせて考えることが重要です。以下、特徴と注意点をご確認ください。
■iDeCoの特徴
(1)月々5,000円から始められ、掛金額を1,000円単位で自由に設定できます。積み立てが難しくなった場合は、減額・中止ができます。
(2)掛け金が全額所得控除の対象になるため、所得税や住民税が安くなります。運用益は非課税で再投資されます。
(3)将来の受け取りは、一時金または年金で選択ができ、一時金で受け取った場合には「退職所得控除」、年金の場合は「公的年金控除」を受けられます。
(4)加入資格は60歳未満であること。具体的には、国民年金の第1号被保険者である自営業者の方(免除などを受けている方や農業者年金の被保険者の方を除く)。第2号被保険者である厚生年金保険被保険者の方で企業年金のない会社員の方やiDeCo加入を認めている企業型確定拠出年金の加入者の方、確定給付企業年金・厚生年金基金に加入している方、公務員の共済組合員の方や私学共済の加入者の方(私学共済の加入者の方で、iDeCo加入を認めていない企業型確定拠出年金の加入者の方は加入できません)。国民年金の第3号被保険者である専業主婦(夫)の方などです。
(5)受け取り開始時期は、60歳以降70歳になるまでの間で選ぶことが可能です。
■iDeCoの注意点
(1)iDeCoは、老後の資産形成を目的とした年金制度で、税制の優遇がありますから、60歳にならないと原則として年金資産を引き出せません。また通算加入者期間に応じて受給できる年齢が決まります。
(2)資産の運用は自己責任で行われ、将来の受取額は運用成績により変動します。運用商品の中には、元本が確保されていないものもあり、商品の特徴をよく理解し運用商品を選びましょう。
(3)課税所得がない方は、掛金の所得控除は受けられません。
※法改正により2022年4月以降、加入年齢と受取開始年齢が75歳に拡大されます。
■つみたてNISAの特徴
(1)少額から始めることができ、投資で得られる利益が非課税になる制度です。
(2)投資できる金額は、年間40万円まで、非課税になる期間は20年間です。つまり800万円を20年間非課税で運用できます。長く続ける方がメリットがあります。
(3)積み立てが難しくなったら、停止や解約ができます。解約すれば随時現金化できる点がiDeCoと大きく違います。
■つみたてNISAの注意点
(1)対象商品が長期の積立投資に適しているとされる一部の投資信託やETFと限定されているため、商品選びには注意が必要です。iDeCoと違い、いつでも解約できることから、損得勘定が働きやすいです。したがって、価格の上がり下がりに一喜一憂することなく、長期分散投資であるという点を頭において、放っておいても気にならない程度の積立額で始めることが大事です。価格が下がったら沢山買えるので、そこで停止や解約を考えるのではなく、我慢して余裕を持って投資を楽しむことが重要かと思います。
どちらがいいかということはなく、例えばiDeCoで節税できた金額に少し追加してつみたてNISAを始めてみるとか、ご自身のライフプランをしっかり考えた上で、併用できたら理想だと思います。最後にどちらも手数料等の費用負担もありますので、金融機関選びも大事です。