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引き出し制限解除で人気化するジュニアNISAの落とし穴


2024年から引き出し制限が解除されることを受けて、一部で人気がでているのが2023年で廃止になるジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)です。「いつでも解約して現金を引き出せるようになる」「子ども(または孫)が成人になるまで非課税で運用できる」のはその通りなのですが、気を付けるべき点もあります。

■ジュニアNISAとは?
ジュニアNISAを利用できるのは日本に住む、1月1日時点で20歳未満(2023年以降は18歳未満)の子どもです。購入できるのは上場株式(日本株式・外国株式)や株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(リート=上場不動産投資信託)など。投資信託も公社債投信以外は購入できるため、つみたてNISAに比べて幅広い商品をカバーしています(金融機関によって取り扱う金融商品には違いがあります)。非課税で投資できる枠は年間80万円で、非課税期間は最長5年です。
なお、ジュニアNISAで未成年者に代わって運用管理を行う「親権者等」については、口座開設者本人の法定代理人か、法定代理人から書面で委任を受けた口座開設者の二親等以内の者に限定されています。

■2024年以降はいつでも自由に引き出せる
ジュニアNISAは2023年で廃止が決まっています。したがって2021年を含めこれから3年間利用できます。その場合、年間80万円×3年=最大240万円まで投資が可能です。これは子ども(孫)1人あたりの上限額なので、2人だと480万円、3人だと720万円まで投資できます。

また、制度廃止に伴い、2024年1月1日以降は払い出し制限が解除されます。そのため、ジュニアNISAで保有する上場株式などについては、「いつでも」課税されずに売却して引き出せるようになります。その場合には、ジュニアNISAの口座を廃止して全額を払い出すかたちになります。ですから、一部の金融商品を売却して現金化したり、上場株式の配当を受領したりはできません。そうしたお金は課税ジュニアNISA口座(払出し制限付き課税口座)に入り、口座を廃止するまで引き出せません。

また、新規に投資できるのは2023年末ですが、それまでに投資した分については成人になるまで非課税で運用をし続けることも可能です。そして、ジュニアNISAを開設している子どもが成人になると、一般NISA(2024年からは新NISA)の口座が自動的に開設され、ジュニアNISA口座で保有する商品をロールオーバーすることもできます(成人になっても、つみたてNISAには金融商品をロールオーバーすることはできません)。

■成人になるまで非課税で運用するにはロールオーバーの手続きが必要
ここで注意したいのは成人になるまで非課税で運用し続けることができる、という点です。ジュニアNISA口座で上場株式や投資信託などを購入したら、あとは成人になるまでほったらかしでよいと思っている人が多いのですが、それは違います。
ここで思い出していただきたいのは、ジュニアNISAの非課税期間は一般NISAと同じ5年ということです。つまり、非課税期間5年が終わった段階で何もしないと、課税未成年口座に時価で払い出されてしまうのです(原則、特定口座。特定口座を開設していていないときには一般口座)。
ジュニアNISAで5年を超えて非課税で運用するには、非課税期間満了時に新たなジュニアNISA枠に移す「ロールオーバー」の手続きをする必要があります(非課税期間終了時のロールオーバーでは80万円を超えていても全額ロールオーバーが可能です)。

例えば、2017年にジュニアNISA口座で購入した株式や株式投信などをロールオーバーするには、2021年末までにジュニアNISA口座を開設している証券会社などに「ロールオーバー依頼書」を提出して、2022年のジュニアNISA口座にロールオーバーする必要がある、というわけです。依頼書を提出する期限は金融機関によって異なります。早いところでは11月末や12月初旬という会社もあるので、忘れずに、期限内に提出しましょう(証券会社等によっては、住所等確認書類をあわせて提出することで、ロールオーバー依頼書をインターネット等での提出も可能です)。

しかし、ジュニアNISAの枠が設定されるのは2023年までです。では、2024年以降はどうなるでしょうか。24年以降は継続管理勘定(ロールオーバー専用勘定)にロールオーバーしていくことになります。この場合も自動的に継続管理勘定に入るわけではなく、ご自身でロールオーバーの手続きを行う必要があります。継続管理勘定では成人になるまで運用を継続できますが、新規の買い付けはできません。               
いつでも引き出せるし、成人になるまで非課税で運用できるからと猛プッシュするWEB記事やYouTubeもありますが、制度も複雑ですし、成人になるまで非課税で運用し続けるにはロールオーバーの手続きを忘れずに行う必要があります。そうしたことを理解した上で、利用を検討することが大切でしょう。

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