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加給年金でよくある勘違い


公的年金において扶養手当のような役割を果たすのが「加給年金(額)」です。65歳以降に老齢厚生年金を受け取るとき、あるいは、定額部分を含む特別支給の老齢厚生年金を受け取るときに、以下の条件を満たしていれば加算されます(共済年金等についても、おおむね同じ扱いです)。

■本人の条件  
(1)厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(※1)
(2)生計維持関係にある配偶者(または「子」(※2))がいる
■配偶者の条件
(1)65歳未満
(2)生計維持関係にある(年収850万円未満など)
(3)被保険者期間が20年以上(※1)の老齢厚生年金等を受け取っていない

※1:中高齢の資格期間の短縮の特例あり:共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15~19年
※2:公的年金制度における「子」:①18歳到達年度の末日を経過していない子、または、②20歳未満で障害年金の1級または2級の子で、現に婚姻をしていない場合。「孫」についても同様

公的年金制度はわかりにくいしくみですが、この加給年金(額)についても、勘違いされているケースが多いので、解説していきます。

1.配偶者が厚生年金に20年加入すると、加給年金はもらえなくなる?
そんなことはありません。
日本年金機構のサイトには、「配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上であるもの(※1))、退職共済年金(被保険者期間が20年以上あるもの)、障害厚生年金、障害基礎年金または障害共済年金等を受けている場合は、配偶者の加給年金額は支給停止されます。」とあります。
つまり、配偶者が老齢厚生年金等(特別支給の老齢厚生年金を含む)を受け取っていない期間については、加給年金は加算されるのです。配偶者の年金が在職老齢年金により支給停止となっている期間についても、他の条件を満たせば加給年金額の対象となります。

2.妻は対象になるが、夫は対象にならない?
夫も対象になります。
公的年金では、夫について条件が厳しくて実質的に受け取れないというものもありますが、加給年金については男女平等です。

3.配偶者の年収が多いと加算されない?
加給年金における生計維持関係とは、①同居していること(別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められる)、および②前年の収入が850万円未満であること、または所得が655万5千円未満であること、の両方を満たしている場合です。配偶者の年収が多くでも850万円未満であれば対象になります。
さらに、定年退職などにより、今後おおよそ5年以内に年収850万円未満になる見込みであれば対象になります。

4.手続きしなくても、自動的に加算される?
加給年金(額)を受けられるようになったときには、手続きが必要です。老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」などを提出します。
加入年金(額)は、事実婚の配偶者でも対象となります。

以上、よくある勘違いについてご説明しました。対象になれば、年間39万900円(2020年度)の加給年金(額)が加算されるわけですから、請求漏れは避けたいところです。条件や手続きの詳細については、年金事務所にてご確認ください。

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