FPI-J 生活経済研究所長野

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コラムColumn

  • 2020.10.22
  • 住宅
  • 黒田 尚子

もはや「ボーナス払い」はアテにすべきではない?

気がつけば、2020年ももう2ヶ月弱。デパートやショッピングモール、スーパーなどで、クリスマスケーキやおせち料理のチラシなどを見かけるようになりました。
今年は、緊急事態宣言下での外出自粛や取材、セミナー、打ち合わせ等々がオンライン一色となり、在宅で働く時間が急増。さらに、感染予防のため、外食や旅行、レジャー、子どもの行事もほぼ延期かキャンセルで、変化に乏しい毎日となりました。なので、どうも2020年を満喫した気がせず、不完全燃焼といったところです。

 

さて、この時期は、冬のボーナスの使い道などの話題がのぼる頃です。しかし、今年は、JR西日本やオリエンタルランド、JTB、スカイマーク、ANAなど、大企業各社が早々に冬のボーナスカットを打ち出しました。なんと、国家公務員も、0.05ヶ月分減と民間企業に準じてカットされるとのことですから、公務員といえども、安穏とは言えない時代です。
となると、当然ながら、家計の赤字分をボーナスで補てんしたり、住宅ローンなどでボーナス払い併用を利用したりしている方から不安の声が多く寄せられています。
しかし、そもそもボーナスは、定期的に支払われる定期給与を受け取る労働者に対して、これとは別に支払われる特別な給与です。労働基準法でも、基本給のように支払いを義務づけられているわけではありません。
支給額は、企業等が自由に設定できますし、支給の有無も自由です(なお、国家公務員のボーナス支給日は法律や条例で支給日が規定)。
ボーナスは「賞与」ともいわれるように、営業成績が良かったり、業績が好調だったりする場合に受け取れるものだということは、言わずもがなでしょう。

 

したがって、家計管理や住宅ローンなどのローンを組む場合、「ボーナスをアテにしないで計画を立てましょう」というのがFPアドバイスのセオリーとも言えます。
そして、今回のコロナ禍では、これまで、ボーナスの支給を当たり前のように感じてきた「お給料をもらっている人(雇用者)」も、ボーナスを見込んで生活をするリスクを実感されたはずです。
FPとしては、不確実なボーナスをアテにして将来の計画を立てるのは確かにリスクが高いと思います。とはいえ、住宅ローン等の「ボーナス払い」を悪だ!絶対しない方が良い!とまでは断言できないのです。

 

では、その理由を具体的に住宅ローンの試算をしながら説明しましょう。

 

※以下は、ユニステーション「お金持ち電卓」で試算

 

<プランA(ボーナス併用返済ナシ)>
30歳のときに、借入金額3,000万円、金利1%、35年返済で住宅ローンを組んだ場合
・毎月返済額84,686円、年間返済額1,016,232円、総返済額35,567,971円
・住宅ローン残高は、55歳時点9,666,766円、60歳時点4,954,069円

 

<プランB(ボーナス併用返済アリ)>
プランAと同条件+30年返済、毎月返済額の約2倍のボーナス併用返済を利用した場合
・毎月返済額82,661円、ボーナス月返済額165,792円、年間返済額1,158,194円、総返済額34,745,975円
・住宅ローン残高は、55歳時点5,644,791円、60歳時点0円

 

プランAとBの年間返済額を月額に換算すると、プランAは84,686円、プランBは約96,516円と返済期間が5年短縮できるにも関わらず、毎月の差額はわずか11,830円です。総返済額もプランBの方が821,996円圧縮できます。
特に注目していただきたいのは、60歳で返済が終了する点です。近年、住宅ローンの金利が低水準で移行していること。首都圏を中心とした物件価格(とりわけマンション)の高騰等によって、20代、30代で高額な住宅ローンを頭金ゼロ、35年返済で組んでいる方が少なくありません。
筆者としては、35年返済で、60歳以降も住宅ローンの返済が続くリスクは、かなりの負担になると考えています。「退職金で返済すれば良いのでは?」と皆さん口を揃えますが、退職金もどの程度受け取れるか定かではありません。
さらに、最初から最大の35年返済で住宅ローンを組んでしまうと、今回のコロナ禍のような事態に陥った時、延長などの返済方法も見直しが難しくなります。

 

ボーナス払いの額や毎月返済のみにするなどの変更は後からでも可能です。これから住宅ローンを組んでマイホームを購入する方は、ボーナス払いは絶対やらない方が良いと思い込まず、個々の状況に応じて、シミュレーションされることをお勧めします。
もちろん、その場合は、ボーナス払いのメリット・デメリットを十分理解し、ボーナスをアテにせず、ボーナス月の分を毎月少しずつ貯めておく。ボーナス払いの割合を、借入額の10%程度にとどめておくなどの工夫は必要でしょう。

 

日々、さまざまなご相談を受けていると、お客さまの状況が個別具体的になっていると感じます。時代の流れは速く、ちょっと前の認識やアドバイスが通用しないケースも増えています。相談を受けるFP側も、新しい情報や状況にキャッチアップが欠かせません。

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