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養子縁組と相続


相続において、養子の扱いはやや複雑になります。相続人としての扱いは、原則として実子と養子は同じ扱いになるものの、その子(被相続人の孫)が代襲相続人になるかどうかについては、その子が生まれた時期が関わってくるからです。一方、相続税の計算においては、基礎控除額の「法定相続人の数」にカウントされる養子の数には制限があります。
実子と養子にどのような違いがあるのか、まとめてみます。

 

1.民法における養子の扱い(第一順位の相続人)
法律の養子縁組届により子となった養子は、血縁関係のある実子と同じ扱いになります。
民法の809条(嫡出子の身分の取得)には、「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」とあります。つまり、養子は、その養子縁組の届出をした日から養親の嫡出子となるのです。ですから、他に実子がいた場合でも第一順位の相続人となります。

 

2.相続税法における養子の扱い
相続税で、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続分の数)や、死亡保険金の非課税(500万円×法定相続人の数)などを計算するとこの「法定相続人の数」については、養子の制限があります。
これらを計算するときの法定相続人には、実の子どもがいる場合には1人まで、被相続人に実の子どもがいない場合には、2人までの養子を計算に含めることができます。ただし、特別養子や、その養子が被相続人の配偶者の実子の場合などには、人数制限はありません。
民法と相続税法では、養子の扱いが異なる点に気を付けましょう。

 

3.特別養子
養子には、「普通養子」と「特別養子」があります。
普通養子縁組が養親と養子の合意のもと、届出をすれば成立するのに対し、特別養子縁組は、養親となる人が養子の父母等の監護が著しく困難または不適当などの特別な事情がある場合に、子の利益のために必要と認められる場合に、家庭裁判所によって成立させる縁組です。
普通養子の場合は実の親やその血族との関係は変わらないため、実の親の相続人にもなります。一方、特別養子になると、実の親およびその血族との関係はなくなります。 
ただし、夫婦の相手方の連れ子を特別養子とする場合は、その相手方および相手方の血族との親族関係は終了しません。たとえば妻の連れ子を夫が特別養子としても、実親である妻や妻の血族との関係は残るということです。

 

4.兄弟姉妹としての養子の扱い(第三順位の相続人)
兄弟姉妹の相続でも、実子と養子は同じ扱いになります。兄弟姉妹が複数いるときには、法定相続分を均等割した割合になります。
ただし、父母が離婚した場合など、どちらから一方の実親だけが縁組している養子の兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)の場合には、父母双方が同じである兄弟姉妹(全血の兄弟姉妹)の相続分の2分の1となります。民法では「ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする(民法900条4号)」と定めています。

 

5.養子の代襲相続の扱い
子や兄弟姉妹の相続における代襲相続では、養子の子(被相続人の孫や甥姪にあたる人)が、養子縁組前に生まれていた場合には代襲相続人にはなりません。大人になってからの養子縁組では注意が必要なポイントです。

 

子連れ再婚の家庭では、家族同然に暮らしていても再婚相手と連れ子が養子縁組していないケースが多々あります。相続の取扱いを知ったうえで選択したのなら良いですが、知らないことによる悲劇やトラブルを防ぐためには、多少おせっかいであっても、周りの方が教えてあげることも大切ではないかと思います。

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