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コラムColumn

  • 2020.09.10
  • 損害保険
  • 市川 貴博

自然災害に備える住宅ローンが最近のトレンド!?

今年も風水害による被害が増加していますが、2018年には台風21号の被害により、火災保険では過去最高金額の9,363億円が支払われました。また、台風24号で2,946億円、中国・四国地方を襲った7月豪雨では1,673億円と、3つの自然災害だけでも1年間で1兆3,982億円の保険金が支払われています。

 

2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で支払われた保険金がおよそ1兆2,833億円ですから、風水害に対しても震災と同様に、経済的な備えが必要です。地震、噴火、津波に限らず、日常的に起こる可能性のある落雷、水災、風災、ひょう災、雪災などの自然災害で、所有する住宅に住めなくなった場合でも住宅ローンは返済しなければならず、しっかりと対策をしておきたいところです。

 

最近では自然災害時における住宅ローンの返済負担を軽減する「自然災害時の補償特約付き住宅ローン」の取り扱いが増えています。大きく分けて2種類あるので、タイプごとの特徴や注意点を理解しておきましょう。

 

約定返済保障型
三井住友銀行が2008年4月に、エース損害保険株式会社(※1)を引受保険会社(※2)として業界初の「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン」の販売を開始しました。金利を0.1%上乗せすることで、自然災害による自宅の罹災の程度(※3)が全壊で24回、大規模半壊で12回、半壊で6回のローン返済額相当が払い戻され、実質的にその間の返済負担が無くなります。保障対象になるのは、地震、噴火、津波、落雷、水災、風災、雪災により、罹災した住宅を再建築した場合に限られます。

 

このタイプの保障付き住宅ローンは近年特に増加しており、2016年9月から2020年8月までに、常陽銀行、筑波銀行、新生銀行、愛媛銀行、北日本銀行、みずほ銀行、りそな銀行、横浜銀行、千葉銀行の順に(※4)取り扱いを始めました。負担する上乗せ金利は0.035%~0.25%と差がありますが、保障対象になる災害も各銀行により異なるため、金利の安さだけでは正しく比較できません。

 

また、カーディフ損害保険会社が保険を引き受ける愛媛銀行と北日本銀行は、火災や上空からの物体の落下、車の衝突などで家が損壊して住めなくなった場合も保障の対象になりますが、ローン返済の補償期間が6回分(愛媛銀行は通算36回、北日本銀行は最長12回)と1度の災害に対する補償期間が短いのも特徴です。

 

残高補償型
三井住友銀行は、自宅が全壊時にローン残高の半額を保障する「残高保障型」の併売を2014年2月から開始しています。保障対象になる災害は地震、噴火、津波に限定されますが、建物が全壊と認定された場合、建物ローン残高(※5)の50%が保険金として支払われ、住宅ローンの元金返済に充当されます。ローン残高が大きく減る一方で残りの返済期間は変わらないため、月々の返済額が小さくなります。

 

三井住友銀行の後には、みずほ銀行、りそな銀行、横浜銀行の順に、スイス・リー・インターナショナル・エスイーや損害保険ジャパン日本興亜株式会社を引き受け先として取り扱いを開始しています。

 

上乗せ金利は0.3%~0.5%と約定返済保障型と比べて割高です。2,000万円の建物に住宅ローンを金利1.48%(固定金利)、35年返済、元利均等返済で2,000万円借りた場合、毎月の返済額は61,041万円ですが、0.5%金利を上乗せすると返済額は5,006円増え、支払う利息は年間で60,072円の増額になります。これが残高保障型の保険料だとすると、東京都内で2,000万円の戸建て住宅(T構造)に対する年間地震保険料22,500円と比べて高額です。しかし、震災で住まいを失った時に、加入している自然災害共済や地震保険と、残高保障型の特約付き住宅ローンでローンが完済できるのであれば、それは大きな魅力ともいえます。

 

大きな地震や風水害はいまや身近な災害であり、また経済的にも大きな負担を強いられる可能性のある自然災害です。しっかりと備えるための選択肢を知り、自分自身で選択することが大切です。

 

※1 現在はChubb損害保険株式会社
※2 2016年2月1日からスイス・リー・インターナショナル・エスイーに変更
※3 罹災証明書記載の罹災の程度
※4 関西アーバン銀行も取り扱いを開始したが、現在は関西みらい銀行となり取り扱いは終了している
※5 削減される住宅ローン残高は建物に対するローンのみに限定され、土地や諸費用に充てたであろうローン部分は対象外

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