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コラムColumn

  • 2020.09.03
  • その他
  • 菱田 雅生

GDPが戦後最大の落ち込みを記録!そもそもGDPとは?

8月17日、2020年4-6月期の四半期別GDP速報(1次速報)が公表されました。実質GDPの伸び率である「実質経済成長率」が、前期比▲7.8%(年率換算で▲27.8%)という戦後最大の落ち込みだったようです。新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃が、過去にないレベルであったことがわかりますが、今回は、このような経済情勢が語られるときに必ず出てくるGDPそのものについて、知っておくべきポイントをまとめます。

 

GDPは、 Gross(総額)Domestic(国内の)Product(生産物、成果)の頭文字をとったもので、日本語では、「国内総生産」と呼ばれます。そもそもGDPとは、「国民経済計算」(System of National Accounts、SNA)と呼ばれる統計のなかの1つです。
国民経済計算(SNA)とは、その国の経済状況について、フロー面(生産、消費・投資など)とストック面(資産、負債など)を体系的に把握するための統計です。
日本の場合は、「四半期別GDP速報」と「国民経済計算年次推計」からなっていて、GDP速報は、速報性を重視し、フロー面を四半期別に公表しています(四半期ごとの1次速報と2次速報があり、年8回の公表)。年次推計は、フロー面だけでなく資産や負債といったストック面も含めて年1回公表されています。
この国民経済計算(SNA)は、各国の比較ができるように国連によって基準が作られています。現在は、2008年に採択された2008SNAとなっています。

 

そして、GDPの数値は何を意味しているのかというと、ひとことで言えば「一定期間内に国内の経済活動によって生み出された付加価値の総額」です。「付加価値」というのは、簡単に言うと「儲け」です。
パンを例にして考えてみましょう。
まず、小麦農家が小麦を作って10という値段で製粉会社に売ったとします。
製粉会社は10という価格で仕入れた小麦を製粉し、10という利益を乗せて合計20という価格で小麦粉をパン屋さんに売ります。
パン屋さんは20という価格で仕入れた小麦粉でパンを作り、10の利益を乗せて合計30という価格でパンを売ります。
この場合の小麦農家、製粉会社、パン屋さんのそれぞれの利益10の合計30がGDPの「生産側」の値となります。そして、そのパンを買った消費者が支払うお金30はGDPの「支出側」の値となります。

 

これが、「生産=分配=支出」という等式が理論的には成り立つという「三面等価の原則」です。生産された利益や儲けは、給与や配当金などのかたちで分配され、最終的には支出されます。そのため、GDPの生産側の値とGDPの支出側の値は、理論的には等しくなるのです。ちなみに、以前はGDPの支出側の値を、国内総支出(Gross Domestic Expenditure、GDE)と呼んでいましたが、2004年度から「国内総支出」の表記を「国内総生産(支出側)」に変更しています。
簡単に言えば、GDPの生産側の値は、「国内でいくら儲かったか」を意味していて、GDPの支出側の値は、「国内でいくら使われたか」を意味しているわけです。そして、儲かった金額と使われた金額は、理論的には等しくなるのです。

 

使われた金額であるGDPの支出側の値は、「国内需要(内需)」と「財貨・サービスの純輸出(外需)」に大別できます。なかでも金額が最も大きいのが、内需のなかの「民間最終消費支出」いわゆる個人消費です。日本の個人消費は、年間約500兆円のGDPのうちの6割近く、約300兆円を安定的に占めています。
だからこそ、個人消費がGDPの伸び率(=経済成長率)に与える影響は非常に大きいと言えます。今回のGDP速報では、住宅や設備投資の落ち込みよりも、個人消費の落ち込みがかなり大きく、全体の落ち込みを拡大させたようです。

 

なお、GDP速報などでよく見かける「名目」と「実質」という言葉は、「名目値」と「実質値」のことです。名目値は表面的な値、時価を意味していて、実質値は一定の基準時点の値に直したものを意味しています。GDPの場合、名目GDPは時価、実質GDPは基準時点からの物価の変動を差し引いた価格となっています。注目度が高いのは、実質GDPのほうです。
なぜなら、物価が上がるとその分だけ金額は増えますが、実質的な価値は増えていないと考えられるからです。例えば、500兆円のGDPが1%増えて505兆円になったとしても、その間の物価上昇率も同じく1%だったとすると、GDPが増えたのは物価が上がったからで、付加価値そのものは増えていません。やはり、実質値に注目すべきでしょう。

 

ちなみに、今回の実質GDPの値が前期比▲7.8%で、それを年率換算すると▲27.8%になるという計算は、1-0.078=0.922を4乗することで求められています。
四半期の数値▲7.8%を単純に4倍すると、▲31.2%となりますが、四半期連続で▲7.8%の変化が起きるものとして年率換算をしています。
したがって、(1-0.078)×(1-0.078)×(1-0.078)×(1-0.078)=0.722・・・ となり、▲27.8%になるわけです。

 

今回、戦後最大の落ち込みとなったGDPですが、同時期のアメリカ(▲32.9%)、イギリス(▲約60%)、ドイツ(▲30%超)などと比較すると、まだマシだと言われています。次回7-9月期の1次速報の公表は11月中旬ごろです。多少は回復するという見通しが出ていますが、どうなるのか。要注目です。

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