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誤解続出?金融庁要望の2026年度NISA改正案とは


2025年8月、金融庁は、令和8年度(2026年度)税制改正の要望を公表しました。その中には、NISAの制度拡充に関する要望も3項目盛り込まれていました。

今回は、まだ決定事項ではありませんが、金融庁が要望として出したNISA改正案とはどんなものなのか、ポイントを整理したいと思います。特に3つ目の項目については、ネット上に流れている情報を見ると、かなり誤解している人が多いようなので、正しく解説していきます。

金融庁が出したNISAに関する要望は以下の3点です。
1. こども支援の一環としての、つみたて投資枠における対象年齢等の見直し
2. 様々な資産運用ニーズに応えるための、対象商品の拡充等
3. 投資商品の入替をしやすくするための、非課税保有限度額の当年中の復活

では、1つずつポイントを整理しましょう。

1. こども支援の一環としての、つみたて投資枠における対象年齢等の見直し

これは、子ども家庭庁との共同要望として出されている項目で、NISAの「つみたて投資枠」に限定し、利用可能年齢を18歳未満に拡大するというものです。

2023年までの旧NISAには、未成年者を対象とするジュニアNISAがありましたが、18歳まで引き出すことができないなどの利便性の悪さから、利用者があまり増えず、2024年からの新NISAスタート時に未成年者は対象外となってしまった経緯があります。

今回、2年の空白期間を置きましたが、未成年者でもNISA口座を開ける道が作られる可能性が出てきたわけです。親が子へ、祖父母が孫へ、贈与しておきたいというニーズは、一定程度はあるはず。非課税投資枠が年間120万円までの「つみたて投資枠」に限定されるとはいえ、子どものころから積立投資を実践し、長期運用ができる効果は大きいでしょう。

例えば、10歳の子どものころから毎月1万円の積立投資を始めて、平均利回りが年5%だったと仮定すると、60歳になる50年後には、元本600万円が約2,680万円になります。

また、仮に0歳から毎月10万円(年間120万円)の上限まで積立投資ができたとすると、15歳のときに非課税保有限度額(生涯投資枠)の元本1,800万円に達します。それをそのまま50年間、65歳まで運用を続けたとすると、平均利回り年5%で元本1,800万円が、なんと3億779万円にもなるのです。長期間運用できる効果は本当に大きいものですね。

2. 様々な資産運用ニーズに応えるための、対象商品の拡充等

これは、具体的な商品名などにはまったく触れられていないので、どのような拡充が行われるかは不明です。ただ、9月現在、つみたて投資枠で買えるファンドが343本、成長投資枠で買えるファンドが約2,500本と、かなりの差があるので、拡充されるのはつみたて投資枠の対象商品だと考えられます。

ネット上では、毎月分配型ファンドが加えられるのではないか、といった憶測も出ていますが、2024年の新NISAになるときに、成長投資枠で買えるファンドからも毎月分配型を排除した経緯があるので、その可能性はないでしょう。

「NISAに関する有識者会議」の資料によると、地域別(ヨーロッパ、アジアなど)の株価指数に連動するファンドや、株式よりもリスクの低い債券だけで運用するファンドなどが追加される可能性があるようです。特定の国や地域に詳しい人や、値動きに慣れていない人などにとっては朗報かもしれません。

3. 投資商品の入替をしやすくするための、非課税保有限度額の当年中の復活

これは、非課税保有限度額(元本1,800万円、うち成長投資枠は元本1,200万円)に達した後、売却して空いた枠を使えるようになるのを、現行の「翌年」から「当年中」に変更するというものです。

あくまでも、復活するのは「非課税保有限度額」であって、「非課税投資枠」ではない点に注意が必要です。つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間360万円の非課税投資枠は不変です。なので、NISA口座で360万円分の投資をしたら、その年は、NISA口座内で保有する商品をいくら売却したとしても、もうNISA口座内で買うことはできません。この点を誤解している人が多いようです。

したがって、今回の改正が決まったとして、その恩恵を受けられる人は、非課税保有限度額にすでに達している人、または、年内に非課税保有限度額に達する予定の人で年間360万円の非課税投資枠を使い切れない人です。

つまり、新NISAになってまだ2年弱なので、この改正が影響する人は誰もいません。最速でも4年後の2029年になって初めて恩恵を受ける人が出てくるかもしれない程度です。

とはいえ、年間360万円の非課税投資枠は変わりませんし、売却して空いた枠が使えるといっても、使えるのは元本部分のみです。利益が出ている部分の再利用はNISA口座ではなく課税口座に移す必要があります。そういう意味では、商品の入れ替え(=スイッチング)が自由にできる状態には程遠いものだと言えます。

もちろん、制度が少しずつでも改良されていくのは歓迎したいのですが、今回の話は小粒な改正内容だと言えそうです。年末の税制改正大綱にどのように盛り込まれるのか、注目しておきましょう。

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