コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFPファイナンシャル・プランナー
- 生活経済研究所長野 主任研究員
- 2025.07.24
- ライフプラン
【2025年5月26日施行】戸籍にフリガナが記載されます
2025年5月26日から、戸籍に「氏名のフリガナ(読み仮名)」が正式に記載される制度がスタートしました。これまで戸籍には漢字表記のみが記載されており、読み方については明確に記録されていませんでしたが、今回の法改正によって、公的に「名前の読み方」を記載する仕組みが導入されることとなりました。
多くの方にとって手続きは不要ですが、誤ったフリガナが登録されないよう、通知の内容を確認することが大切です。このコラムでは、制度導入の背景、変更点、注意すべきポイントをわかりやすく整理します。「自分は手続き不要だろう」という思い込みが、将来の不利益につながる可能性も否定できません。まずはご自身の状況を正しく把握することが重要です。
■ なぜ戸籍にフリガナが必要なのか?
この制度の背景には、社会の変化があります。
一つは、行政のデジタル化の加速です。マイナンバー制度を中心に、行政サービスのオンライン化が進むなかで、戸籍にフリガナが記載されていないことが、システム間での本人照合の妨げになっていました。住民票やマイナンバーカードにはすでにフリガナが記載されていますが、戸籍と連携するためには、読み方を統一する必要があります。
もう一つは、氏名の読み方の多様化です。「心愛(ここあ)」「翔(かける)」「碧(あお/みどり)」のように、読み方が一通りでない名前が増えており、学校や医療、行政の現場で確認の手間や誤記が生じることもあります。こうした社会の変化に対応するため、戸籍にフリガナを記載する制度が導入されることになりました。
■ 何がどう変わるのか?
2025年5月26日以降、戸籍に「氏名のフリガナ(カタカナ表記)」が記載されるようになります。新たに戸籍を作成する出生届や婚姻届などでは、フリガナの届け出が必須となりますが、すでに戸籍がある方については、住民票に記載されているフリガナをもとに、市区町村が職権でフリガナを戸籍に記載します。
その際、登録予定のフリガナを記載した通知書が、本籍地の市区町村から紙の郵送で本人宛てに送られます。通知の内容に誤りがない場合、手続きは不要です。
また、マイナンバーカードを保有している方は、マイナポータル上でもフリガナを確認することができ、必要に応じてマイナポータルから届出を行うことも可能です。これにより、通知書が届く前に内容を確認したり、早期にフリガナが記載された住民票や戸籍証明書を取得したりすることもできます。
■ご注意ください:フリガナ変更の重要ルール
もし登録予定のフリガナに誤りがある、または別の読み方を希望する場合は、ご自身で変更の届出を行えますが、その際には以下のルールに注意してください。
【申し出期間は1年間のみ】
変更の申し出は2026年5月25日までです。この期限を過ぎると、家庭裁判所の許可がなければ変更できません。
【変更の機会は生涯に一度だけ】
この申し出による変更は1回限りです。後日の再変更は原則として認められません。
■ フリガナのルール ~どこまで自由に決められる?
戸籍に登録するフリガナは、自由に決められるものではなく、「氏名に用いられる漢字の読みとして一般に認められているもの」に限られます。個性を重視した読み方であっても、社会通念上、漢字の読みや意味と著しくかけ離れている場合は、認められない可能性があります。
【認められると考えられる読み方の例】
(1) 漢字の基本的な音読み・訓読み
例)高橋(たかはし)、花子(はなこ)
(2) 人名で広く使われている読み(名乗り読み)
例)翔(かける)、悠(はるか)、大翔(ひろと)
※「翔=かける」などは辞書に載っていないが、名前として広く使われているため認められるケースが多い
(3) 長く一般に使われてきた人名の読み
例)愛(あい)、一(はじめ)、誠(まこと)
【認められない可能性のある読み方の例】
(1) 漢字の意味や音と無関係な創作的な読み方
例)光(きらめき)、優(りぼん)
(2) 漢字の意味と矛盾する読み
例)高(ひくし)、強(よわし)
(3) 記号的で識別困難な読み方
例)☆(ほし)、ー(のばし)
■ 自分には何が必要?~ケース別の確認ポイント~
① 住民票にフリガナがある方(ほとんどの人が対象)
国は、住民票に登録されているフリガナを元にして、戸籍への登録を自動的に進めます。そのため、その「元データとなるフリガナ」に間違いがないかをご自身で最終確認していただく必要があります。
その確認のために、市区町村から「このフリガナで登録します」という内容の通知が郵送で届きます。通知に書かれたフリガナに問題がなければ、特別な手続きは一切不要です。
② 通知されたフリガナを訂正・変更したい場合
2025年5月26日から2026年5月25日までの1年間に限り、市区町村へ申し出ることができます。申し出は1回限りとされていますので、慎重に判断しましょう。
③ 出生・婚姻などで新たに戸籍が作られる場合
2025年5月26日以降、戸籍に記載される氏名とともに、フリガナの届け出が義務づけられます。読み方のルールに沿って届け出ましょう。
④ 海外に在住し、住民票がない方
住民票がない場合でも、本籍地の市区町村が職権でフリガナを記載します。変更を希望する場合は、在外公館(大使館など)を通じて申し出ることができます。
■ 詐欺にも注意 ~登録料などを請求する連絡は要注意
制度改正に便乗した詐欺にもご注意ください。「フリガナ登録には手数料がかかる」「登録しないと罰金が発生する」といった電話やメールは詐欺の可能性があります。行政機関が電話やSMSでフリガナの登録に関する費用を請求することは一切ありません。不審な連絡があった場合は、消費生活センターや警察に相談してください。
■ 通知の確認が、正しい記録の第一歩
戸籍にフリガナが記載される制度は、名前の読み方を公的に記録するという、これまでにない新しい取り組みです。今後は行政サービスの利便性が向上する一方で、誤ったフリガナが登録されると、本人確認や各種手続きに思わぬ支障が生じるおそれもあります。
制度の開始にあたっては、誰にとっても最初の確認が重要です。通知書が届いたら必ず内容を確認し、必要があれば速やかに申し出を行いましょう。正確な情報を公的記録に残すことが、これからの生活の安心と円滑な手続きにつながります。
