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今こそiDeCoで、「金も活かす」分散投資を


老後資金づくりの手段として活用されているiDeCo。掛金が全額所得控除になるなど税制優遇が魅力ですが、真に効果を発揮するためには「何に投資するか」が重要です。長期運用を前提とするiDeCoにおいては、値動きの異なる資産を組み合わせて投資する「分散投資」の考え方が大切になります。

分散投資とは、株式や債券など、値動きの方向性やタイミングが異なる資産をバランスよく保有することで、一つの資産が下落した場合でも他の資産でカバーし、全体としてリスクを抑える運用方法です。特にiDeCoでは「金」「米国株式」「国内債券」の3つを組み合わせることで、景気変動や市場のショックに対して耐性のあるポートフォリオを構築できます。

■金は有事に強い「価値の保険」
「金(ゴールド)」は、インフレや地政学リスクなどの有事に強い「価値の保険」ともいえる資産です。発行体が存在しない実物資産であるため、通貨の信用不安が高まるときに買われやすく、株式市場と異なる動きをする傾向があります。特に金はドル建てで取引されているため、為替相場の影響も受けます。たとえば、円安が進行する局面では「為替ヘッジなし」の金連動ファンドは、円建て価格が上昇しやすくなります。一方で、「為替ヘッジあり」のファンドは、こうした円安メリットは抑えられます。iDeCoのラインナップでは、「三菱UFJ純金ファンド(SBI証券)」、「ステートストリート・ゴールドファンド/為替ヘッジあり(楽天証券)」、「ゴールド・ファンド/為替ヘッジあり(マネックス証券)」などが採用されています。

■米国株式は成長性に優れた「長期投資のエンジン」
「米国株式」は長期的な成長性に期待できる資産です。特に近年はGAFAなどのハイテク企業の成長を背景に、米国株式市場は堅調に推移しています。米国のS&P500指数に連動するインデックスファンドは、世界中の投資家に利用されており、長期投資との相性が良いとされています。iDeCoでも、「eMAXIS Slim米国株式S&P500(SBI証券・マネックス証券)」のような商品が採用されており、低コストで広く分散された米国株投資が可能です。短期的には値動きが大きくなることもありますが、長期で見ると成長の恩恵を受けやすい資産です。

■国内債券は値動きを抑える「守りの資産」
「国内債券」は比較的安定した値動きが特徴の資産です。特に日本国内の債券市場は長らく低金利が続いており、大きなリターンは期待しにくいものの、株式や金に比べて価格の変動が小さく、ポートフォリオ全体の値動きを抑える「守りの役割」を果たします。相場が不安定なときに安定感をもたらす存在として、一定の割合を持っておく価値は十分にあります。

このように、金・米国株式・国内債券という3つの資産は、それぞれ異なる場面で強さを発揮します。景気が好調な時には米国株が上昇しやすく、景気後退や市場の混乱時には金や債券が下支えとなるケースが多く見られます。インフレや金融不安が高まる場面でも、実物資産である金が注目される傾向があります。この異なる値動きを利用して組み合わせることで、資産全体のリスクを軽減する効果が期待できるのです。

■分散割合の具体例
<SBI証券>
・ 三菱UFJ純金ファンド(ファインゴールド):40%
・ eMAXIS Slim米国株式(S&P500):40%
・ eMAXIS Slim国内債券インデックス:20%
※参考値:期待収益率10.4%、標準偏差8.8%

<楽天証券>
・ ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり):40%
・ 楽天・プラス・S&P500インデックスファンド:40%
・ 明治安田DC日本債券オープン:20%
※参考値:期待収益率8.3%、標準偏差7.8%

<マネックス証券>
・ ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり):40%
・ iFreeNEXT NASDAQ100インデックス(米国株式):40%
・ 三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金):20%
※参考値:期待収益率10.3%、標準偏差9.0%

※参考値はいずれも2015年3月~2025年2月までの運用実績をもとに、生活経済研究所長野にて計算

このようなバランスをとることで、高いリターンを狙いつつも、過度なリスクを回避するポートフォリオが構築できます。iDeCoでは運用商品を自由に組み合わせることができるため、自分自身のリスク許容度や年齢、運用期間に応じて調整していくことが大切です。

■今こそ、「金も活かす」分散投資を
伝統的には、「株式」と「債券」による分散投資が王道とされてきましたが、そこに「金」という実物資産を加えることで、異なる経済環境下でも資産全体のバランスを取りやすくなります。特に金は、株式や債券と異なる値動きをする場面が多く、地政学リスクやインフレ、金融不安といった局面でのリスク緩和に有効です。

このように、株式・債券・金という異なる資産クラスを組み合わせた分散投資は、リスクを抑えながら長期的なパフォーマンスの安定や改善につながる可能性があります。iDeCoという長期運用に適した制度の中でこそ、このような戦略が真価を発揮します。

老後の安心を築くために、今こそ「金も活かす」分散投資を、iDeCoで実践してみてはいかがでしょうか。

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