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「やっぱりナシ」にできる!?超低金利の変動金利には注意が必要?


日銀がマイナス金利政策を解除し、長期金利は【フラット35】の金利も2%が見える中、「変動金利もそろそろ金利が上がるのでは!?」という声も出始めました。実際に変動金利の金利上昇はもう少し先かもしれませんが、それでも「いつかは上がる可能性が高い」のが変動金利です。

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2023年10月調査)」によると、住宅ローン利用者の92.8%が金利変動のある住宅ローンを借りています。しかし同調査によると、変動金利の利用者のうち、今後の金利上昇を見込んでいる方は39.3%と少なく、また金利リスクや優遇金利の適用ルールに関する理解度も「十分に理解している」という方は2割程度という状況です。

今回は、変動金利における基準金利と金利引き下げの仕組みや注意点について解説します。

短期プライムレートとは
一般的な変動金利は「短期プライムレート」に連動します。短期プライムレートとは、金融機関が優良企業に対して1年未満の短期間融資に適用する最優遇貸出金利であり、各金融機関が市場から資金を調達するコストに、自行のコストを上乗せして決定します。全国的には主要都市銀行のレートや有力な地方銀行のレートが基準となる場合が多いようです。

短期金融市場(インターバンク市場)が動けば短期プライムレートも動くため、短期プライムレートを知るためには短期金融市場(インターバンク市場)の金利も知っておく必要があります。

インターバンク市場と無担保コールレート
銀行間で短期間の資金貸借が行われる市場を「インターバンク市場」と呼びます。中でも無担保で借りて翌日には返済する無担保コール取引における金利を「無担保コールレート翌日物」といいます。日銀はこの金利を政策目標と定め、コール市場での資金の貸し借りを通じて金利をコントロールしており、短期プライムレートは「無担保コールレート翌日物」にほぼ連動しています。

補完貸付制度の役割
日銀が予め定めた条件(貸付期間を1営業日とする等)に基づき、貸付先からの利用申込みを受けて、担保の範囲内で受動的に実行する貸付制度であり、2001年(平成13年)2月に導入されました。

何らかの理由により短期市場金利(無担保コールレート翌日物)が補完貸付制度の適用金利である基準貸付利率を超えて上昇した場合、銀行等はいつでもこれを利用できるため、結果的に基準貸付利率が無担保コールレート翌日物金利の上限を画する役割を担っています。

変動金利の金利はどうやって決まる?
変動金利の基準金利は、一般的に短期プライムレート+1%で設定されており、主要銀行の短期プライムレートは2009年1月以降ずっと1.475%です。変動金利の金利は金利引下げが変わらなければ、本来は2009年1月以降ずっと変わっていないはずですが、金利が銀行各社で違うのは、金利引き下げ幅の差であり、変動金利の住宅ローンを借りてほしい銀行は、キャンペーン的に金利引下げ幅を大きくして顧客に貸し出す金利を下げています。

金利引き下げは銀行の都合で「やっぱりナシ」にできる?
銀行が金利を表示するときに、基準金利と金利引下げを明記しているのには理由があります。たとえばauじぶん銀行は、基準金利が2.341%(変動金利/全期間引下げプラン)ですが、当初引下げ金利として-2.022%を設定しています。さらにモバイル・ネット・でんき・TVの利用で金利優遇が0.150%となり、最終的に「最大引下げ、優遇後」として0.169%(2024年5月9日現在)を表示しています。

しかし規約を読んでみると、次のように書いてあります。

「当行は、基準金利に対して当行所定の基準により、金利を引下げて適用することができるものとします。また、本規約の他の条項にかかわらず、当行はいつでもその基準金利に対して金利の引下げを中止または変更することができるものとします。」

「いつでもその基準金利に対して金利の引下げを中止または変更できる」とは「やっぱり金利の引下げナシ!来月から基準金利の2.341%でお願いします!」と言われても文句が言えないという意味です。もちろんauじぶん銀行がそんなことをするとは思えませんが、規約だけを見ればそう読めてしまいます。

これはどこの銀行の規約にも同様の条項が入っていますが、金融機関により規約の内容が異なり、「相当の事由により」と注釈があり、「当行はいつでも」のように金融機関の独自判断では金利引下げを中止できない場合もあります。また、ローン返済における延滞が発生した場合に金利の引下げが一切無くなるケースもあります。

住宅ローンを借りるときには、必ず規約を確認しておきましょう。

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