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積立投資に向いているのは「投資信託」より「個別株」?


多くの人が、投資によって得られる利益(リターン)は、大きいに越したことはないと思っていることでしょう。でも、大きなリターンを希望すると、その分だけ大きなリスクを取らなければならないのが投資の世界の原則です。

だからこそ、リスクと上手に付き合いつつ、リターンを追求する方法として、「長期投資」、「分散投資」、「積立投資」が有効だと言われるわけです。

特に積立投資は、コツコツと時間をかけて資産形成をしようとしている人には最適でしょう。買うタイミングを考えなくていいという気楽さと、一定額ずつ買い続けることで得られるドルコスト平均法の効果(一定数量ずつ買う場合に比べて平均購入単価を低くできる効果)があるからです。

私が新卒で山一証券に入社した1993年当時、積立投資をできる仕組みがほとんどなく、従業員持株会とミリオン(従業員積立投資プラン)くらいしかありませんでした。現在のように、証券会社や銀行等を通じて、市販されている投資信託を積み立てで購入することはできなかったのです。ましてや、NISAやiDeCoなどの非課税の制度も当然ありませんでした。

私からすると、今の時代の20代30代の若者たちが羨ましくて仕方ありません。2024年からNISAの制度が拡充され、奇しくも日経平均株価は平成バブルのピーク時の株価水準まで戻り、中長期的な上昇トレンドの継続を期待させる動きになっています。これから投資を始めるとしても、少なくとも20年以上積立投資を続けられるなら、始めるのに遅いということはないと思います。どんどん積立投資を始めるべきでしょう。

さて今回は、その積立投資の効率をよくするための1つの考え方を触れておきましょう。

資産形成の王道とも言える長期・分散・積立投資の考え方からすれば、例えば、国内株式のみで運用している投資信託に積立投資をするのではなく、国内債券・国内株式・外国債券・外国株式といった4資産分散の投資信託や、REITを加えた6資産分散、さらに新興国も加えた8資産分散の投資信託などに積立投資をしたほうがいいと言えるでしょう。

確かに、ポートフォリオのリスクを低くするためにはそのほうが有効ですが、積立投資の性格上、実は値動きの大きなものに投資をしたほうが、平均購入単価が低くなりやすく、結果として収益が高まる可能性があるのです。

例えば、以下のような値動きの方向性が同じで、スタート時点と終了時点の価格が同じ投資信託AとBを積立投資した場合の平均購入単価を計算してみましょう。

投資信託A 10,000円→12,000円→7,000円→12,000円→13,000円
投資信託B 10,000円→10,500円→9,500円→11,000円→13,000円

積立開始時の価格はともに10,000円、そして、終了時の価格も13,000円です。値動きの方向性もほぼ同じ。価格の変動幅だけAのほうが大きいといった感じです。

この2つの投資信託を積立投資したとすると、平均購入単価は、Aが10,278.61円、Bが10,676.15円となります。値動きの大きいAのほうが平均購入単価は低くなるのです。

これは、一定額ずつ積立投資をすることによって、価格が安いときには多めに買えて、価格が高いときには少ししか買わないことになるドルコスト平均法の効果の大小が、値動きの大きさに比例することを意味しています。つまり、積立投資をするなら、値動きの大きなものでやったほうが効果は大きくなるということです。

もちろん値動きの大きなものは、それだけリスクが高いことを意味しますので、投資に慣れていない人には積極的にはおすすめしませんが、理屈上は値動きの大きなもののほうが有利になる可能性が高いということは知っておいてもよいでしょう。

個人的にも、複数の資産に分散した積立投資はコアサテライト戦略のコア(核)の部分として利用していますが、サテライト(衛星)として個別株の積立投資を利用しています。個別株を毎月一定金額ずつ積立投資する仕組みは、「株式累積投資(るいとう)」と呼ばれ、現在は大手証券会社くらいでしか取り扱っていませんが、NISAの成長投資枠を利用できます。

個別株投資の魅力やリスクを十分に理解している人は、サテライトとして積立投資の一部で利用してみるのもひとつの方法でしょう。

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