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免許を取った直後の自動車補償


春になると、特に学生や新社会人を中心に初心者マークの自動車が増えてきます。読者でも、運転免許を取ったばかりのお子さんがいらっしゃれば、どのような自動車補償に入った方がいいのか悩まれることでしょう。

●自動車補償の契約の基礎知識
自動車補償(保険・共済)に加入するときは、次の4つに重点を置きましょう。③④は自分に対する補償ですが、過失割合による自己負担額に差が生じず、示談交渉で揉めにくくなるため重要です。

① 対人賠償(相手に対する補償)
無制限を推奨します。事故によって他人に与えた身体的な損害を補償します。特に若年者に後遺障害を与えてしまった場合は3億円を超える認定損害額が増えています。

② 対物賠償(相手に対する補償)
無制限を推奨します。事故によって他人の財物(車両や建物など)に与えた損害を補償します。運行中の鉄道車両や、精密機器の運搬車両に衝突するなど、高額な損害が発生した場合は1億円を超える認定損害額になります。

③ 人身傷害補償(自分に対する補償)
できれば無制限、少なくとも5,000万円以上を推奨します。契約者本人や同乗者が事故により負傷したり、障害になったりする場合に、治療費などの実損害額を補償します。十分な補償額を確保していれば示談交渉で揉めにくくなります。

④ 車両補償(自分に対する補償)
加入を推奨します。加入者の車両に生じた損害を補償します。自損事故や当て逃げなど、相手のいない事故でも補償される一般補償と、これらが補償されない限定補償があります。前者に比べて後者は半額ですが相手のいる事故であれば補償されるため、示談交渉で揉めにくくなるという点で及第点です。一般補償でも自己負担額を高めに設定すると掛金が抑えられます。

これら(①~④)とは別に、弁護士費用特約は必須付帯しておきましょう。自身に過失のない事故の場合、相手方と自分で示談交渉をしなければなりません。その際に、弁護士に相談・依頼する際にかかる費用を負担してもらえます。この特約は使っても等級はダウンせず、法律相談料、着手金、報酬金、裁判費用などの弁護士費用を、一定額まで補償団体に負担してもらえるので、補償の専門家は必ず付帯しています。

●一日自動車保険を利用する
例えば、友人の車を一時的に借りる場合などは一日自動車保険も利用される方も多いでしょう。今回は、大手三社のプランを掘り下げてみます。

① ちょいのり自動車保険(東京海上日動火災保険)
WEBをはじめ、ローソン、ミニストップ、ファミリーマートで申し込めます。契約はシンプルプラン(800円/24H)、レギュラープラン(1,800円/24H)、プレミアムプラン(2,600円/24H)の3つです。

いずれも対人賠償は無制限、対物賠償は無制限ですが、人身傷害補償が付帯しません。搭乗者傷害補償が付帯しますが、定額で最大でも100万円、ケガの場合には、一時金として傷害保険金は最大で1,000万円と不十分で、気がかりです。なお、シンプルプランには車両補償が付帯せず、レギュラープランには限定補償が付帯、プレミアムプランには一般補償が付帯します。また、弁護士費用特約が付帯するのはプレミアムプランだけ。プレミアムプランを推奨します。

② 1DAY保険(三井住友海上火災保険)
WEBをはじめ、セブンイレブンで申し込めます。契約はエコノミープラン(800円/24H)、スタンダードプラン(1,000円/24H)、プレミアムプラン(2,500円/24H)の3つです。対人賠償は無制限、対物賠償は無制限、人身傷害補償は付帯せず、搭乗者傷害補償が付帯しますが、ちょいのり自動車保険と同様、気がかりです。車両補償が付帯しているのはプレミアムプラン(自己負担額15万円)だけ。プレミアムプランを推奨します。

ただし、弁護士費用特約が付帯できないのは悩ましい点です。ご家族の自動車補償契約に弁護士費用特約が付帯されていれば、本人にも適用されるので心配はいりませんが、付帯されていない場合は1DAY保険そのものを避けた方がいいでしょう。

③ 乗るピタ!(損害保険ジャパン)
LINE、WEB、専用窓口で申し込みます(コンビニエンスストアでは申し込みができない)。契約は「ライトプラン(600円/12H、800円/24H)、基本プラン(2,150円/12H、2,700円/24H)、安心プラン(2,800円/12H、3,500円/24H)の3つですが、人身傷害補償3,000万円(死亡・後遺障害定額1,000万円)と車両補償(自己負担10万円)と事故時の代車費用(日額5,000円)が付帯するのは安心プランだけ。ただし、弁護士費用特約がないため、別の家族の自動車補償契約に弁護士費用特約が付帯されている方に安心プランを推奨します。

●親の自動車補償(保険・共済)を利用する
親の契約の運転者を本人限定や夫婦限定している場合は運転者の範囲を拡大して家族限定にしてください。同居の子も離れて住む子(別居未婚の子)が一時的に帰省して親の自動車を運転する場合も補償されるようになります。記名被保険者本人が単身赴任等で、配偶者とお子さんが同居している場合も、お子さんは「同居の子」になります。

年齢条件をどうするかも大切です。保険会社の場合、同居の子の場合はその子の年齢に合わせて年齢条件を引き下げる必要がありますが、別居未婚の子は年齢を問わず補償されます。なお、こくみん共済 coop のマイカー共済の場合、同居の子も別居未婚の子も年齢条件を引き下げる必要があります。その場合、運転者全員の年齢条件を下げると掛金が高くなりますが、子供特約を選ぶといいでしょう。お子様の年齢条件だけが引き下げられる分、掛金の上昇が小さくなります。

なお、先述した一日自動車保険の最上位プランを利用すると24時間当たり2,500~3,500円かかります。一日自動車保険の利用が、年齢条件の調整による掛金上昇のコストを上回る場合、親の自動車補償を利用する方が良いでしょう。人身傷害補償や弁護士費用特約がしっかり付帯できるので心配が少なくなります。

●カーシェアリングを利用するときは?
最大手のタイムズカーシェアの場合、月会費は800円ですが、「学生プラン」は全額が免除されて0円なので会員証を持っている学生さんも多いことでしょう。ヤリスやノートeパワーなどのベーシックの利用料は15分で220円から始まり、24時間でも 6,600円です。

タイムズカーシェアの利用料には対人賠償と対物賠償は無制限、人身傷害補償も無制限、車両補償(時価額、自己負担なし)が付帯されています。いざ事故を起こした場合でも、相手方と交渉するのは保険会社、タイムズカーシェア、本人の順なので安心です。一日自動車保険以上の補償が付帯していることを考えると、自動車の実質的な利用料は2分の1~3分の2程度とみなせるでしょう。

なお、事故によって車両が使えなくなった場合は営業損害の位置づけで補填を要しますが、2万円(自走可能)または5万円(自走不能)と限定的です。さらに、これらの負担を免除してくれる安心補償サービスが用意されており、550円/利用で付帯できます。免許を取って間もない場合や、利用時間が長い場合は付帯しておくといいでしょう。なお、タイムズカーシェア以外のカーシェアリング各社を利用する場合は、このコラムを参考に補償の詳細を確認してから運転するように心がけてください。

いかがでしたか。自動車の利用方法も様々に変化している時代ですので、横断的に制度を理解し、お得で安心なカーライフをお過ごしください。

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