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  • 2022.08.04
  • 投資
  • 谷内 陽一

企業型DC加入者もiDeCoに加入しやすくなる!?


2020年に可決・成立した「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第40号)により、企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する要件が緩和される改正が2020年10月から施行されます。今回は、この改正の概要および留意点について解説します。

■ 2017年から可能だった企業型DC加入者のiDeCo加入
iDeCoは、かつては自営業者等および企業年金の無い会社員のみを加入対象とする制度でしたが、2017年1月に加入対象がほぼ全ての公的年金被保険者に拡大されました。じつはこの時、企業型DC加入者もiDeCoへの加入が可能となりました。
しかし、企業型DC加入者がiDeCoに同時加入するためには、加入している企業型DC制度の規約(企業型年金規約)において「企業型DC加入者がiDeCoの加入者となることができる」旨を定める必要があります。また、企業型DCの事業主掛金の上限を月額5.5万円(確定給付企業年金(DB)等にも加入している場合は2.75万円)から月額3.5万円(同1.55万円)に引き下げる必要がありました。さらに、加入している企業型DCにおいてマッチング拠出(企業型年金加入者掛金)を実施している場合は、当該企業型DC加入者のiDeCoへの加入は認められていませんでした。そのため、企業型DC加入者によるiDeCoの利用はごく少数に留まっているのが実態です。
2022年10月からは、企業型年金規約の定めや事業主掛金の上限の引下げを行わなくても、企業型DC加入者はiDeCoに加入できるようになります。また、加入している企業型DCがマッチング拠出を導入している場合、当該企業型DC加入者は、(1)マッチング拠出を利用するか、(2)iDeCoに同時加入するか、を加入者自身が選択可能になります。

■ 企業型DC加入者のiDeCoの拠出限度額
企業型DC加入者のiDeCoの拠出限度額は、企業型DCのみに加入している場合は月額2.0万円、DB等にも加入している場合は「月額1.2万円」です。ただし、加入している企業型DCの事業主掛金が月額3.5万円(DB等にも加入している場合は1.55万円)を超える場合は、月額5.5万円(同2.75万円)から企業型DCの事業主掛金額を控除した残額が拠出限度額となります。つまり、加入している企業型DCの事業主掛金の水準が高くなると、iDeCoへの拠出可能額がそのぶん低くなることに留意が必要です。

■ マッチング拠出とiDeCoの併用、掛金を多く拠出できるのはどっち?
今般の改正により、加入している企業型DCがマッチング拠出を導入している場合、(1)マッチング拠出の利用と、(2)iDeCoの併用(同時加入)を、加入者自身が選択することが可能となりますが、果たしてどちらを選べばよいのでしょうか。
マッチング拠出には「加入者掛金は事業主掛金の額を超えないこと」という制約があるため、事業主掛金の水準が低い従業員(特に若年層)は、マッチング拠出の拠出水準も低くなります。そのため、加入している企業型DCの事業主掛金が月額2万円(DB等にも加入している場合は1.2万円)未満の場合は、マッチング拠出よりもiDeCoの方が拠出可能額が高くなります。逆に、企業型DCの事業主掛金が月額2万円(同1.2万円)超3.5万円(同1.55万円)以下の場合は、iDeCoよりもマッチング拠出の方が拠出可能額が高くなります。月額3.5万円(同1.55万円)を超えると、マッチング拠出とiDeCoの拠出可能額に差異はなくなりますが、iDeCoの掛金額は月額5,000円が下限であるため、企業型DCの事業主掛金が月額5.0万円(同2.25万円)を超えるとiDeCoには加入できません。

■ iDeCo併用では2つの口座を管理する必要あり
マッチング拠出は、企業型DCの枠内で行うしくみであるため、金融機関や運用商品の選定は企業が実施します。また、手数料等は企業が負担するのが一般的です。
一方、iDeCoを併用する場合、企業型DCとiDeCoの口座を二元管理することになります。企業型DCとiDeCoは、運営管理機関が同一であっても、運用商品のラインナップや手数料水準が大きく異なります。マッチング拠出を利用するかiDeCoを併用するかの選択は、運営管理機関のサービス、運用商品ラインナップ、手数料等を踏まえて比較・検討する必要があります。

■ 「年単位拠出」を行う場合は、iDeCo併用は不可
DCの掛金拠出は、原則である「各月拠出」に加えて、任意に定めた月(年1回以上)にまとめて拠出する「年単位拠出」も2018年1月から可能となっています。しかし、今般の企業型DC加入者のiDeCo加入要件の緩和では、事務処理・システム対応の複雑化を回避するため、企業型DCおよびiDeCo双方とも「各月拠出」のみに限定されます。そのため、加入している企業型DCの事業主掛金が年単位拠出である場合、当該企業型DCの加入者はiDeCoには加入できません。また、企業型DC加入者がiDeCoに加入するには、iDeCoの掛金も各月拠出とする必要があります。

今般の要件緩和により、企業型DC加入者のiDeCoへの加入急増が予想されます。しかし、iDeCoは「個人型」という名称とは裏腹に、申込者個人だけでなく企業にも様々な事務処理が発生します。そのため、企業型DCの実施企業においては、従業員のiDeCo加入に係る対応(事業所登録、事業主証明書の発行、現況届の提出など)について改めて確認しておくと良いでしょう。

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