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コラムColumn

  • 2019.07.25
  • 年金
  • 栗本 大介

20歳になった子に伝えたい年金の話

日本では、20歳になると国民年金への加入義務が生じます。全国民共通の基礎年金となる国民年金は、加入するかしないかを自分で選ぶものではなく、原則として強制加入の制度ですから、立場に応じた手続きをとらなくてはなりません。しかし残念ながら、日本の学校では年金の仕組みを詳しく学ぶ機会がないため、書類を受取った20歳の子はどうしたらいいのかわからず、そのまま放置されてしまう可能性が少なくないのです。

■立場によって手続きは異なる
まず、20歳の子が会社等に勤めていて、既に勤務先で厚生年金に加入しているのであれば、必要な手続きは勤務先が行うため、自分で手続きをする必要はありません。また、厚生年金に加入している人に扶養されている配偶者の方(=会社員の夫や妻に扶養されている人)も、夫や妻の勤務先に申し出れば必要な手続きを進めてくれます。
それ以外の人は、お知らせに同封されている「国民年金被保険者資格取得届出書」を、誕生日の前日から14日以内に提出する必要があります。国民年金は、原則として20歳から60歳までの40年間掛金(保険料)を支払うことで、老後生活を支える収入源となる老齢年金を65歳から受け取れる制度です。

■老齢年金だけではない、充実したセーフティーネット
保険料は毎年少しずつ変化しますが、2019年度は月額16,410円。前納や口座振替を利用した場合の割引制度も用意されています。
今後の保険料の変化を無視すると、40年間(480ヵ月)の支払い合計は7,876,800円。それに対して、65歳から受け取れる毎年の年金額は約78万円です。強制加入の公的な制度を損得だけで考えるのはよくないのですが、単純計算をしても10年間受け取れば損にはなりません。将来の年金受取開始年齢が引き上げられるとか、受取年金額が少なくなるのではないかといった心配はあるものの、「年金なんて掛けても意味が無い」「掛けるだけ損する」といったイメージは、具体的な数字を知るだけでも払しょくできるものです。

しかも日本の公的年金は、老後に受け取る年金(=老齢年金)だけではありません。
自分が所定の障害状態になった時には障害年金がもらえますし、亡くなった時には、遺された家族に対して遺族年金が支払われますので、老後の資金準備と同時に、イザという時のセーフティーネットとして充実しているありがたい制度なのです。
20歳になった時、よくわからないからといって何も手続きをしなければ、こうした制度の恩恵をすべて放棄することになる点を、20歳になった子すべてに正しく伝えたいものです。

■納付特例を活用する
とはいうものの、学生の方にとって毎月16,410円の支払いは大きな負担です。親等の保護者が代わりに支払っても良いのですが、学生を抱える世帯ではこうしたゆとりもなかなか持てないでしょう。
その場合には、保険料の支払いを待ってくれる制度が用意されています。「学生納付特例制度」や「若年者納付猶予制度」と呼ばれるもので、単純にいうと、「私は収入が一定額以下しかないから、保険料の支払いを待ってください」という宣言です。保険料の支払いが厳しい場合、この届けを同時に提出しておけば、「年金に加入している状態」で保険料の支払いを待ってくれます。当然ながら、保険料を納付している人と比べた際の不利益は発生します。例えば、20歳から22歳までの2年間保険料の猶予を受け、社会人となった22歳から保険料を掛け始めた場合、60歳までの期間が38年間となるため、その分将来受け取る年金額が少なくなるのです。
ただし、社会人になってお金にゆとりが出た場合、10年以内であれば猶予してもらっていた期間の保険料を後から納められますし、そうでなくとも、62歳まで保険料を支払うことにすれば、40年間の納付を達成できるため、こうした不利益は解消することが可能です。

今回の話は、公的年金制度の一部分でしかありませんが、こうした基本的な知識さえ年金に加入すべき年齢になっても知らない人が多いというのは、決して好ましい状況とはいえません。世代を問わず「年金はややこしくてよくわからない」という声はよく聞きますが、自分に直接関わりのある大切な制度ですから、しっかりと理解しておくと同時に、大切な家族にも正しく伝えたいものです。

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