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コラムColumn

  • 2019.05.09
  • 相続
  • 黒田 尚子

最近の「死後の手続き」ブームはどうして?

今年の春先、ある週刊誌の取材を受けたときのこと。
取材のテーマは介護でしたが、その記者さんから「最近、‘死後の手続き’ブームがすごいんです!」という話をお聞きしました。
どの業界でもそうですが、ある商品が売れると、次々と後追い商品が出てくるものです。雑誌やテレビなどのメディア、とくに週刊誌は、人々の関心の高いタイムリーなネタにすぐに飛びつく傾向が強いような気がします(例えば、著名人が自身のがんを公表して、がん特集が組まれると、筆者のところにも取材が殺到するとか…)。
それが最近では、「死後の手続き」だというのです。特集の売れ行きが良いため、ムック本として出されたりもしているので、目にした方もいらっしゃるでしょう。

とはいえ、「死後の手続き」というテーマ自体は、目新しいものではありません。
おもな内容は、亡くなった後に必要な書類や手続き関係を中心に、亡くなる前後で知っておくべき法律、生前に備えておきたいこと、相続、葬儀、お墓のことなど、終活やエンディングノートにあるようなものがほとんどです。その記者さんも「今さら、どうしてこんなに関心が高いんでしょうねえ」と首をひねっていました。
また、同様によく言われる「人生100年時代」を意識して、長生きリスクを心配している人が、死後の手続き特集号も買っているのは、ちょっと矛盾するような気もします。長生きするなら、死後の手続きはまだまだ先の話ですから。

こうして気になった‘死後の手続き’ブームについて、最近のご相談を踏まえ、その理由を考えてみました。おもなものは次の5つでしょうか。

(1)親や配偶者など、身近な人が亡くなって、手続きの大変さや煩雑さを実感した。
(2)‘立つ鳥跡を濁さず’という日本人特有の道徳観から、死後の身辺の整理をきちんとしておきたい人が多い。
(3)終活、エンディングノートの普及で、‘死’を考えることへの抵抗感が薄れてきた。
(4)‘おひとりさま’高齢者が増え、死後の手続きをやってくれる近親者がいない。
(5)相続税法や相続法の改正などで、相続税がかかりそうな方が増え、相続への関心が高まった。

これらのうち(1)と(2)は、昔からそのニーズはあったはずです。でも、以前は、身内の死後のことを考えるのは「縁起でもない」と敬遠されがちだったのでしょう。
それが、(3)にあるように、‘死’を考える機会が増え、生前から、身辺整理をしておくことへの抵抗が解消されてきたような気がします。逆に、死後に備えておくことは、子どもや家族に迷惑をかけないための、思いやりといった側面まで感じられます。
さらに近年は、(4)や(5)のニーズも増えてきています。とくに(4)については、生涯独身で、子どももいらっしゃらない人も増えていますし、結婚されていても、概して女性の方が長生きですので、夫が亡くなった後、‘おひとりさま’になったという女性も多いでしょう。子どもや孫がいても、離れて住んでいれば単身世帯です。

このように考えてみると、今後も「死後の手続き」へのニーズは高いと考えられます。
しかし、FPとしては、実際にどれくらいの方が、具体的な行動まで起こしているか、甚だ怪しいとも思っています。
大和ネクスト銀行が実施した「“2016年ランキングで見る”シニアライフに関する調査」によると、「自分の相続や葬儀について考えたことがある」と回答した人が半数以上の54.4%にのぼりました。
また、相続などに関する対策状況を聞いたところ、「自分が要介護になったときや死後に備えて、対策ができている」について、『あてはまらない』と回答した人は73.5%で、『あてはまる』が26.5%と3割にも達していない状況です。
要するに、考えたことはあるが、実際には何もしていない人が大多数だということです。
さらに、対策をしていないにも関わらず、「自分の死後、相続でもめることはないと思う」について、『あてはまる』と回答した人は76.2%となっており、ほとんどの人が相続トラブルはどこか他人事と安易に捉えているようです。

でも、将来の‘死’について考えることは、今をどう‘生きる’かを見つめ直すことにつながります。死後の手続きをすることが、より良く生きるための一助になるのであれば、FPとして、喜んでお手伝いさせていただこうではありませんか。

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