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「リスク許容度」ってなに? 投資に回していいお金について考えよう


投資をするときには「リスク許容度」を考えて投資に回してもよいお金を考えよう、と言われます。投資をすると価格が変動するので、投資したお金は増えたり、減ったりします。そこで、「これくらい下がったら怖い」と感じる金額の目安を知っておくと、一時的に価格が大きく下がった(資産が減った)ときにパニックにならずにすみます(最悪なのは暴落時に怖くなってすべての投信を解約してしまったり、毎月の積立をやめてしまったりすることですから)。

(1)投資に回してはいけないお金を把握
まずは、安心して投資を続けるためにも、万一のときに備えた「非常用資金」の確保が大切です。自営業・フリーランスの方だと「生活費×12ヶ月程度」あると安心。会社員の場合、「生活費×6ヶ月程度」がひとつの目安になります。また、「子どもの受験費用・入学費用が必要」「住宅購入の頭金が必要」など、数年後に確実にお金が必要になる場合も、投資ではなく、預金などの安全資産に預けましょう。

(2)自分のリスク許容度を考える
投資に振り分けるお金を確保したら、残った金融資産のうちどのくらいの資金を投資に充てたらよいかを考えていきましょう。その際、「自分を知る」「相手を知る」という2つの視点からみていきます。

●自分を知る
自分を知るとは、「自分が心理的・経済的に受け入れられる損失の上限を知る」ということです。心理的な部分については、経験や性格などによって異なりますが、経済的な視点でいうと、「1年間に貯蓄や投資に回せる金額(手取り収入から支出を引いた金額)」が1つの目安となります。
たとえば、A子さんが1年間に貯蓄や投資に回せる金額が100万円であれば、「許容できる最大損失額」も100万円が目安になります。というのも、仮に100万円の含み損を抱えたとしても、A子さんは新規のお金として年間100万円を貯蓄や投資に充てられるので、1年後の金融資産が極端に減ってしまう事態は避けられるからです。

●相手を知る
もう1つが「相手を知る」ということです。投資した場合に「どのくらい変動する可能性があるか」、特に「どのくらい損をする可能性があるか」の把握です。
たとえば、私たちの公的年金の積立金を運用する、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)では資産配分を決定する上で使用している期待リターンとリスクの数値を公表しています。

〈期待リターン(実質的なリターン=名目リターン-名目金利上昇率2.3%)〉
短期金利 -1.7%
日本債券 -1.6%
外国債券  0.3%
日本株式  3.3%
外国株式  4.9%

〈リスク(標準偏差)〉
日本債券 2.56%
外国債券 11.87%
国内株式 23.14%
外国株式 24.85%

期待リターンを起点にリスクの2倍くらいは価格が変動します。たとえば、外国株式の場合、リスクは24.85%です。期待リターン4.9%を起点に24.85%の2倍である49.7%と上にも下にも変動することになります。つまり、いいときにはプラス54.6%、逆に悪いときにはマイナス44.8%になる可能性もあるのです。分散された株式(株式に投資するインデックス投信)を持つ場合でも、一時的に半分くらいになる可能性もあると考えておくとよいでしょう。
このとき、「%」ではなく、「金額」で損失額のイメージが大切です。「何%下がったら」と考えても、実感としてどれくらい減る可能性があるのかがいま一つ実感できないからです。とくに投資金額が積み上がってきたときには、「100万円が50%下がったら、マイナス50万円」という具合に金額でイメージするとわかりやすいでしょう。

また投資信託についてどのくらい変動する可能性があるのか、については交付目論見書を参考にしましょう。具体的には「投資リスク」と、運用実績の「年間収益率の推移」のところをみます。
投資リスクでは「代表的な資産クラスとの騰落率の比較」を確認します。ここでは投資信託と、代表的な資産クラス(日本株、先進国株、新興国株、日本債券、外国債券の代表的な指数)の過去5年間(60ヶ月)の年間騰落率の平均値、最大値、最小値が棒グラフで示されています。棒グラフが長いほど変動が大きいことを示しています。ほかの代表的な資産(代表的な指数)と比べて値動きが大きいのか、小さいのかを比較できます。
運用実績では「年間収益率の推移」をみます。こちらは投資信託の過去10年間の年間収益率の推移が載っています。新規設定の投資信託にはグラフがありません(空欄です。インデックスファンドは、設定前について対象とする指数の動きが記載されています)。過去の値動きの大きさ、特にどのくらい下がった実績があるのかを確認しておきましょう。

リスク許容度は、実際には年齢や資産や負債の額、投資経験や性格などによっても変わります。あくまでも自分で「ぐっすり眠れる」金額を投資に回して、継続できるのか?が基本になります。じっくり考えてみてください。

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