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再就職やスキルアップに役立つ雇用保険の活用法


雇用環境の悪化や新型コロナウイルス感染症が広がったことで、職を失ったり収入が減ったりする人が増えています。雇用保険には、失業時の基本手当支給のほかに、再就職や転職、収入増に結び付く資格やスキルを習得するための各種制度があります。雇用保険に加入したことがない人でも利用できる場合があるので、上手に活用しましょう。

1.再就職に結びつく「ハロートレーニング」
ハロートレーニングとは公的職業訓練の愛称で、社会人の学びを後押ししています。公的職業訓練では、就職に結びつくような職業訓練を、原則として無料で受講できます(テキスト代等の実費は負担。在職者や学卒者向けは有料)。意欲があれば、キャリアアップを目指す人や、学校を卒業した後に働いたことがない人も利用できます。
雇用保険を受給している求職者向けの「公共職業訓練」と、雇用保険を受給できない人(受給が終わった人を含む)向けの「求職者支援訓練」のほか、「在職者訓練」「学卒者訓練」「障害者訓練」など多彩なコースが準備されています。具体的な就職に結びつける訓練であるため、受講にあたっては面接や筆記試験が課されます。

(1)公共職業訓練(離職者訓練)
雇用保険(基本手当)を受給中の求職者向けの制度です。国や都道府県の運営する職業訓練校(訓練施設)または委託された民間教育訓練機関等が実施するコースがあります。雇用保険を受給しながら受講することができ、また通学のための交通費も支給されます。
期間は3ヶ月~1年で、テクニカルオペレーション科、電気設備技術科、住環境計画科、自動車整備科、木工科、造園科、介護サービス科、情報処理科などがあります。

(2)求職者支援訓練(求職者支援制度に基づく認定職業訓練)
雇用保険を受給できない人向けの制度です。雇用保険の適用外の人や雇用保険の受給が終了した人、新卒の人、自営業を廃業した人などでも、就職を希望している人であれば、対象となります。民間教育訓練機関等が実施するコースとなります。
期間は 2ヶ月~6ヶ月で、内容は、電気設備技術者養成、介護福祉士実務者研修養成科、簿記会計、不動産スキル、システムエンジニア養成、ウェブクリエーター養成、ネイルサロン就職など。訓練受講中の生活費等や通学のための交通費が支給される場合もあります。

(3)在職者訓練
主に中小企業に在職している人のスキルアップを支援する制度で、原則として有料です。期間は2日~5日で、主なコースに生産性の向上や業務改善、新たな製品づくりに必要な専門知識及び技能・技術の習得などです。このほか、長期間(2年)の訓練や、生産性向上を支援するための「生活向上支援訓練」などもあります。
 
(4)学卒者訓練
主に学校卒業者に対して、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練で、次のようなコースがあります。学卒者の受講料は有料です。

A.普通課程:中学・高校卒業者向け。期間は1年または2年で、OA 事務科、機械加工科、自動車整備科、木造建築科のコースがあります。
B.専門課程:高校卒業者など向け。期間は2年で、生産技術科、電子情報技術科、電気エネルギー制御科などのコースがあります。
C.応用課程:専門課程修了者など向け。期間は2年で、生産機械システム技術科、建築施工システム技術科などのコースがあります。

(5)障害者訓練
障害のある人向けコースで、状況に合わせた訓練を行います。受講料は無料です。

2.スキルアップができる「教育訓練給付制度」 
教育訓練給付制度とは、働く人の能力開発やキャリア形成を支援する制度です。指定された教育訓練講座の受講料を補助する3種類の「教育訓練給付金」と、専門実践教育訓練講座を受講する人を経済的に支援する「教育訓練支援給付金」があります。

(1)教育訓練給付金
受講料を補助する制度で、3種類の給付金があります。
A.一般教育訓練給付金
厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給されます。概ね1年以内の訓練期間でスキルアップできる資格等の取得を目指す講座が大半です。ケアマネジャー講座、ファイナンシャルプランナー講座、医療事務講座、宅地建物取引士講座、行政書士講座、社会保険労務士講座などがあります。
支給額は、対象となる受講料などの20%で支給額は10万円が上限。支給額が4,000円を超えないと支給されません。
B.専門実践教育訓練給付金
厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給されます。介護福祉士、看護師、美容師など実践的な国家資格を取れる講座が多いこと、訓練期間が2~3年の長期の講座もあること、給付率や限度額が高いこと、そして受講開始時に45歳未満で失業中などの要件を満たせば、生活支援として「教育訓練支援給付金」が受け取れるという特徴があります。
おもな講座は、介護福祉士、看護師、美容師、保育士、歯科衛生士、理容師、職業実践専門課程(医療事務、ホテル、調理師、ペットなど)などです。
支給額は、受講終了時に受講料などの50%(上限あり)が支給され、あらかじめ定められた資格を取得し終了後1年以内に雇用されたときには、受講料などの20%(上限あり)が追加で支給されます。
C.特定一般教育訓練給付金
厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給されます。税理士、社会保険労務士、介護職員初任者研修、ITスキルなどの再就職やキャリア形成に直結する資格取得を目指す講座が多く、支給額は受講料の40%(上限あり)です。
  
(2)教育訓練支援給付金
専門実践教育訓練の教育訓練給付金受給者で、失業状態にあるなど一定の条件を満たした人に支給される給付金です。受講中の生活費として使えます。
支給額は、雇用保険の基本手当の日額相当額の80%で、専門実践教育訓練の受講終了まで支給されます。ただし基本手当の給付が受けられる期間は支給されません。
 

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