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コラムColumn

  • 2020.12.17
  • 年金
  • 谷内 陽一

ご存じですか? 勤労者ならではの特典「拠出型企業年金保険」

■今や「企業型確定拠出年金」と間違えられるが・・・
生命保険会社が提供する団体年金保険の一種で、「拠出型企業年金保険」という保険商品があるのをご存じでしょうか。「拠出型」と称していることから、企業型確定拠出年金(企業型DC)と混同されがちですが、拠出型企業年金保険と企業型DCは似て非なる全くの別物です。また、「企業年金」とも称していますが、法令で定められた企業年金制度(確定給付企業年金・企業型DC・厚生年金基金)ではありません。これらの企業年金制度に対応する団体年金保険商品には、確定給付企業年金保険、確定拠出年金保険、厚生年金基金保険などがあります。
拠出型企業年金保険は1990年から取扱いが開始されており(それ以前は企業年金保険として契約)、保有契約高は13.4兆円(2020年3月末時点)と団体年金保険全体の38.1%を占めています。これは、確定給付企業年金保険(同46.0%)に次ぐ規模であり、団体年金保険商品としては確定拠出年金保険を遥かに上回る存在感を示しています。

 

■拠出型企業年金保険のしくみ
拠出型企業年金保険は、通常の団体年金保険商品とは異なり、加入・脱退が任意で、かつ加入者(企業・団体の従業員)が保険料を拠出するのが大きな特徴です。生命保険会社では、新企業年金保険など強制加入・企業拠出が主体の団体年金保険のことを「A(型)年金」あるいは「Aグループ年金」と称しているのに対し、拠出型企業年金保険のことを「B(型)年金」あるいは「Bグループ年金」と称しています。
拠出型企業年金保険のしくみは、導入企業・団体あるいは取り扱う生命保険会社によって差異はあるものの、おおむね以下の通りです。

 

<加入>
・企業の従業員あるいは団体の構成員であることが要件
・加入および脱退は任意

 

<保険料>
・加入者が自ら保険料を拠出
・月払いのほか、賞与払い(半年払い)や一時払いも可
・保険料の増加(増口)・減少(減口)・払込中断が可能な場合も
・保険料は生命保険料控除(一定の要件を満たせば個人年金保険料控除)の対象

 

<運用>
・一定の予定利率を保証(決算によって配当が加算)
・主に一般勘定にて運用

 

<給付>
・年金受取(雑所得課税)または一時金受取(一時所得課税)を選択可
・年金受取は、確定年金または終身年金を選択可
・中途解約した場合は、解約返戻金相当額を脱退一時金として支給

 


■勤労者ならではの特典をフル活用しよう!
以上の通り、拠出型企業年金保険のしくみや税制優遇措置は個人年金保険とほぼ同一です。しかし、企業・団体が加入募集に係る事務を担うことで付加保険料(付加掛金)を低廉に設定できるため、保険料水準あるいは返戻率(払込保険料累計額に対する受取総額の割合)では一般向けの個人年金保険よりも有利となるのが通例です。
拠出型企業年金保険は、企業・団体の担当部署(主に総務・人事部門)で加入募集を行うことが一般的です。また、労働組合がある企業・団体では、当該組合またはその上部団体である産業別組合が保障(共済)事業として年金共済を提供している場合があります。この分野では、こくみん共済coop(全労済)が提供する「新団体年金共済」が広く利用されていますが、組合によっては、新団体年金共済と拠出型企業年金保険を組み合わせて運営している所もあります。

 

いずれにせよ、勤労者(会社員・公務員・団体職員etc)が公的年金や企業年金に上乗せして老後対策を行う際は、いきなりマネー雑誌を開いたり金融機関の窓口に駆け込んだりする前に、勤務先あるいは労働組合を通して利用できる制度の有無の確認が重要です。小規模企業共済や国民年金基金を「自営業者の特権」と称する専門家がいますが、拠出型企業年金保険や年金共済はいわば「勤労者ならではの特典」と言えるでしょう。

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