コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFP ファイナンシャル・プランナー
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
- 損害保険上級資格
- DCプランナー2級
- キャリアコンサルタント
- 2020.11.19
- ライフプラン
教育資金としての「貯蓄と保険の違い」を知っておこう
私の周りやお客様とのご相談の中で、お子様が誕生されると、お金のことで頭の中に最初に浮かぶのが「学資保険を準備しなければ!」のようです。すなわち教育費に対する備えです。将来お子様がどんな道に進まれるのか、大学に行くのか、行くなら公立なのか私立なのか、また通学は自宅なのか下宿するのか、現時点でわかるはずもありません。しかし、この子がどのような道に進もうが、お金を貯めなければならないという認識を多くの方が持っていらっしゃるのは素晴らしいことだと思います。
教育費については、進路によってどのくらいの費用がかかるのか、様々なサイトに掲載されていますし、シミュレーションもできようになっています。こういった情報を確認しながら、まず(1)いつまでに、(2)いくら貯めるのか、(3)毎月いくら積み立て可能かをご自身で考えてみてください。ライフイベントにそって、次の出産の予定も考えながら、家計の収支や公的支援も視野にいれて考えると、なんとなくでも(1)(2)(3)はイメージできるでしょう。それができたら、次は「どのような制度、金融商品を活用するか?」です。
■貯蓄をする
貯蓄にも色々な方法がありますが、確実、安全に貯めたいのであれば、銀行などの自動積立定期預金などで、コツコツ貯めていく方法がおすすめです。積立額は変更可能ですから、ご自身のペースで着実に貯め続けられます。
メリットは手間がかからず、自動的に元本が積み上げられていくこと。またもし急な出費で解約せざるを得ないときでも、元本割れはしません。ただ積み立てをしているお父さんかお母さんが、万が一お亡くなりになった場合は、積み立ては終わります。積み立てた元本は利息がついて遺族が受け取り、教育費の不足分は改めて遺族が積み立てをはじめる形になります。
■保険を活用する
代表的なものは学資保険ですが、予定利率が下がり続けているため、大学入学前の満期あるいは解約で、元本割れを回避したければ、払込期間を短くする必要があります。例えば10年、15年で払い込みを完了し、18歳まで据え置く方法で、元本割れは防げます。メリットは、契約者(多くの学資保険は契約者に死亡保障が付きます)が万一お亡くなりになった場合、以後の保険料が免除になり、入学祝金や満期金は、契約通り支払われる点です。デメリットは、中途解約した場合に元本割れする点です。
また、終身保険(低解約金型)を活用する方法もあります。例えば、親が終身保険の契約者・被保険者になり、払込期間を10年や15年の短期払いにすると18歳時に解約金が元本を少し超える場合があります。また万が一お亡くなりになった場合には、保険金が支払われるため、教育費として残しておけます。教育資金で活用しなかった場合は、そのまま終身保険として、また解約時期により子供の結婚資金、住宅ローンの頭金、老後の資金としても活用できます。ただ早期解約すると元本割れを起こすので注意が必要です。最近では外貨建終身保険(低解約金型)を活用する方が多く、為替リスクさえ理解できていたら怖い商品ではありません。
他にも投資型の商品等もあります。多くのリターンを期待したい方は活用していますが、明確な目的のある資金には、投資型の商品はお勧めしません。必要時に元本割れによって足りなくなる可能性もあるからです。中には「貯蓄は意志が弱いからすぐに使ってしまいそう」ということで、あえて中途解約したら損をする保険を使って確実に教育費を貯めるという方もいらっしゃいます。私としては余裕があるなら併用した方がいいとお話をしています。また奨学金制度や教育ローンもありますから、知識として頭に入れておいてください。