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こんなFPは嫌だ!?


当コラムをご愛読いただいている方なら、「金融機関とファイナンシャルプランナー(FP)、信用できるのはどっち?」と聞かれたら、おそらく殆どの読者が「そりゃあFPに決まっているだろ!」と即答することでしょう。確かに、金融機関は顧客ニーズそっちのけで自社の利益を追い求めているとの印象を根強く持たれていますし、ノルマ達成のために不適切な販売推進をしたとの不祥事例もしばしば報道されます。

 

一方、「暮らしとお金の専門家」として品格力量を兼ね備えているはずのFPですが、全員が公平・中立なプロフェッショナルなのかと言うと、中には理解しかねる言説を唱えている方も散見されます。そこで今回は、執筆者の独断と偏見による「こんなFPは嫌だ」あるあるを以下の通り列挙します。

 

■特定の金融商品を「持ち上げる」または「disる」

消費者(お客さま)にとってどの金融商品を購入するのがベストなのかは、包丁やネジと同じで、消費者の置かれた状況によって最適解は異なるものです。にもかかわらず、特定の金融商品を持ち上げるか、あるいは批判するかの二者択一的なFPは少なくありません。例えば、AとBという2種類の金融商品を取扱う場合、双方のメリットとデメリットを余すところなく伝えるためにはA・B双方の知識が必須ですが、いずれか一方のみにしか言及しないとなると半分の知識で済む可能性があるうえ、断定口調は歯切れ良く聞こえるから始末に負えません。

近年だと、「毎月分配型投信」「外貨建て保険」「学資保険」「変動金利型住宅ローン」あたりが頻繁にdisられる(貶される)一方、「インデックス投信」、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」「つみたてNISA」「固定金利型住宅ローン」などは必要以上に持て囃されている感があります。そして、これらのFPの発言の源を辿ると、たいていは大手の経済紙・ビジネス誌あるいは著名な経済評論家の受け売りだったりします。

とある事象の魅力を語るのに、その対極にある事象を批判する言動は不要です。例えるなら、野球を貶すことでしかサッカーの魅力を語れなかったJリーグ創設当初のサッカーファンのようなものでしょうか。と言うと、世代がばれてしまいますね(汗)。

 

■リスクに関する説明が雑

iDeCoやつみたてNISAを信奉するFPに多いのですが、「長期」「分散」「積立」投資をコツコツ続けさえすれば、あたかも無リスクで資産形成ができるかの如き言説を振りまくのは、一面的かつ不適切であると言わざるを得ません。iDeCoやつみたてNISAであっても、投資信託など時価が変動する金融商品で運用する以上は、価格変動により資産残高が目減りするリスクとは無縁ではありません。

余談ですが、私がこれまで耳にした中で積立投資に対するリスクの説明が最も雑だったのは、つみたてNISAについて熱く語る某金融監督官庁の担当者でした(汗)。

 

■金融機関の悪口「しか」言わない

金融機関の不祥事を引き合いに出して、「金融機関(銀行・保険会社・証券会社etc)は信用ならん!」「金融機関にだまされるな!」と口勇ましいFPも一定数います(私も一介の金融機関の職員なので他人事では済まされませんが)。しかし、そうした言説を振りまくFPの略歴を見ると、元金融機関の職員だった方が大勢を占めています。

それにしても、せっかくFPになって金融機関の呪縛から解き放たれたのですから、従来の立場ではできなかった公平・中立な商品提案なり、真の顧客満足を目指すなりすればいいのに、こうした輩に限って、ブログやSNSを見ると金融機関の批判のみに終始していたり、挙句には週刊誌で金融機関批判を嬉々として展開する始末。例えるなら、「ごみごみした都会が嫌で田舎暮らしを始めた筈なのに、都会からマスコミが取材に来ると嬉々として出迎える移住者」のようなものでしょうか(汗)。

 

■「中立・独立」をやたら強調する

どうも近年は、「金融商品の販売には手を貸さない」あるいは「金融機関から手数料をもらわない」ことを是とする風潮があるようです。一部の経済紙やビジネス誌は、金融商品仲介業にIFA(Independent Financial Advisor)という英語表記を当てはめてまで「独立系」であることを持て囃す始末です。

しかし、FPが真っ当な商取引によって業務の対価を稼ぐことは、その相手方が金融機関であろうと何ら非難されるべきものではありません。にもかかわらず、中立・独立を売りにしているFPの中には、「金融商品は販売しないが金融機関のセミナーには登壇する」いうチグハグな言動も散見されます。中立・独立を強調するのは結構ですが、それしかアピールしていない様子を見ると、他にPRすべき点が無いのだろうか、あるいは、公平でも中立でもないことを自覚している心情の吐露なのだろうかと、無用な心配をしてしまいます・・・

 

以上、長々と書き連ねましたが、もちろん独立系FPにも金融機関系FPにも、高い見識を有する専門家が数多く存在することは忘れてはなりません。当コラムをご愛読いただいている皆さまならば、「こんなFPは嫌だ」と言われる(あるいは言う羽目になる)事態に陥ることは無いとは思いますが、「専門家を選ぶ」あるいは「専門家として選ばれる」ためには、それなりの自己研鑽が欠かせないことだけは確かです(自戒を込めて)。

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