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老齢基礎年金を満額受け取るには? ~ 任意加入制度の活用


国民年金保険料を20歳から60歳まで40年間納めた方は、65歳から老齢基礎年金を満額受け取ることができます。2019年度は780,100円(年額)です。しかし20歳から60歳までの間で国民年金保険料を納めていない期間があると、それに相当する年金額が減額されてしまいます。そうした場合、「国民年金任意加入制度」の活用により、老齢基礎年金を満額に近づけることができますが、中には「保険料を納めてまで満額の年金額に近づけるメリットがあるの?」と思われる方もいると思いますので、そのあたりを解説してみましょう。

■「国民年金任意加入制度」とは?
「国民年金任意加入制度」とは、60歳以降に国民年金保険料を任意で納めることにより、65歳から受け取る老齢基礎年金額を増やせる制度です。60歳から65歳の間で保険料納付済期間が480月(40年)に到達するまで納付できます。老齢基礎年金の受給資格である保険料納付済期間10年に満たない場合、特例として65歳から70歳までの間、受給資格が得られるまで納付することも可能です。

国民年金は20歳から60歳までの方は強制加入ですが、1986(昭和61)年3月までは、会社員・公務員に扶養される配偶者(専業主婦など)が、1991(平成3)年3月までは20歳以上の学生は任意加入でした。このように、強制加入ではなかったために国民年金に加入していなくても、20歳から就職するまで国民年金未加入期間が2年あれば、老齢基礎年金は年額39,005円が減額されてしまいます。

この場合60歳から62歳まで国民年金に任意加入し、月額16,410円(※1)の保険料を納めると、65歳から年額780,100円の老齢基礎年金を受け取ることができ、受け取り始めて10年経つと任意で納めた2年分の保険料393,840円とほぼ同額の年金額が増えます。65歳の平均余命は男性19.7年、女性24.5年(※2)ですから、平均余命まで老齢基礎年金を受け取ると、男性は768,399円、女性は955,623円の増加となり、任意で納めた保険料のおよそ2~2.4倍です。各保障団体の個人年金共済(保険)をくまなく探しても、支払った保険料の2~2.4倍の年金額を受け取れる制度(商品)は無いはずなので、国民年金の任意加入制度は非常に有利だといえます。

さらに、国民年金の任意加入被保険者は「付加保険料」を納めることができます(※3)。国民年金保険料に加えて月額400円の付加保険料を納めると、65歳から老齢基礎年金に加えて「付加保険料納付月数×200円」の付加年金(年額)が受取れます。先ほどの事例と同様に月額400円の付加保険料を2年納めると納付総額は9,600円、65歳から受け取れる付加年金は年額4,800円です。つまり65歳から国民年金を受け取り始めて2年で、受け取る付加年金の総額が支払った付加保険料と同額となり、その後はすべてプラスになります。平均余命まで付加年金を受け取ると、実に10~12倍の年金額を受け取れる計算です。

■任意加入する際の注意点
国民年金に任意加入するには手続きが必要です。手続きは本人が住んでいる市(区)役所または町村役場の国民年金担当窓口で行います。年金手帳(または基礎年金番号通知書)、預貯金等通帳、印鑑(金融機関届出印)が必要となります。

その他にも次の項目に注意が必要です。

1)国民年金(老齢基礎年金)の繰上げ支給を受けていないこと。
老齢基礎年金の受給は原則65歳からですが、希望すれば60歳から65歳までの間で繰上げて受給できます。この制度を利用して年金を受給している場合は任意加入ができません。

2)厚生年金保険に加入していないこと。
60歳以降に会社員や公務員として働く場合は、職場を通じて厚生年金保険料を納めることになりますが、その間は国民年金に任意加入できません。

3)専業主婦やパートタイマ―の方は注意
会社員や公務員に扶養されている配偶者(専業主婦やパートタイマーなど)の場合、本人が60歳を迎えると国民年金の第3号被保険者にはなれません。第3号被保険者は国民年金保険料を納付する必要がありませんが、60歳を迎えた時点で保険料納付済期間が480月(40年)に満たない場合は任意加入被保険者となり、自分で国民年金保険料を納めるとよいでしょう。なお、本人や家族が支払った国民年金保険料は社会保険料控除の対象になりますので、会社員や公務員である世帯主が保険料を支払うと、世帯主の所得税や住民税が安くなる効果もあります。


※1)2019年度
※2)平成30年度簡易生命表
※3)国民年金の第1号保険者は納付できるが、第2号被保険者は納付できない
なお、年金額の計算において0.5円未満は切り捨て、0.5円以上は1円単位に切り上げしている

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