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執筆者プロフィール
- CFP認定者
- 1級FP技能士
- 1級DCプランナー
- 住宅ローンアドバイザー
- 確定拠出年金教育協会 研究員
- アクティブ・ブレイン・セミナー マスター講師
- 2020.01.16
- 住宅
住宅ローンを組むうえでの5つの鉄則
過去最低水準にあるといってもいい住宅ローン金利。手厚い住宅ローン減税もある。今年こそ、夢のマイホームを手に入れたいと思っている人も多いことでしょう。
確かに、住宅取得を考える人にとって、現在の外部環境は昔に比べると有利だと考えられることが多くあります。しかし、住宅ローンも所詮は借金。きちんと返済できるかどうかが重要です。無茶なローンを組んで返済に苦しむような事態に陥ると、「夢のマイホーム」が一転「悪夢のマイホーム」になってしまう可能性もあるのです。
今回は、これから住宅取得をしようと考えている人のために、住宅ローンを組むうえでの5つの鉄則についてまとめておきます。是非とも鉄則を守って安心できる住宅取得を目指してください。
<鉄則1>借りられる金額ではなく返せる金額を借りる
昨今の低金利の影響もあり、会社員や公務員の人にとっては、住宅ローンは昔に比べてかなり借りやすくなっています。金融機関によっても異なりますが、年収が400万円や500万円もあれば、4,000万円近く借りることも簡単な時代なのです。
しかし、重要なのは、「いくら借りられるか」よりも「いくらなら返せるか」です。現在の家計から住居費に充てられるのはいくらまでが限界なのか、きちんと家計を見つめ直して、安心して返せる金額を借りることが大切です。
<鉄則2>金利タイプは固定金利を優先する
現在、金利タイプで比較すると、変動金利型が0.5%前後、全期間固定金利型が1.0%前後といった水準です。毎月の返済額だけで比較すると変動金利型のほうが返済額は少なくなりますが、変動金利型は半年ごとに金利が見直されるのが通常です。将来、金利が上昇すれば返済額が増えてしまいます。
将来にわたる金利の推移を正確に予測するのはほぼ不可能です。結果としてどちらが有利になるかは将来になってみないとわかりません。有利か不利かで判断するのではなく、安心かどうかで判断すべきだと思います。固定金利型のほうが、将来にわたる返済計画を固定することができ、家計運営上も安心でしょう。
どうしても変動金利型を利用したいと考えるのであれば、住宅ローン金利が3%や5%に上がったとしても家計運営に問題がないかどうかを計算してみてから判断するようにしましょう。
<鉄則3>返済期間の理想は「(60歳-返済開始時の年齢)年以内」
住宅ローンは定年までに返済が終了するような返済計画にしておくのが安全です。近年、多くの企業で65歳までは働けるようになってきていますが、60歳以降は収入が減少するケースも多くあります。やはり、60歳までに完済できる計画のほうが安心でしょう。
最初は35年返済などの長期で組んで、途中で繰り上げ返済をすればいいと考える人も多いようですが、繰り上げ返済用の資金を計画的に貯められるのであれば、もともと短く組むことが可能なはずです。また、計画的には貯められなくなる可能性もゼロではないでしょう。初めから繰り上げ返済を計画に入れた資金計画は、あまりおすすめできません。
なお、35年返済などの長期のローンを組まないと買えない物件は、もともとの物件価格が高すぎるのかもしれません。物件選びから見直す必要があるでしょう。
<鉄則4>借金は少なく借りて短く返す
低金利時代とはいえ、住宅ローンも利息負担があります。ローン残高に対する利息が常にかかってきますので、ローン残高はできる限り早く、1円でも多く減らしていくことが大切です。
そのためにも、頭金を1円でも多く準備して借りる金額を少なくし、返済期間を1ヵ月でも短く組むことで余計な利息の支払いを少なくできます。物価上昇率の高いインフレ時代にならない限り、「借金が財産になることはない」と肝に銘じておくべきでしょう。
<鉄則5>貯蓄のできる返済計画にする
住宅取得だけが人生ではありません。せっかくマイホームを手に入れても、その後、外食に行けない、旅行に行けない、趣味にお金も使えないなど、必死に節約をしないと生活できないようでは、何のためのマイホームかわかりません。「住宅取得」を目標にするのではなく、「住宅取得後のゆとりのある生活」を目標にすべきでしょう。
当然ながら、教育資金や老後資金も忘れてはいけません。それらの資金準備とのバランスも考えて、きちんと貯蓄のできる返済計画を立てることが重要です。教育にはどの程度お金をかけたいと思うのか、老後はどのような暮らしをしたいのか、それらも考慮しながら住宅取得を考えていく必要があるわけです。
これらの5つの鉄則は、どれひとつとして安易に考えていいものはありません。是非とも慎重に検討を重ねて、安全安心な資金計画を立てるようにしてください。もし不安があるようでしたら、20年先30年先まで細かくシミュレーションをしてくれるようなFPに相談してみてください。