FPI-J 生活経済研究所長野

MENU

コラムColumn

  • 2019.10.17
  • ライフプラン
  • 黒田 尚子

アメリカで「がん」になっても、絶対仕事を辞められない理由

2019年9月中旬から下旬にかけて、ニューヨーク出張に行ってきました。メインの目的は、現地の病院や緩和ケア病院、がん患者支援団体、アメリカンキャンサーソサエティ(米国対がん協会)などの視察でしたが、合間にラジオ収録があったり、ニューヨークの商工会議所主催のセミナーに登壇したり等々。なかなかハードで充実したツアーとなりました。

さて、筆者にとって、ニューヨークは二度目の訪問になります。ただ、前回が20年以上前だった上、FPになる以前の会社員時代のことで、「とにかくお金がない!」という文字通りの貧乏旅行。ニューヨークに対しては、東京のように都会で、お金がなければと楽しめないという印象が強く残っていました。
今回渡航してみて、やはり驚いたのは物価の高さです。滞在したホテルが、ミッドタウンのタイムズスクエアガーデンのすぐ近くということもあり、近くの食料品屋さんで、バナナが1本1ドル、1リットルと500ミリリットルのミネラルウォーターで5ドルというように、ちょっとした買い物も結構なお値段です(※参考:2019年10月2日現在のレート1ドル=107.72円)。

その上、日本と同じく、アメリカも消費税がかかります。消費税率は州や市によって定められ、現在、ニューヨーク市の消費税は8.875%(州税4.375%、市税4.5%)です。
また、免税や軽減税率なども導入されていて、購入する商品やサービスによっても税率が異なります。例えば、ニューヨークでは、洋服や靴など身につける物に対して、110ドルまでであれば消費税が免除されます。いわば、免税店のようにタックスフリーで商品が買えるわけです。

そして、カフェやレストランで食事をしたり、タクシーに乗ったりするのにも、すべてチップがかかるのも、割高に感じる一つでした。チップの目安は18%。ちょうど消費税が8.875%なので、これを2倍して、ちょっと多めに払うという感覚のよう。サービスが良ければ20%くらい上乗せします。
レストランなどに行くと、チップをどれくらい払うかレシートにチェックできるようになっていて、とてもシステム化されていますし、支払いはクレジットカードが中心でキャッシュレスが進んでいます。

このほか、最近はやや下落傾向にあるとはいえ、ニューヨークの不動産価格の高騰ぶりにも目を見張りました。マンハッタン島は、ほぼ東京の山の手線の内側と同じくらいの広さだそうですが、その狭い場所のあちこちで新しいビルやマンションの建設ラッシュが進められていました。当然、家賃も高くなります。2008年9月のリーマンショック後には、さすがに大幅にディスカウントされたようですが、今では、スタジオ型で一人暮らしをするなら、家賃2,500ドル~3,000ドル以上は必要。さらに契約更新時に、毎年アップしていくそうです。

200か国以上の生活費を調査している「Expatistan」によると、東京とニューヨークを比較しすると、東京に比べて、食費+18%、住居費+23%、日用雑貨費+47%、娯楽費+30%というデータが出てきました。あまり変わらないのは被服費+5%と交通費+1%くらいでしょうか。
これだけ生活コストがかかるわけですから、生活もラクではありません。夜中だというのに、街角に多くの人でにぎわうお店があったので、のぞいてみると、なんと1ドルピザのお店です。一切れが1ドルのようで、もちろん立ち食いです。アメリカは、日本に比べて投資への意向が強く環境も整っているというイメージですが、そもそも、生活に余裕がなく、貯蓄や投資に回すお金がないのだと言います。

そんなギリギリの生活をしている人が少なくないニューヨークでがんになったとしたら…。当然医療費も高額です。
筆者が取材をしたがん患者さんは、診断から検査、入院、手術、放射線治療、抗がん剤治療を行い、かかった費用は約30万ドル以上。1ドル100円でも、3,000万円以上かかる計算です。この患者さんは、自己負担が3,000ドルで、残りの100%を保険会社が支払うという医療保険に勤務先が加入していたので、治療終了後に3,000ドルの負担だけで済みました。しかし、そうでなければ、自己破産もありえるでしょう。

また、別のがん患者さんは、どんなに体調が悪くても、絶対に会社を辞められないのだと言います。
その理由は、会社を辞めて、医療保険がなくなるわけにはいかないから。家族もその医療保険に加入しているので、本人が辞めてしまうと、一家全員が病気にかかったときの保障がなくなってしまいます。それは想像するだけで恐ろしいことだそう。日本でも、治療と仕事の両立は大きな問題ではありますが、これほど深刻ではありません。

医療に関して、先進的で学ぶべきところの多いアメリカの医療ですが、保険制度については、知れば知るほど、日本に住んでいることに感謝してしまいます。
そして、消費税が10%にアップしたとはいえ、もともと、日本は、モノの値段が安く抑えられ、ワンコインで美味しいものが手軽に食べられるお店も揃っています。海外に行くたびに、日本の良さを再認識してしまう今日この頃でした。

お電話でのお問い合わせ

生活経済研究所長野 推進企画課

0263-88-6480

経験豊富なスタッフが、
丁寧にご要望を承ります。

受付時間 / 平日9:00〜18:00

Webでのお問い合わせ

Webからのお問い合わせなら
24時間いつでも承ることが可能です。

TOP