コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFP ファイナンシャル・プランナー
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- TLC(トータルライフコンサルタント)副称号:生命保険協会認定FP
- 損害保険上級資格
- DCプランナー2級
- キャリアコンサルタント
- 2026.02.26
- 住宅
「空き家」のリスクと火災保険の引き受け方法は?
2025年8月29日に令和6年空き家所有者実態調査が公表されました。この調査の目的は、空き家を所有している世帯を抽出して、空き家の管理状況や利用意向などを調査することにより、国及び地方公共団体における空き家に関する基本的施策を推進する上での基礎資料を得ることとしています。
調査結果のポイントとして、
・空き家の約6割は相続されたものであり、その相続空き家の7割超が1980年以前に建築された住宅である。また約6割は所有者の死亡を契機に空き家になっている。
・今後の空き家の利用意向を見ると、使用目的のない空き家の所有世帯の約4割が今後も空き家として所有する意向がある一方で、4割弱に除却又は売却する意向がある。
ということがまとめられています。
ここで気になるのが相続空き家の7割が1980年以前に建築された物件であることと、使用目的のない空き家の所有者世帯の約4割が今後も空き家として所有する意向があるということです。
近年損害保険会社は、築40年以上の物件の引き受けがとても厳しくなっており、長期契約(5年満期)の引き受けは厳しく1年更新となるケースが多いのは、老朽化した物件での自然災害による保険金支払いの増加が影響しています。
空き家としての所有の意向が4割という調査結果を受け、空き家として所有するなら火災保険が必要不可欠とされる理由と引き受けの条件について解説します。
〇空き家は放火や倒壊のリスクが高い
人の出入りがない空き家は防犯性が低く、不法侵入者や放火犯に狙われやすいため、放火や不審火による火災が発生しやすくなります。また台風や大雪といった自然災害で建物が倒壊、破損しても、気づかず対応が遅れ、被害が拡大する恐れもあります。
〇損害賠償リスクがある
空き家の火災や倒壊により近隣の建物や第三者に損害を与えた場合、所有者に損害賠償責任が生じる可能性があります。損害の程度によっては、空き家の解体費用等に加え高額な賠償を負う場合もあります。
このように空き家のリスクは非常に高いことがお解りいただけたと思います。
〇火災保険の引き受けについて
空き家は通常の住宅に比べて火災等のリスクが高く、住宅用の火災保険では引き受けてもらえません。
また空き家であることを申告せずに住宅用の火災保険に加入した場合や、加入後に空き家になったことを保険会社に届け出なかった場合(通知義務違反)は、保険料を払込み続けていても、いざという時に補償を受けられない可能性があります。
火災保険には個人住宅用火災保険(住宅物件料率)と企業用火災保険(一般物件料率)があり保険料率が異なります。空き家に対しては一般物件料率を適用し、企業用火災保険で引き受けます。
【一般物件料率を使用する空き家の具体例】
・居住する予定のない建物
・以前は居住として使用されており家財が残っているが、現在は居住として使用されていない建物
・転勤等で現在は利用されておらず、今後も住居として利用するか決まっていない建物
【住宅物件料率を適用できる空き家の具体例】
・季節的に住居として建物(例:別荘・別宅)で、家財が常時備えられている
・出張や転勤等に伴って一時的に空き家になっている
(住居として賃貸入居者の募集を行っている、または将来所有者が自ら居住する予定である等)建物
(注)家財以外の動産が常時収容されている建物は除く
(空き家が一時的なものであり、今後も引き続いて住宅として使用されることが予定される物件が前提です)
空き家は増え続け社会問題となっています。官民一体となって様々な対策を考えています。しかし相続空き家が7割を占める現状を考えると、相続人のライフプランにも影響が及ぶことは間違いありません。相続前に不動産をどうするのか、売却や賃貸にするなどの他の活用方法を考え、空き家以外の対策を講じておくことが重要となります。