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【令和7年版】働いても手取りが増えないパート収入の暗黒ゾーンとは


令和7年度税制改正によって、「103万円の壁」などのパート収入の壁が大幅に改正されました。しかし、その改正内容が複雑すぎて、「結局、いくらまで働いて大丈夫なのか全然わからない!」というナマの声も近所の主婦から聞こえてきました。

今回は、パート収入についての5種類の壁が、どのように改正されたのか。年末まであと1ヵ月ちょっと、いくらまで働いても大丈夫なのか。そして、頑張って働いても手取り収入が増えていかない暗黒ゾーンになってしまう年収はいくらなのか。ポイントを整理します。

●5種類の壁が改正でどう変わったか

ここでは便宜的に、夫が正社員、妻がパートで働いているものとします。
パート収入の壁は、大きく分けると5種類あります。住民税の壁、所得税の壁、社会保険料の壁、配偶者特別控除減少の壁と消滅の壁です。2024年から2025年への変化は以下のとおりです。

2024年(令和6年)
妻の年収 妻 夫
壁①   100万円 住民税がかかる ―
壁②   103万円 所得税がかかる 配偶者控除が受けられなくなる
壁③-1  106万円※ 社会保険料がかかる ―
壁③-2  130万円※ 社会保険料がかかる ―
壁④   150万円 ― 配偶者特別控除が減っていく
壁⑤   201万円 ― 配偶者特別控除が受けられなくなる
※社会保険料の壁は、どちらか一方が適用される。

2025年(令和7年)
妻の年収 妻 夫
壁③-1  106万円※ 社会保険料がかかる ―
壁①   110万円 住民税がかかる ―
壁②   123万円 ― 配偶者控除が受けられなくなる
壁③-1  130万円※ 社会保険料がかかる ―
壁②④  160万円 所得税がかかる 配偶者特別控除が減っていく
壁⑤   201万円 ― 配偶者特別控除が受けられなくなる
※社会保険料の壁は、どちらか一方が適用される。

住民税の壁が10万円上がりました。年収110万円以内でも自治体によっては均等割(年間5,000円程度)の負担が必要ですが、所得割は年収110万円超でかかるようになります。

そして、所得税については103万円から160万円まで大幅アップしました。年収160万円までなら所得税はかからないということです。年収123万円(昨年までは103万円)を超えると、夫が配偶者控除を受けられなくなりますが、同額の配偶者特別控除を年収160万円になるまで受けられますので、夫の税負担は変わりません。

ただし、企業によっては、配偶者手当や家族手当の支給要件が「妻のパート収入123万円以内」と定められている可能性もありますので、手当の支給を受けている方はその要件をご確認ください。

●暗黒ゾーンに大きくかかわる社会保険料の壁はそのまま

実は、今回の改正はあくまでも税制部分だけで、社会保険料の壁の部分は変わりませんでした。夫の扶養の範囲で働くのかどうか、という点に最もかかわってくるのが社会保険料です。

簡単に整理しますと、社会保険料の壁というのは、年収106万円か、年収130万円のどちらかです。これは、パート先の状況によって変わります。

勤務先が、「従業員数が51人以上」で、「週20時間以上」働き、「2ヵ月を超えて働く予定」があり、給与が「月額8万8,000円以上」で、「学生でない」という要件を満たす場合は、「年収106万円の壁」に該当します。

「月額8万8,000円以上」なので、正確に言えば「年収105万6,000円の壁」ですが、一般的には「年収106万円の壁」と呼ばれています。

この年収106万円の壁に該当する妻が、年収106万円を超えると、夫の社会保険の扶養から外れ、妻本人がパート先で厚生年金や健康保険に加入することになります。妻も厚生年金に加入でき、傷病手当金などの保障もつくようになるので、保障は手厚くなりますが、保険料負担によって手取りは少なくなります。

一方、「年収106万円の壁」に該当しない妻の社会保険料の壁は、「年収130万円の壁」になります。例えば、コンビニでパートとして働いている妻の場合、コンビニはフランチャイズのオーナーが経営しているのが一般的ですので、従業員数は多くても10人前後でしょう。106万円の壁には該当しないので、130万円の壁が適用されます。

この年収130万円の壁を超えるとどうなるかというと、夫の社会保険の扶養から外れ、妻本人が国民年金保険料や国民健康保険料を支払う必要が出てきます。この場合は、妻に対する保障が手厚くなることもなく保険料負担だけが発生することになるので、手取り収入を減らすデメリットしかないと言えるでしょう。だからこそ、次に触れる暗黒ゾーンに要注意です。

●働いても手取り収入が増えない暗黒ゾーン

今回、令和7年度の税制、社会保険制度を元に、暗黒ゾーンを計算してみました。
前提条件は以下のとおり。
夫婦ともに40歳未満、子どもは15歳以下、健康保険料(社保)は協会けんぽの全国平均、国民健康保険料は東京都練馬区の料率

「年収106万円の壁」に該当する場合・・・年収106万円~年収123万円
「年収130万円の壁」に該当する場合・・・年収130万円~年収162万円

この暗黒ゾーンに入らないようにすることが重要です。
暗黒ゾーンの上限を超えられそうもないなら、下限以内(105万円か129万円)に抑えておくべきでしょう。少しでも上限を超えられそうなら、頑張って働いちゃいましょう。そのほうがオトクです。

妻が頑張って働くことで夫の手取り収入が減る可能性はありますが、その影響が出るのは妻の年収が160万円を超えてからです。とはいえ、夫の手取りが多少減っても、夫婦の合計の手取り収入は増えていきますので、妻は気にせず収入を増やしてしまって問題ないでしょう。

●大学生は年収150万円までなら親の税負担は変わらない

なお、年末時点で19歳から22歳までの子(一般的には大学生ですが、大学生でなくてもOK)がアルバイトで年収103万円を超えてしまうと、親が受けられる特定扶養親族控除(所得税で63万円、住民税で45万円)がなくなり、親の税負担が重くなってしまう問題がありました。

それが今回の改正で、通常の扶養控除が103万円から123万円に引き上げられただけでなく、19歳から22歳までの子については、150万円までの特定親族特別控除というものができました。

なので、今年からは19歳から22歳の子が頑張って働いても、年収150万円までなら親の税負担は重くなりません。さらに、年収150万円を超えても控除額がすぐになくなるのではなく、段階的に引き下げられていくかたちになっていて、年収188万円になるまでは多少の控除が受けられるようになっています。

とりあえず分かりやすく整理したつもりではありますが、依然として複雑な制度になっていますので、不明点などがありましたら、税務署などで確認していただくのが間違いないかと思います。

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