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地震火災の発生抑制対策に感震ブレーカー


2024年1月1日16時10分、石川県能登半島で発生した最大震度7の大地震は、大津波警報と共に甚大な被害をもたらしました。また、この大地震でも各地で大規模火災が発生し、特に輪島市河井町の観光名所として知られる「朝市通り」では、およそ200棟が全焼したと報道されています。このような地震火災は、地震・噴火・津波といった自然災害によって引き起こされるもので、火災保障(共済・保険)では保障されません。

地震・噴火・津波が原因の火災
こくみん共済 coopであれば自然災害共済、損保各社であれば地震保険で保障されますが、共済は火災保障額の一定割合(例:こくみん共済coop 30%、JA共済50%、全国生協連20%(※1))、地震保険は火災保険契約の50%までしか保障されないため、一般的には被害を全額カバーできません。地震などの時には、いかに火災を発生させないかが重要です。

地震火災の原因は?
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災における出火件数は、内閣府によると285件とされおり、出火原因が不明なもの(146件)を除くと最大原因は電気による火災(85件)で、出火原因不明も含めた全体の29.8%を占めています。また、2011年3月11日の東日本大震災では地震火災164件のうち津波が原因による火災(43件)を除くと電気による火災の割合が67.8%(82件)を占めています(※2)。近年の大規模地震では、電気が火災の最大の原因といえます。

その具体的な要因は、電熱器具や電気機器、電気配線などが考えられます。近年販売されている電気ストーブなどは「転倒時電源遮断機能」が付いていますが、周囲の散乱物等によって機能せず、接触した可燃物に着火するケースもあります。また、転倒しない場合でも通電中の電気ストーブ等の周辺に可燃物が近接し火災が発生する場合もあります。

避難時にはブレーカーを落として!と言うが…
能登半島地震においても、地震火災が発生したことを受け経済産業省が「避難時にはブレーカーを落として」とX(旧Twitter)にポストしていましたが、震度7の揺れが発生し大津波警報が発令されれば誰もが落ち着いた行動も冷静な判断もできません。また家具など転倒物や割れたガラスの散乱、家屋の損壊などによりブレーカーに近づけないケースも十分に考えられます。

感震ブレーカーとは
そこで注目されているのが「感震ブレーカー」です。通常のブレーカーは漏電や過電流が流れると電気を遮断する役割がありますが、感震ブレーカーは、地震発生時に設定値以上の揺れを感知したときに、ブレーカーやコンセントなどの電気を自動的に止める器具で、設置により不在時やブレーカーを切って避難する余裕がない場合に電気火災を防止する有効な手段(経済産業省「感震ブレーカー普及啓発チラシ」から引用)といわれています。

実際には震度5強相当の揺れを感知すると設定された時間(即時、3分、5分)で分電盤のブレーカーが作動し電気が遮断されるものが一般的で、分電盤内蔵タイプや感震リレータイプ、コンセントに差し込むだけのタイプなどがあります。設置に関してはご家庭の分電盤の空きスペースなどを確認してください。

自治体によっては補助金もある
地震による火災防止に有効な感震ブレーカーですが、残念ながら認知度は低く内閣府の調査(※3)によると、その存在を知っていた方は48%に留まり、設置している世帯は22%程度です。
経済産業省のホームページでは感震ブレーカーの効果と設置を呼び掛けるチラシが掲載されており、自治体のホームページでも感震ブレーカーの設置を推奨しているところもあります。静岡県静岡市は設置に対しの補助制度があり、市内に居住する個人に対して設置費用の3分の2以内(上限25,000円)、住宅の新築時の場合は10,000円が交付されます。

すべての自治体ではありませんし補助対象となる製品も異なりますが、お住まいの市区町村の補助制度を探してみてください。

大規模な地震は日本全国どこでも起こる可能性がありますから、ご自宅のためにも近隣住民のためにも設置を検討する必要がありそうです。

※1 新型火災共済の地震保障5%+地震特約15%
※2 内閣府政策統括官(防災担当):「大規模地震時の電気火災抑制策の方向性について( 報 告 )平成30年3月 大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」から引用
※3 感震ブレーカーに関する意識と普及状況に関する調査 調査結果(首都直下地震緊急対策区域(地震時等に著しく危険な密集市街地))(令和元年9月)

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