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同性パートナーと借りる住宅ローンの変化


2023年6月20日現在、日本の法律では同性の婚姻が認められていませんが、その問題を解決するために自治体として当事者のカップルを公的に認める「同性パートナーシップ制度」が導入されています。 2023年1月10日時点で、この制度は255の自治体(10都府県と245市区町村)で導入されており、今後さらなる増加が見込まれています。

◆従来の住宅ローンは?
「同性パートナーシップ制度」によりパートナーシップ届受理証やパートナーシップ宣誓書受領証明カードなどが交付されたとしても、異性のカップルが享受するような法的な保護や権利(例えば、遺産相続、医療決定権、税制上の優遇等)は保証されません。

住宅ローンの審査でも、異性のカップルであれば婚姻関係になく、さらには現時点で同居していなくても購入する住宅に同居することなどを条件に、手続き上は「夫婦同等」として扱われています。 しかし、同性カップルの場合は現時点で同居していようが、夫婦同様に経済的や精神的にも支えあう間柄であろうが、戸籍上の婚姻関係を結ぶことができないことから、銀行は同性カップルを「夫婦同等」として扱うことはありませんでした。

◆同性カップルの住宅ローンを変えたみずほ銀行
2017年7月6日、みずほ銀行は住宅ローンの商品を改定し、これまでは戸籍上の親子や夫婦、または前述の異性のカップルにしか認められていないペアローンや収入合算を、一定の要件を満たすことで同性パートナーにも適用できるように変更しました。以降、複数の銀行が同性パートナーに対する規制緩和を実施しており、最近では住宅金融支援機構の【フラット35】も住宅ローンの配偶者の定義に同性パートナーを加えるよう制度が改正されました。

◆夫婦で借りる住宅ローンは主に2つ
夫婦または夫婦同等とみなされる場合、住宅ローンの借り方にはペアローンと連帯債務(または連帯保証)があります。

ペアローンは夫婦のそれぞれが単独で住宅ローンを借りて、そのローンを合わせて1つの物件を購入するものです。例えば夫が2,000万円を借り、妻が1,000万円を借り、その合計3,000万円で1つの物件を購入します。

連帯債務は1つのローンを夫婦共同で借ります。夫がいくら、妻がいくらではなく、3,000万円の住宅ローンを夫婦共同で返済するイメージです。この場合は夫婦の収入を合算(収入合算という)して審査するため、夫婦のどちらかが単独で借りるよりも大きな金額を借りることができます。

銀行によってはこれらが同性のカップルにも認められるようになったのです。

◆LGBTの必要書類は銀行により異なる
同性カップルの場合は手続きが複雑です。銀行により制度が異なるためローン関連の必要書類も取り扱いが異なっています。例えば任意後見契約および合意契約に係る公正証書の正本または謄本、および任意後見契約に係る登記事項証明書を求める銀行もあれば、自治体の発行する同性パートナーシップ証明書またはこれに類する証明書を求める銀行もあります。

2021年6月15日から取り扱いを開始した沖縄ろうきんは、原則として購入する住宅に同居することがわかる住民票だけを提出すれば良いとする柔軟性がある一方、ペアローンは選択できません。楽天銀行は「楽天銀行LGBT住宅ローン」という商品を2017年10月7日に発売していますが、スーモカウンター新築マンション、株式会社三好不動産、LIFULL HOMESすまいの窓口を通じての申し込みが必要などの条件を付しています。

◆今後はさらに拡大する見込み
「LGBT理解促進に関する行動宣言」や「SDGsの一環」というキーワードで、さまざまな銀行が取り組みを開始しており、都市銀行だけでなく地方銀行や労働金庫にも波紋は広がっています。

現時点で取り扱いの無い銀行も今後は制度を導入するかもしれませんし、ホームページには明確な記載はされていなくとも、実際には窓口で相談すれば取り扱ってくれる銀行もあるかもしれません。中央ろうきんなどもホームページには記載がありませんが、電話問い合わせに対しては必要書類などを案内しています。

この分野に関しては住宅営業担当者でも知識がないことも多いため、ご自身で銀行窓口などに相談されることをお勧めします。

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