コラムColumn
執筆者プロフィール
- ファイナンシャル・ジャーナリスト
- LIFE MAP,LLC代表
- 2023.03.23
- 投資
2023年で廃止になるジュニアNISA。2024年からどうなる?
2024年からスタートする新しいNISAが注目を浴びています。制度が恒久化され、非課税期間も無期限化。年間投資枠も大幅にアップ(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=360万円)するためです。ただし、利用できるのは日本に住む、18歳以上の人。未成年者は利用できません。
未成年者が対象となっているジュニアNISAについては、2023年で廃止となります。そのため、新規投資できるのは2023年末までです。では、今ジュニアNISAを利用している人は2024年以降どうなるのかを改めて整理します。
まず、ジュニアNISAのしくみについておさらいです。制度を利用できるのは日本に住む、1月1日時点で18歳未満の未成年者です。ジュニアNISA口座で購入できるのは一般NISA口座で購入できるものと同じです。上場株式や株式投資信託、ETF(上場投信)、REIT(上場不動産投信)など。非課税で投資できる枠は年間80万円までで、非課税期間は最長5年。その間にジュニアNISA口座で購入した上場株式や投資信託の配当金や普通分配金に対して税金がかからず、売却したときの譲渡益も非課税になります。
ジュニアNISAは2023年に廃止が決まっています。そのため、新規に投資できるのは2023年まで。2024年以降はジュニアNISA口座では新たな投資ができなくなります。
2024年からはいつでも引き出し可能に
廃止にともない、2024年1月以降は払い出し制限(*1)が解除されます。そのため、ジュニアNISA口座で保有する株式や投信などについては「いつでも」売却して引き出せるようになります。
ただし、引き出す場合には、ジュニアNISA口座で保有している商品はすべて払い出す必要があり、払い出したあと口座は廃止されます。ですから、一部の金融商品だけを売却して引き出したり、そのつど、株式の配当を受け取ったりすることはできません。例えば、配当は従来どおり、(NISA口座内の)課税ジュニアNISA口座に入り、口座を廃止するまで引き出すことはできません。
*1 2023年までは払い出し制限があり、災害時などの例外を除き、3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までは払い出しは原則不可。引き出す場合は課税される
ロールオーバーの手続きが不要に!
2023年までに投資した分については、そのまま成人(1月1日時点で18歳)になるまで非課税で運用し続けることも可能です。
ただ、ジュニアNISAの非課税期間は一般NISAと同様、5年です。そのため、従来はジュニアNISA内の非課税口座で5年を超えて非課税で運用し続けるには、非課税期間終了時に新たなジュニアNISAの非課税枠(2024年以降はロールオーバー専用の継続管理勘定)に移すロールオーバーの手続きを行う必要がありました。そのため、非課税期間5年が終わるときにロールオーバーの手続きを忘れると、NISA口座内のジュニア課税口座に時価で払い出されてしまう心配があったわけです。
今回の改正で、非課税期間終了時のロールオーバーの手続きが不要となり、優先的に継続管理勘定に移管されることになりました。これで成人になるまで安心して非課税で運用し続けることができます。
大人のNISAには移管できなくなる予定
一方で残念なことも。もともとジュニアNISA口座で成人になるまで運用を続けると、成人のNISA口座が自動的に開設され、ジュニアNISA口座で保有する商品を一般NISA口座にロールオーバーできる予定でした。
しかし、一般NISA口座の新規投資は2023年で終了するため、2024年以降に成人になると、ジュニアNISAで運用していた商品を持っていく先(一般NISA)がなくなってしまいます。2024年から始まる新しいNISAは2023年までのNISA(一般NISA・つみたてNISA)とは切り離されてスタートする予定です。まだ正式には決まっていませんが、2024年からの新しいNISAにはロールオーバーもできないとみられます。その場合にはジュニアNISAで運用してきた資産は成人の課税口座(特定口座)に移管することになります。あるいは解約して、新しいNISAで新たに商品を買い付けるという選択肢もあるかもしれません。
最後に注意点を。ジュニアNISAは成人のNISAと違い、海外出国時の5年非課税の適用対象外です。そのため、海外留学や親の転勤などで非居住者となると、ジュニアNISA口座内で保有する商品は、一般口座(課税口座)へ払い出されてしまいます。特定口座を開設している場合には、出国前または帰国時に一定の手続きを行うことで、帰国時に特定口座に組み入れることができます。留学などで非居住者となる場合には口座を廃止し、引き出しておくといったことも検討しましょう。