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コラムColumn

  • 2023.01.05
  • 生命保険
  • 関口 輝

世帯構成で変わる子どもの医療保障


昔から議論が絶えない課題に「子どもに医療保障は必要かどうか」があります。FP等の専門家でも見解が割れる問題ですが、「年齢だけにフォーカスして必要性を一様には判断できない」が私見です。掘り下げて考えてみましょう。

◆不要論の根拠
「不要」と考える最大の理由は、自治体による医療費助成事業の存在です。
例えば東京都では、義務教育就学期※1までの医療費は自治体が助成してくれるため、子どもの医療費はほとんどかかりません。
自治体により、助成対象年齢や助成対象範囲に違いはあるものの、「不要」の根拠は、「かからない」または「かかってもごくわずか」な支出を補填する必要はないだろうという考え方で、これ自体は妥当なものといえます。

◆助成されない費用もある
しかし、すべての費用が助成対象となるわけではありません。
自治体により助成されるのは、あくまで直接的な医療費です。対象外の医療費や、医療費以外の出費まで助成してくれるものではありません。

東京都の場合、就学前※2の子どもが入院した場合、助成の対象にならない出費は次のようなものです 。
(1)食事療養費
(2)特別初診料(初診5,000円、再診2,500円)
(3)差額ベッド代(全国平均6,180円)
(4)文書料(診断書・証明書等)
(5)病院までの交通費
(6)減少した親の収入
(7)食費(外食が増えた場合など)
東京都であれば、入院期間中の食事代である(1)食事療養費は助成対象外です※3。急病や事故によるケガで大きな病院に駆け込めば、(2)特別初診料※4がかかることもあります。

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※1 15歳に達する日以後の最初の3月31日まで
※2 満6歳の誕生日以後の最初の4月1日を迎えるまで
※3 区市町村によっては助成している場合もある
※4 紹介状なしで200床以上の病院を受診した患者に対し徴収する義務が設けられている。初診で5,000円(歯科の場合は3,000円)以上、再診で2,500円(歯科の場合は1,500円)以上(+消費税相当額)

また、就学前の子どもが1人で入院生活を送るのは現実的ではなく、親が付き添うことで個室が必要になれば(3)差額ベッド代がかかります。
生命保険会社などへ保険金等の請求があれば、必要な診断書、意見書、証明書の作成料として(4)文書料もかかります。 これらは一般に健康保険の適用対象外でもあります。
入院する小児科専門病院が市外など生活圏から離れている場合には、(5)病院までの交通費として、高速道路の料金、タクシー代、新幹線代などが頻繁にかかるケースもあります。

◆世帯により異なる要素もある
さらに、共働き世帯やひとり親世帯ではどうでしょうか。
親が仕事に就いていれば、子どもが入院している間、仕事を休まなければならないケースもあるでしょう。(6)収入が減少し、付き添いに伴い家事ができなければ外食が増えた分だけ(7)食費も余計にかかります。

このように、自治体の助成によって医療費がかからないからといって、出費のすべてがなくなる訳ではありません。むしろ、子どもゆえに必要になる出費も多くあります。また、世帯構成によっては、本来なら得られていた収入が減るリスク等も考慮しておく必要があります。

◆必要な世帯が増えている
「必要性を一様に判断できないのが子どもの医療保障」と言いつつも、あえて付け加えるとすれば、「子どもの医療保障が必要な世帯は増えている」という現実でしょう。

総務省の調査によると、2016年時点で結婚している世帯の63%が共働きで、専業主婦世帯は37%まで減少しており、「共働き」が主流になりつつあることが分かります。また、最新の国勢調査によると、ひとり親世帯は全世帯の9%、子どもがいる世帯の中では実に3割弱を占めています。

ひとり親世帯に対しては、「ひとり親家庭等医療費助成制度」もあります。子どもにかかる医療費の自己負担額をさらに少なくしてくれますが、対象となるのは原則、健康保険の対象となるものです。医療にかかるすべての費用が対象とはならない点は自治体の医療費助成事業と同様です。

世帯構成が多様化し、一般論が通用しにくくなっているのはどの分野でも共通です。子どもの医療保障の必要性は、一様に判断するものではなく、世帯ごとに状況を勘案しながら慎重に見極めていくべきでしょう。

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