FPI-J 生活経済研究所長野

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コラムColumn

  • 2022.12.01
  • その他
  • 関口 輝

ふるさと納税の手続き簡素化に期待すること


ふるさと納税にかかる手続きのさらなる簡素化として、「ワンストップ特例制度」の申請がオンライン手続きだけでできるようになりました。2022年9月5日に「自治体マイページ」に新機能として追加され、サービスが開始されています。

●自治体マイページとは
自分が寄附したふるさと納税を一元管理するWEBサイトです。自治体からの委託を受け2022年5月からサービスを開始しています。
自分の寄附情報がまとめて記録されていれば、複数の自治体に寄付した場合でも自治体名や金額が分からなくなってしまうことはありません。また、返礼品の配送状況のチェック、e-Taxに必要な寄附金受領証明書のダウンロード、住所変更や不備書類の訂正も、自治体から書類が郵送されるのを待つことなくオンラインで完結します。WEBサイト上に自分の専用ページを作成し、こういったさまざまな機能が無料で利用できます。
その新機能として、ふるさと納税の「ワンストップ特例申請」をオンラインで完結できる機能が加わりました。利用には、マイナンバーカードとマイナポータルアプリ、アプリが利用できる端末が必要で、2022年分の寄附から利用が可能です。

●利用者の推移
2008年にスタートしたふるさと納税は、初年度の利用件数が約5万件、寄附金額は81億円でした。どちらも2014年まで徐々に増加しましたが、2015年に始まった「ワンストップ特例制度」が拍車をかけました。
前年の2014年に利用件数191万件、寄附金額389億円だったものが、2015年は一気に利用件数726万件、寄附金額1,653億円へと跳ね上がりました。その後も利用は増加傾向を維持し、直近の2021年には利用件数4,447万件、寄附金額8,302億円に至っています。今年9月にスタートした「オンラインワンストップ申請」でさらに手続きが簡素化され、利用が促進されると予測されます。

ちなみに、「オンラインワンストップ申請」は一部のふるさと納税ポータルサイトにも波及しています。「さとふる」ではすでにサービスが開始していますし、2022年12月からは「ふるなび」「楽天ふるさと納税」でも開始が予定されています。

●自治体にとってもプラスになる
利用件数が伸び寄附金額が増えると、受け入れる自治体にも影響があります。
「ワンストップ特例制度」が開始される前年の2014年には、1年間の寄附金額が全国で初めて10億円を超えた長崎県平戸市がニュースになりましたが、寄附金額が8,302億円に到達している2021年の実績では、1年間の寄附金額が100億円を超えている自治体が6市町あります。寄附金額トップの北海道の紋別市では、約153億円、約110万件のふるさと納税を受け入れています。
金額の大きさもさることながら、1年間に110万件もの件数を処理するとなると、その大変さは想像に難くありません。なにしろ1日当たり3,000件のふるさと納税を手続きしても、365日で109.5万件の計算です。
具体的な数字をみると、「自治体マイページ」が自治体からの委託を受けて開始した背景が理解できます。「ワンストップ特例制度」の手続きに関して、郵送物のやり取りをなくせるだけでも価値があるのです。

●ふるさと納税の理念は何だったのか
ふるさと納税は、「自分が納める税金を活用して、おいしい食べ物を安く入手する制度」ではありません。
ふるさと納税は、「過疎などにより税収が減少している地域と、都市部との地域間格差を是正すること」を目的としています。寄附先は「応援したい」と思う自治体であればどこでも構いません。「ふるさと納税で日本を元気に!」が合言葉だったはずです。

これだけ大きなお金が動く制度へと発展したふるさと納税ですが、返礼品や寄附金額がニュースになることはあっても、寄附金が自治体によってどのように活用されたのかが取り上げられることはあまりありません。ふるさと納税は納税者が税金の使途を指定できる唯一の制度でもありますから、返礼品の配送状況だけでなく、寄附金の行く先にももっと関心を持つべきでしょう。自治体のWEBサイトやふるさと納税のポータルサイトには、寄付金の使途や活用の報告が掲載されています。ふるさと納税の手続きが簡素化され、今以上に利用が促進されることで、本来の理念への関心も高まる世の中であってほしいものです。

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