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最近流行っている?保険金請求代行サービスのトラブルと違法性


最近よく見かける「自宅の修繕に保険が使える」という広告。保険金請求代行サービスといわれるもので、保険金請求代行サービス業者(以下、サービス業者という)が自宅に来て保険証券と自宅の状況を確認し、保険金請求できそうな箇所を探して、火災保険や地震保険の保険金請求を代行するサービスです。一見すると嬉しいサービスのようにも見えますが、トラブルも多発しており注意が必要です。

保険金請求代行サービスの種類
業者が受け取る対価には(1)リフォーム業者の工事請負条件型と、(2)専門業者の申請手数料型の2つのタイプがあります。

(1)リフォーム業者の工事請負条件型
そもそも、自然災害などで被害にあった住宅の修繕には、保険金(または共済金)を請求して工事代金に充てるケースが多く、リフォーム業者などが保険金請求を手伝うのは珍しくありません。具体的には、現場の写真撮影や修繕の見積書作成などを担います。そこで、リフォーム業者は、修繕依頼から保険金請求を手伝うのではなく、保険金請求の代行を条件にリフォームや修繕工事を受注する火災保険申請代行サービスを考案しました。

請求した保険金で修繕やリフォームをするので、実質的な工事費は無料になります。リフォーム業者は値引き交渉や他社との比較で失注のリスクもなく、効率良く営業できるわけです。結果としてリフォーム工事と火災保険申請代行サービスをセットにする営業手法を取り入れた業者が急増しています。

しかし、実際には保険金請求より先にリフォーム工事の契約を交わすため、トラブルも多発しています。保険金が支払われずに工事の中止を求めると、契約違反などと言われ工事請負契約金額の40%を違約金として請求されたりするのです。

(2)専門業者の申請手数料型
基本的には(1)と同じですが、保険金請求代行サービス専門業者はリフォーム工事などは受注しません。その代わりに保険金請求により得られた金額の25~40%程度を成功報酬として請求します。広告などを見ると「報酬額は高額に感じるかもしれませんが、プロでなければ見つけられない保険金請求箇所を発見できたり、請求の仕方によって保険金の支払いが否認や減額されたりするため、結果的にメリットのほうが大きい」などと書かれています。

気付かぬうちに詐欺の仲間に
自然災害まで補償対象になっている火災保障は補償範囲が広く、住宅については経年劣化や故障、故意によるもの以外は基本的には補償対象になる可能性があります。また、保険契約によっては事故により壊してしまった家電製品なども補償の対象です。このような火災保障の特徴を利用し、サービス業者は、家中をくまなく見て回り保険金請求の対象になるものが無いかを探します。そして対象となりそうな箇所を見つけると、保険金請求に必要な情報として事故の日時や状況を確認しますが、サービス業者から嘘の申請を勧められるケースがあります。たとえば、5年前の台風で壊れた屋根を昨年の台風で壊れたと事故日を偽ったり(※1)、経年劣化による破損を自然災害が原因と偽ったりするケースもあります。保険金請求を保険契約者ご自身で行う場合、事実との違いをわかっていながら嘘をついて保険金を請求すれば詐欺罪に問われる可能性もあります。

そもそも保険金請求代行サービスって違法?
弁護士法第72条には、弁護士ではないものが報酬を得る目的で、法律事務を取り扱ってはいけないという旨が記載されています。判例では保険金請求手続きが法律事務に該当すると判断されており、サービス業者が弁護士ではない場合、弁護士法第72条に違反するいわゆる非弁行為と認定される可能性があります。ただし、弁護士が在籍して手続きをしたり、手続きではなく「アドバイス」のみに徹したりしてで非弁行為にならないよう配慮しているサービス業者もあり、すべての業者が違法というわけではありません。

本来の保険金請求と共済のメリット
保険金や共済金の請求は契約者自身で請求できます。もし、すべて正しい内容で請求しても保険金等が支払われないのであれば、それは本来保険金等が支払われる事故ではないものです。それをあの手この手で支払われるようにするのは、そこに事実と違う状況や、保険金等が支払われる可能性の高い状況を加えているケースも考えられます。

直接保険会社と交渉するのが苦手な方は、損保であれば代理店の担当者が、組合員が加入するこくみん共済 coopの共済であれば、職場の担当者が加入者をサポートしてくれます。事故が起こったときに第三者の申請代行などに頼らないためには、一番身近な信頼できる相談しやすい方からの加入をお勧めします。

※1 保険金請求期限は原則として3年

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