FPI-J 生活経済研究所長野

MENU

コラムColumn

長期投資はシンプルが一番!


生活経済研究所長野では毎年春に投資信託に関する調査レポートを発表しています。日本株式で運用される約700本の投資信託を対象に、その運用成績を調査したレポートですが、最近の傾向として、日経平均株価(日経225)連動型インデックスファンドと、東証株価指数(TOPIX)連動型インデックスファンドとの運用成績の差が顕著になってきています。

【インデックスファンドの収益率(過去1年)】
2019年調査:日経225連動型+0.50%、TOPIX連動型-5.45%
2020年調査:日経225連動型+0.51%、TOPIX連動型-4.06%
2021年調査:日経225連動型+39.13%、TOPIX連動型+25.93%
※調査レポートは無料で公開しており、誰でもダウンロード可。https://fpi-j.com/ → 調査レポートをクリック

過去1年の運用成績でみると、2020年の調査では日経225連動型が+0.51%、TOPIX連動型が-4.06 %でしたが、2021年調査では日経225連動型が+39.13%、TOPIX連動型が+25.93%となっており、13ポイント以上の差で日経225連動型が勝っています。

過去1年の運用成績でみると、2020年の調査では日経225連動型が+0.51%、TOPIX連動型が-4.06 %でしたが、2021年調査では日経225連動型が+39.13%、TOPIX連動型が+25.93%となっており、13ポイント以上の差で日経225連動型が勝っています。

■日経225とTOPIXの違いとは?
要因は、日経225とTOPIXの計算方法の違いにあると考えられます。日経平均株価(日経225)とは、東証一部上場銘柄のうち225銘柄を対象にした平均株価です。ハイテク株など値がさ株(株価の高い株)の影響を受けやすく、株価100円の銘柄が1%上昇するよりも、株価1,000円の銘柄が1%上昇したほうが、日経225の上昇幅は大きくなります。

一方、東証株価指数(TOPIX)は、東証一部上場すべての銘柄を対象に、その時価総額を加重平均したものです。時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすく、内需株(電力、通信、運輸、卸、小売、銀行など)の寄与度が大きいとされています。

■両者の強さを表す「NT倍率」とは?
日経225とTOPIXの相対的な強さを表す指数に「NT倍率」があります(※1)。NT倍率とは日経225をTOPIXで割ったもので、両者の差が拡大するとNT倍率は高くなります。通常、NT倍率は10倍~12倍程度で推移していましたが、近年は上昇傾向にあり、2020年11月には15倍を上回っています。

近年のNT倍率の上昇は、コロナ禍の影響でハイテク関連株が急上昇したことが要因だといわれています。なお、NT倍率の上昇は景気拡大局面と考えられており、景気回復局面ではまず日経225が先行し、その後を追ってTOPIXが上昇するという見方もあります。

■投資信託の運用は「長期投資」が王道!
そう考えれば、「今はTOPIX連動型インデックスファンドに投資をするチャンス」と捉えることもできますが、投資信託の運用では「長期投資」が王道です。将来予測は立てず、過去の運用実績から投資戦略を決定すればよいので、NT倍率は全く気にする必要はありません。

具体的には、過去の運用実績から収益率とブレ幅(標準偏差)を計算し、複数のファンドからよりブレ幅が小さく、より収益率の高い投資信託を選びます。今回はニッセイアセットマネジメントのインデックスファンドをサンプルに、日経225連動型、TOPIX連動型の「収益率」と「ブレ幅」を計算しました(※2)。運用期間は5年間(2016年7月~2021年6月)です。

(A)ニッセイ日経225インデックスファンド:収益率14.21%、ブレ幅15.83%
(B)ニッセイTOPIXインデックスファンド:収益率11.00%、ブレ幅14.43%

ブレ幅は(A)が若干大きいものの、平均リターンでは3.21ポイント勝っています。
仮に5年前に100万円を投資した場合、現在の評価額は次のようになります。

(A)ニッセイ日経225インデックスファンド:約189万円
(B)ニッセイTOPIXインデックスファンド:約163万円

26万円ほど(A)の評価額が高くなっています。元金100万円に対する26万円ですから、決して軽視できる差ではありません。この結果から長期戦略を考えるなら、TOPIX連動型をポートフォリオから外し、国内株式は日経225連動型を中心に運用すべきでしょう。

■外国市場にも目を向けてみると・・・
ここまでの説明はあくまで国内株式の話であり、話を海外にまで広げると、また違った考察となります。ニッセイアセットマネジメントの外国株式インデックスファンドをサンプルに、「収益率」と「ブレ幅」を計算してみました。

(C)ニッセイ外国株式インデックスファンド:収益率16.40%、ブレ幅16.44%
(A)ニッセイ日経225インデックスファンド:収益率14.21%、ブレ幅15.83%

ブレ幅はやや(C)が大きいものの、収益率で2.19ポイント勝っています。5年前に100万円を投資した場合、現在の評価額は次のようになります。

(C)ニッセイ外国株式インデックスファンド:約209万円
(A)ニッセイ日経225インデックスファンド:約189万円

20万円ほど差がついていることがわかります。ブレ幅はほぼ同じですから、収益率が最も高い(C)で運用するほうが効率的です。

■長期投資は「シンプル・イズ・ベスト」
長期投資の教科書や、無料マネーセミナーなどでは、分散投資の例として、「卵はひとつのかごに盛るな」とか、「4つの資産に分散しましょう」などと解説されるケースが多いのですが、過去のデータを無視して分散するのは百害あって一利なしです。闇雲にファンド数を増やすとポートフォリオが複雑になり、資産管理が大変になるだけです。長期投資は「シンプル・イズ・ベスト」。これが筆者の考えです。

※1 NT倍率については、2020年12月10日、菱田氏のコラムに詳しい解説があるので、あわせて閲覧されたい
※2 (A)ファンドコード29311041、(B)ファンドコード29312154、(C)ファンドコード2931113C(日本を除く)



お電話でのお問い合わせ

生活経済研究所長野 推進企画課

0263-88-6480

経験豊富なスタッフが、
丁寧にご要望を承ります。

受付時間 / 平日9:00〜18:00

Webでのお問い合わせ

Webからのお問い合わせなら
24時間いつでも承ることが可能です。

TOP