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コラムColumn

  • 2021.05.06
  • その他
  • 黒田 尚子

「傷病手当金」が通算可能に!


2021年2月5日、「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されました。


https://www.mhlw.go.jp/content/000733601.pdf

このうち、筆者がFPとして注目したのは、健康保険法に関する次の2つの改正案です。

(1) 傷病手当金の支給期間の通算化
(2) 任意継続被保険者制度の見直し

それでは、それぞれ詳しく内容を見てみましょう。
まず、(1)は「傷病手当金」に関する改正で、「出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるよう、支給期間の通算化を行う」というものです。
現在の傷病手当金の支給期間は、同一傷病に対して支給を開始した日から最長1年6ヶ月間とされています。
期間は1日単位で、暦の上で計算した日数で判断され、実際に受給した期間とは関係なく、支給を開始した日から1年6ヶ月後に受給期間が終了となります。
傷病手当金の受給を開始した後に、いったん復職して、再び治療のため休職するなどを繰り返していると、1年6ヶ月なんてあっという間です。
そうなると、実際には数ヶ月分しか受給できなかったというケースも多く、筆者が相談を受けているがん患者さんも、「抗がん剤治療が始まるし、早く受給を開始したいけど、一つの病気に対して1年半しか受給できないなら、もっと体調が悪くなった時のために取っておいた方が良いでしょうか?」など、受給のタイミングに悩む方が少なくありません。
実際、傷病手当金の平均支給期間は 164.59 日(約5.4ヶ月)と半年未満です(※)。

※出所:全国健康保険協会「現金給付受給者状況調査報告 令和元年度」


https://www.kyoukaikenpo.or.jp/file/2020090501.pdf

本法案が成立すれば、2022年1月1日以降、出勤に伴い不支給となった期間は、その分を延長して支給を受けられるようになります。
もともと、傷病手当金の通算化は患者さんなどから要望の声が挙がっていました。改正されれば、丸々1年6ヶ月間は、傷病手当金を収入の補てんとして利用できるわけです。復職と受給のタイミングを悩まなくても良いという点では、病気の治療と仕事の両立に一歩前進といった形でしょうか。
ちなみに、共済組合の場合、すでに傷病手当金の支給期間の通算化は行われていました。

続いて(2)の任意継続被保険者(以下、任継)に関する改正です。
「任意継続被保険者の保険料の算定基礎の見直しや、被保険者からの申請による資格喪失が可能」となります。
健康保険の任継とは、退職して被保険者の資格を失った後も一定の条件のもと継続して被保険者になれる仕組みです。
知らない人も多いようですが、任継は、任意の申出により途中でやめることはできません。
被保険者の資格喪失の条件は次のいずれかです。
・任意継続被保険者となった日から2年を経過したとき
・保険料を納付期日までに納付しなかったとき
・就職して、健康保険等の被保険者資格を取得したとき
・後期高齢者医療の被保険者資格を取得したとき
・被保険者が死亡したとき

したがって、退職した翌年以降、所得が下がった時点で、国民健康保険に切り替えたい場合、あえて、任継の保険料を納付せず、資格喪失するという方法が取られていました。
しかし、この方法では、資格喪失から市区町村の国民健康保険担当窓口で手続きするまでにタイムラグが生じる可能性があります。持病などで定期的に通院している人にとっては、保険証が手元にない空白期間ができるのは極力避けたい事態です。
そこで、この改正によって、2022年1月1日以降、被保険者が任意で任継の資格喪失の手続きを行い、スムーズに次の公的医療保険に切り替えられるようになります。
なお、傷病手当金の支給期間の通算化と同様、共済組合は、もともと申請による資格喪失のしくみが導入されています。ですから、定年退職した公務員の方は、2年目以降は任継を止めて、国保に切り替えるケースが大半だとのこと。
組合健保も付加給付をやめたり、解散したりといったところが増えていますが、今回の改正は、利用者にとってプラスになるものですので、知っておいてソンはありません。

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