コラムColumn
執筆者プロフィール
- CFP認定者
- 1級ファイナンシャルプランニング技能士
- 消費生活専門相談員資格
- CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター
- 2020.08.06
- ライフプラン
FPコラム『コロナで学び直して600万円以上おトクに!失業関係の給付は要チェック』
やはり…というか、もう?というか。新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染者が首都圏を中心として、徐々に増加してきました。
「一体、いつまでこの状態をガマンすれば良いのか?」はたまた、「発生前の生活に戻ることはできないのだから、コロナといかに共存を考えていくべきなのか?」
状況が刻一刻と変化し、見通しのつかない状況は、まるで、出口のないトンネルに入ったかのよう。どうにも、モヤモヤ感が消えません。
やはり、ファイナンシャル・プランナーとして気になるのは、コロナ禍によって、経済的に困窮している方々のことです。
懇意にしている社会保険労務士さんが、労働基準監督署に勤務しているので聞いてみると、監督署には、「休業手当が支払われない」「解雇、雇い止め」「賃金引下げ」「生活に困窮している」といったご相談が多く寄せられているそうです。コロナ禍が長期化すればするほど、収入や仕事に影響を及ぼし、健康は守れても、家計が破綻してしまう人が増えてくるのは確実でしょう。
もちろん、その対応策として、コロナ禍に対する給付金の制度は拡充しており、本連載コラムでも、いくつも紹介されています。
10万円がもらえる「特別定額給付金」や最大で法人200万円・個人事業主100万円の「特別持続化給付金」、家賃相当額×最大9ヶ月の「住居確保給付金」、社会福祉協議会で申し込む「緊急小口資金・総合支援資金」、各種社会保険料の減免制度等々。是非とも積極的に活用していただきたいと思います。
なかでも、コロナ禍においては、失業関連の雇用保険の給付は重要です。しかも、相談の現場でご説明すると、「え?そんな制度があるのですか?」と驚かれることが少なくありません。そのうちのいくつかをご紹介したいと思います。
雇用保険は、目的によって、(1)求職者給付、(2)就業促進給付、(3)教育訓練給付、(4)雇用継続給付、(5)職業訓練受講給付の5つのカテゴリに分類できます。
このうち、ほとんどの方がご存じなのは、失業者が就職活動するときに給付される、いわゆる「失業保険」です。これは、(1)求職者給付の基本手当に該当します。
また最近、短期大学や専門学校の社会人入学生が増えています。どうやら、少子化対応策として、大学側も社会人受験に注力しているとか。
おそらく、その際に利用されているのが(3)教育訓練給付の「専門実践教育訓練給付金」です。これは、雇用保険の被保険者期間が3年以上ある在職者や離職者が、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を受講、もしくは修了したときに受け取れる給付金です。
対象となるのは、看護師、介護福祉士、調理師など指定された専門教育訓練など。支給額は、「教育訓練経費×50%」(上限は年間40万円)で、最大3年間受けられます。
さらに資格を取得し、受講終了1年以内に就職すると、「教育訓練経費×20%」(上限は年間16万円)の追加支給があり、最大168万円(=120万円+48万円)の給付を受けられます。
この金額だけでも「おおっ!」となるのですが、恩恵は、これだけではありません。
雇用保険で、資格取得に利用できる制度といえば、「一般教育訓練給付金」(英会話やパソコンスクールなど、キャリアアップを目指す講座等を受講して修了すると受講費用の20%(上限10万円)が受けられる)が知られていますが、こちらの講座期間は、おおむね1年未満がほとんどです。
それに対して、「専門実践教育訓練給付金」は、受講期間2~3年が中心で、じっくり本腰を据えて、国家資格等を取得する方向けのものです。そのため、その間の生活支援策として、生活費に利用できる「教育訓練支援給付金」が受給できるのです。
対象者は、「専門実践教育訓練給付金」を受給する45歳未満の離職者で、基本手当の支給条件を満たさず、基本手当が受給できない人のみ。
支給額は、「基本手当の日額(離職直前の6ヶ月間の賃金合計÷180)×80%」です。これまでは「50%」だったのですが、2018年1月1日の改正によって、「専門実践教育訓練給付金」の内容が拡充され、2022年3月31日までは80%にアップしています。
例えば、30歳で給与30万円の場合、基本手当は月額約17万9000円(基本手当日額5,954円×30日)。この額の80%が3年間受け取れるとすると、約515万円(約14万3000円×12カ月×3年)にも上ります。
先ほどの専門実践教育訓練給付金等(最大168万円)と合わせて、その額は、なんと約683万円です。
もちろん、さまざまな条件を満たす必要があることは言うまでもありませんが、コロナ禍を機に将来を見据えて、学び直しをお考えの方は、どうぞご検討ください。
なお、この制度を利用して、受講予定だった講座がコロナによって、中止になった場合の取り扱いについても、厚生労働省から情報がアップされていますので、併せてご確認を。
※厚生労働省「新型コロナウイルスに伴う教育訓練給付制度に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09927.html