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コラムColumn

  • 2019.11.28
  • 投資
  • 菱田 雅生

高金利外貨建て債券の注意点

つい先日の新聞広告に、トルコリラ建て社債の案内が出ていました。条件は以下のようなものでした。

発行体 : ○○バンク
発行体格付 : Aa3(ムーディーズ)、AA-(S&P)
利率/年 : 10.3%(税引前、トルコリラ建てベース)
期間 : 約5年
利払日 : 年2回(6月、12月)
売出価格 : 額面金額の100%
申込単位 : 額面1万トルコリラ以上、額面1万トルコリラ単位

現在、先進国は、過去に例を見ないような低金利状態になってきています。今年の7月には、世界で流通している債券の4分の1程度がマイナス利回りになっているとの報道もありました。日本でも、いまだに10年満期の国債の利回りがマイナス利回りの状態です。
当然ながら、日本の預貯金金利も、そのような債券市場の影響を受けますので、依然として超低金利状態が続いています。大手銀行の定期預金金利は年0.01%、普通預金金利は年0.001%といった水準です。
そんな状況で、外貨建てとはいえ、「年10.3%」の利息がもらえる債券があるという広告です。飛びつきたくなる人もいるかもしれません。このような高金利外貨建て債券の広告が出ていたときに、チェックすべきポイントについてまとめたいと思います。

まずは、債券の発行体について確認しましょう。
この広告に載っていた社債の発行体は、一応社名は伏せておきますが、世界的に有名な銀行でした。格付けを見ると、Aa3(ムーディーズ)、AA-(S&P)ですから、最上級の格付け(ムーディーズはAaa、S&PはAAA)から3ランク下の格付けです。満期償還がやってくる約5年の間に発行体が破綻する可能性はかなり低いことが想像できます。

そして、利払いは年2回、売り出し価格は額面金額の100%とあります。これは、満期償還時に戻ってくる金額(=額面金額)と同じ価格で売り出されることを意味しますから、払い込んだ金額と同じ金額で約5年後の満期を迎え、途中では年2回利払いがあるということです。
申し込み単位は、額面1万トルコリラ以上、額面1万トルコリラ単位とありますので、仮に額面1万トルコリラ分を購入したとすると、半年ごとに515トルコリラ(=1万トルコリラ×10.3%÷2)の利息を受け取って(実際には、利払時のレートで円に換算し、20.315%の税金が差し引かれます)、約5年後の満期償還時に額面金額1万トルコリラで戻ってくるわけです。

発行体の格付けも比較的高い債券ですから、トルコリラベースで見ると、安全な債券であると言えるでしょう。やはり、この債券のリスクはトルコリラという通貨そのものということになります。
トルコリラの為替レートは、現在1トルコリラ=19円程度です。この為替レートが満期償還を迎える約5年後まで変動しないのであれば、非常に有利と言えそうですが、ここ5年の推移を見ると、安易に飛びつくのは危険であることがわかります。
いまから5年前のトルコリラの為替レートは、1トルコリラ=54円程度でした。仮に、5年前に同じ債券が売っていたとして円ベースで計算すると、1万トルコリラ=54万円を払い込んで、5年後に19万円で満期を迎えるようなものです。元本部分だけで35万円の損失(厳密には、為替手数料分の損失も加算)ですから、利息分を考慮しても実質的な利回りはマイナスでしょう。
もちろん、今後のトルコリラの為替レートが同じように動くかどうかはわかりません。これまでとは逆に、円安トルコリラ高になるかもしれません。そうなれば円ベースでかなりの収益を得られるでしょうが、今後5年の為替レートの推移を正確に予測するのは困難です。希望的観測で予測するのは禁物でしょう。

そもそも金利水準が高い国というのは、物価上昇率も高いのが通常です。
トルコの物価上昇率は、昨年末あたりは前年比20%前後で推移していて、最近になって前年比10%前後で推移しています。過去10年間を見ても、前年比10%前後で推移していましたので、トルコリラに対して円が高くなる傾向は、理屈から考えると当然の流れです。今後もトルコの物価上昇率が日本の物価上昇率よりも高い状態が続くなら、傾向としては円高傾向が続くと考えられます。

したがって、為替レートの正確な予測は困難ではありますが、円安よりは円高になる可能性のほうが高いことを考えると、このトルコリラ建ての社債については、いくら適用金利が高いとはいえ、安易に飛びつかないほうがいいということが言えるでしょう。

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