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ライフプランに「リカレント教育」を取り入れよう


「リカレント教育」という言葉をご存知でしょうか?社会に出た後のライフステージにおいて、各々のタイミングで再び教育を受ける、即ち仕事と教育を繰り返すことを意味します。いわば「学び直し」による人材育成です。方法は様々で、仕事を辞めずに学ぶ人や、一旦立ち止まって仕事を辞めて学ぶ人もいます。
関心が高まっている背景には、日本人の平均寿命が延びていること、技術革新や情報技術の急速な進展や働き方改革など、終身雇用ではなくなった現在の働き方の多様化が大きくかかわっているといえます。また定年後も新たな仕事に挑戦することで、キャリアアップやキャリアチェンジも可能です。人生の新たな出発点となるスタイルに変わりつつあります。

ファイナンシャル・プランナーの役割は、リタイアメントの資金計画、各種保障設計(生命、医療、災害など)、相続計画の提案や手続き、税務上のアドバイス(税理士法に抵触しない範囲に限る)など、人生の「お金に関わる経済面」のプランニングやアドバイスとその実行支援です。
豊かな人生にはお金が必要ですが、そのお金を生み出すものも不可欠です。それは仕事であり、稼ぐ力であり、そして自分で生き抜く力です。キャリアコンサルタントでもある私としては、働くことの重要性や意義、多様化する今日の働き方において、いかに自分にあったキャリアプランを形成するか、また雇用され得る能力を形成するかが、経済面の対策を考えるのと同様にとても重要だと考えています。ライフスタイルやライフステージの変化に応じた働き方や生き方が求められる時代になったといえるでしょう。

ではどのような変化が起きているのか、ライフステージの変化を見てみましょう。

■これまでのライフステージは「単線型」
学ぶ時期(教育)→ 働く時期(仕事)→ 引退後の人生(定年後)

■これからのライフステージは「マルチステージ型」
教育 → 会社勤め → 学び直し → キャリア対策 → 組織に雇われない働き方(独立)→ ポートフォリオ型働き方(仕事と様々な活動との組み合わせ)→ 引退後の人生(定年後)

学校を卒業してからでも、就職してからでも、新たな知識やスキルを身に付けるための「学び直し」である「リカレント教育」によって、生き方や働き方の選択肢は増やせます。人生の幅を広げる事にも繋がるため学び続けることはとても重要であるといえます。
「生涯学習」という考え方もありますが、こちらは豊かな人生を送るために学ぶことであり、文化やスポーツ活動、ボランティア活動が学習の対象です。「リカレント教育」は仕事で求められる能力を磨き続けて、自己実現につなげることが目的です。

私が関わった事例をご紹介しましょう。
シングルマザーのAさん(33歳)は、営業職として働く企業の仕事内容や給与面について強く不安を抱いていました。学びに関して積極的な方だったので、興味のある業種を伺い、必要な資格を取得すればキャリアチェンジが可能なことをお伝えしました。その後2年間、働きながら資格取得に向けた「学び直し」期間を経て、昨年4月に独立起業を果たしました。2年間に取得した資格は3つですが、取得した資格だけでなく、前職の営業先や資格取得講座で培った人脈が起業の後押しになり、また起業してからのビジネスパートナーにもなりました。仕事を続けながら学ぶ姿は、お子さまにも良い影響を与えたと伺っていますし、「学び直し」の過程で得た人脈や情報、刺激が成功につながったともいえそうです。

「リカレント教育」は企業においてもメリットがあります。ビッグデータの活用やAIの技術革新により、企業は大きな変化を求められ、新たな知識やスキルが必要になるといわれています。その対策として企業内で「リカレント教育」を積極的に推進し、優秀な人材が外部に漏れないよう、知識やスキルを学ばせて育成ができたなら、人事戦略のひとつになると考えられます。逆に働く側にとっては、新たな企業戦略の知識やスキルを学ぶことで、雇用され得る能力を身に付けられ、更なるキャリアップの機会が得られるでしょう。

最後に、「リカレント教育」には様々な支援制度があります。厚生労働省が、経済産業省・文部科学省等と連携して取り組む「教育訓練給付金」では、対象講座を修了した場合は、負担した受講費用の20~70%の支給が受けられます。様々な支援制度を活用することで、キャリアアップと豊かなライフプランの実現が可能となれば幸いです。
*「リカレント教育」については、労働省や文部科学省HPで確認できます。

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